脚本陣
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メインライターは小川英。長野洋によれば、脚本直しの手腕が天才的であったとされる。初期にはシリーズ構成というシステムがなく、設定の統一には厳密さがなかった。それゆえに独創性のある秀作・異色作が世に出たが、作品全体では辻褄が合わない短所もあった。 大映ドラマで有名な長野洋も主力として参加。銃器類をテーマとした展開が得意で、第14話「そして拳銃に弾を込めた」第82話「最後の標的」第173話「一発で射殺せよ!」第288話「射殺」第415話「ドクター刑事登場」第583話「三人の未亡人」などを執筆。他にも石塚の代表作の第118話「信じあう仲間」第122話「信念にかけろ!」第200話「すべてを賭けて」第310話「再会」第525話「石塚刑事殉職」、追悼作の第617話「ゴリさん、見ていてください」、他にも重要エピソード(交代劇・記念作)も多数執筆。さらに初期ドック編や西條の父親像を作り上げたのも長野脚本である。 東宝の若大将シリーズやクレージーキャッツものを手掛けた田波靖男も本作で多数執筆している。浜美枝扮する麻薬捜査官・村岡房江シリーズや警察犬シリーズ、コミカル人情ものといった独自のジャンルで新人刑事の魅力を引き出す一方、野崎刑事主演のエピソードを精力的に手掛けている。本作降板後は、女性集団アクションドラマ『ザ・スーパーガール』のメインライターを担当している。 初期から参加していた鴨井達比古は、中断を挟みながらも5年にわたり執筆。スナイパーもの第27話「殺し屋の詩」第233話「狙撃」、犯人グループが全く正体不明のまま終わる第48話「影への挑戦」、ジーパン刑事の怒りと力を描いた第57話「蒸発」第60話「新宿に朝は来るけれど」、診療拒否問題に挑んだ第186話「復讐」、スコッチ編のサスペンス第242話「すれ違った女」、山村夫妻の絆を描いた第179話「親と子の条件」第206話「刑事の妻が死んだ日」など。本作以外にも加山雄三主演の『高校教師』や草刈正雄主演『華麗なる刑事』、『ザ・ハングマン』シリーズなどでメインライターを担当、そのアイデアと構成力が発揮された。 市川森一は第20話「そして、愛は終った」第102話「愛が終わった朝」などを執筆。「行き当たりばったりな、破天荒な性格」の鮫島刑事(後述)を生み出し、後々まで継承された。 『飛び出せ!青春』を終えた鎌田敏夫が、マカロニ編の後期から参加。ジーパン刑事の登場編をはじめ代表的なエピソードを執筆し、柴田のキャラクターを構築。また、自身の裕次郎への強い思い入れにより、藤堂主役編を数多く執筆している。鎌田の脚本には、説得などまるで通じない狂気の犯罪者が登場するケースも多く、犯人を射殺する結末が多いのも特徴である。テキサス編と併行して、松田優作主演の『俺たちの勲章』ではメインライターを担当。松田が以前より希望していたハードな刑事像(中野祐二)を、ジーパン刑事に続いて創りあげた。 第79話「鶴が飛んだ日」は匿名の投稿脚本が採用された作品である。制作サイドから投稿者へ名乗りを求める広告が出されたが、報酬は求めず匿名を通したいという主旨の返信があったのみで、原案者は不明のままである。本放送では番組の終わりに視聴者からの投稿を採用しましたとテロップが流れている。 『暗闇仕留人』『俺たちの勲章』『いろはの"い"』など、陰鬱な作風で知られる播磨幸治は、ジーパン末期からボン・ロッキーの初期まで参加。担当作は9本に留まったものの、レギュラーメンバーをバランスよく主役に起用して濃密なストーリーを展開。第104話「葬送曲」は、松田優作が最も気にいっているエピソードである。 後に『スケバン刑事』『特救指令ソルブレイン』を手掛ける杉村のぼるが、テキサス期の序盤より参入。杉村は月刊誌「シナリオ」で太陽のプロット募集に応募して入選。小川英の門下生として、実践形式でシナリオを学んでいた。最終作の第361話「殺人鬼」まで、担当作品は35本に及び、質量ともに太陽全盛期を支えた功労者といえる。第163話「逆転」第195話「ある殺人」をはじめとする山村刑事編やボン成長の系譜、苦い結末の殿下編。そして本作の根底に流れるテーマを表現した第255話「本日多忙」。 必殺シリーズの中心ライターとして活躍、後には『ザ・ハングマン』シリーズを支えることになる中村勝行が、第184話「アリバイ」から参加。第192話「2・8・5・6・3」第268話「偶然」第275話「迷路」第296話「ミスプリント」などのトリック犯罪ものから、第216話「テキサスは死なず!」第315話「ライバル」第365話「その一瞬‥‥!」第408話「スコッチ誘拐」といったアクション路線も担当。 1970年代後期からは尾西兼一・古内一成(後に『静かなるドン』・『刑事貴族』・『名探偵コナン』シリーズなどを手がける)・ら第二世代の新人作家が参加。硬派・峯尾基三・柏原寛司らのゲスト作も増えていく。 1981年、後に『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』を手掛ける土屋斗紀雄がデビューし、「引き金に指はかけない」を執筆。同年大川俊道もデビューし、後のカワセミ時代に繋がっていく。 『陽あたり良好!』の終了から金子裕が参加。井川のキャラクター造型を担う。 女流作家も後期に多く参加して新風を吹き込んだ(亜搶文代・塩田千種など)。古くは、女優でありテレビアニメ『ドラえもん』のドラえもん役で知られる大山のぶ代も脚本家として参加し、第189話「人形の部屋」など5本を執筆した。また、第452話「山さんがボスを撃つ!?」は当時18歳の女性による作品である。 後に『踊る大捜査線』『恋人はスナイパー』を執筆する君塚良一も参加。 小川英が監修するようになって設定ミスが減り、全体の構成はまとまったが際立った作品や独創性は乏しくなった。さらに小川規則に反発し、多くの作家が番組から離れてしまう弊害もあった。一方、小川英は私塾「英(はなぶさ)塾」を主催し、若手の育成に努め、本番組が新人作家の登竜門として位置付けされていった。後期に活躍した蔵元三四郎(第665話「殉職刑事たちよ、やすらかに」など執筆)も塾生の一人。 竹本・春日部の登場から若手作家の力量が発揮され、第482話「ラッサ熱」(土屋)、第535話「ボギーのいちばん長い日」第551話「すご腕ボギー」(大川・小川)を執筆。古内はジプシー編・ボギー編の多くや、ドック編三部作の第432話「スリ学入門」第459話「サギ師入門」第670話「ドック潜入!泥棒株式会社」を共同執筆し、若手刑事の活躍を描いた。 ブルース(澤村誠)登場から大川がアクション作第565話「正義に拳銃を向けた男」第622話「ブルースの賞金稼ぎ」第643話「走れブルース」などを執筆。古内も第578話「一係皆殺し!」第579話「鳩の舞う街」第592話「空白0.5秒」など硬派な作品を執筆。 1980年代は大川・尾西・古内ラインがメイン脚本陣として番組を支え、最終回はベテラン峯尾の執筆で幕を閉じた。
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