調査と採話とは? わかりやすく解説

調査と採話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/20 13:24 UTC 版)

Materials for the Study of the Ainu Language and Folklore」の記事における「調査と採話」の解説

序(第1節 - 第8節著者1902年春から1905年春まで、南樺太でと北海道白老平取でおよそ350篇の採話と調査当たった経緯説明サンクトペテルブルク科学院に樺太アイヌ再調査するよう求められウラジオストク再訪。ところが任期1902年夏季所期調査終えたものの、さらに関心深まり現地にとどまることにする。そこでロシア政府国際中央・東アジア研究機関(Russian Committee of the International Society for the Investigation of Central and Eastern Asia)からおよそli. 225資金を受け、3年間の滞在費と調査費を捻出した。 前置きに当たる第1節科学会員でこの調査出資機関会長 V. RadlofF、同事局長 Dr L. Sternberg への謝辞締めくくっている。また出版については、第8節からクラクフ科学アカデミーわけても事務局長の Ulanowski 教授尽力上梓かなったこと、Prof. J. Rozwadowski に言語学質問をして教え乞い、また英文校閲は M. H. Dziewicki に頼んだことがわかる。 第3節によると民族地理学関心深め始めた1896年初め南樺太訪れている。刑務関係機関から気象観測施設設けるように差し向けられついでにアイヌに関する民族地理的な資料収集任されたときである。ただし採話ができるほどの時間取れず話し言葉メロディのように耳に心地良かったことと、民族としてはっきりと特徴があり、ユダヤ人ともロマとまどこか似ているように感じて関心抱いたという。 アイヌ初めてじっくりと言葉を交わしたのは、ロンドン1910年開かれた日本博覧会であり、沙流川周囲から男性4名、女性多数会場に連れてこられて「展示」 されていた。博覧会イギリス側科学顧問 E. Divers 博士紹介日本側の係官ベップ(Beppu)に話を通しアイヌ自由に会話する許可得て50篇の物語聞き書きしたという。ロンドン来訪中の音声学Abbé Rousselet( College de France教授)からアイヌ語音韻について尋ねられ北海道アイヌについて説明し議論交わしたことで改め自説自信深めた呼べている。 1903年北海道渡りサンクトペテルブルクロシア地理学副会長(P. Semionoff, Vice-President of the Russian Geographical Society)の紹介ヤクート語専門家 W. Sieroszewski の現地調査合流し北海道アイヌからも採話した。ただし戦争景気に沸く地域社会長居をすることができず、予想よりも早くウラジオストクへ戻る。Sieroszewski との議論北海道アイヌ樺太アイヌ特徴把握した南樺太物語口述するアイヌ探すが、著者は「夏に物語をするとネズミ笑われるということわざを紹介し、夏の間は漁ろうで忙しアイヌは、わずかな礼金では採話に非協力的だと述べる。やがて酒盛りなどに加わるうち、実は白人物語聞かせる同族の噂にされることが心配で口が重いという言い訳の裏で、精霊物語うっかりするバチが当たる信じていることに気づく第4節調査進み具合記され最初の年のいちばんの困難は、ウラジオストクアイヌロシア語さまざまな外国語語彙取り入れて理解しにくかったことと、日本から渡ってきたアイヌロシア語ができず、小さな露日辞典持ち歩いて会話成り立たなかったことである。ギリヤーク語調査経験から著者には自信があったのに、聴きとり調査がその土地言葉習得にいちばん役立つという予想外れてしまう。それでも現地日本人ヤマグチ(T. Yamaguchi)にロシア語通訳頼み顔見知りアイヌ増えるにつれ、ロシア人との揉め事仲裁買って出たり、ギリヤーク少年ロシア語教えて通訳つかったように、アイヌの子どもに読み書き教えようとする。やがて目も合わせようとしなかった長老たち著者善意信用し昔話語れる者を教えるようになる北樺太十分な成果をあげると、やがてインフルエンザの流行日露戦争開戦迫り日本軍樺太占領10日前にシベリア離れる許可得て帰路に着く。 第6節アイヌ口承文学12分類紹介第7節発見考察のまとめがあり、沙流川アイヌ伝承発祥の地とされるが、実際に話を聞くクスルの古い話が沙流川には伝わっていないと発見する。また樺太アイヌには、自分たちの祖先だという言い伝えはなく、その物語は白老聞いたという。 第8節に、27篇の物語のうち、単語単位細かく聞き取ったのは最初の2篇のみで、残り語り手ペース進めたとある。また意味や話の筋書き理解しすいよう文中丸カッコ注釈補った示し、また文法的な正確さ専門性のある読者学生委ねアイヌ語関心持たせるように物語記録努めた記したそれぞれの文章には個別に 注と解釈添えてある。

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