第十四戦隊
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1943年(昭和18年)4月1日、軽巡洋艦2隻(那珂、五十鈴)で第十四戦隊が新編される。ただし五十鈴は第三次ソロモン海戦等で受けた損傷を横浜で修理中だった。第十四戦隊は第四艦隊(4月5日より司令長官小林仁中将)に所属する事になり、夕張が同艦隊から除籍された。十四戦隊司令官伊藤賢三少将は本艦に将旗を掲げた。 4月5日、那珂は舞鶴港を出港、訓練や哨戒を実施しつつ内海西部を経由して横須賀へと向かった。4月25日、那珂は駆逐艦3隻(時雨、有明、長波)と共に空母2隻(雲鷹、冲鷹)を護衛して横須賀を離れ、4月30日にトラック諸島に到着した。5月から6月の間ヤルート(ジャルート環礁)へ進出した。6月18日、ヤルートでの警戒を終えてトラック泊地へ戻った。一方、修理を終えた五十鈴が21日にトラック泊地へ到着。第十四戦隊はようやく定数2隻を揃えた。同日、連合艦隊司令長官は、戦艦大和、第十四戦隊、第十六戦隊(名取、鬼怒、球磨)、巡洋艦部隊(阿武隈、香椎、青葉、川内)各艦の水上偵察機・整備兵をパラオに派遣し、対潜哨戒に従事するよう命じた。那珂水上偵察機はパラオへ移動途中の7月4日、ソロール島で故障して使用不能となった。 6月22日より、第十四戦隊はトラックからナウルへの兵員輸送を命じられた。この輸送作戦のため、第四水雷戦隊より軽巡長良、第16駆逐隊(雪風)と第17駆逐隊(浜風、谷風)、第27駆逐隊(有明:22日附で時雨と交代)が選抜され、第十四戦隊(那珂、五十鈴)と行動を共にする。第一次輸送隊(那珂400名、五十鈴453名、浜風70名、谷風70名)は22日、第二次輸送隊(長良350名、雪風70名)は23日、第三次輸送隊(時雨69名、駆潜艇28号、秋葉山丸50名)は24日にそれぞれトラック泊地を出発、25日-26日-29日ナウル着、28日午前-28日午後-7月3日トラック泊地帰着という輸送任務を達成した。 続いて那珂と駆逐艦朝凪は7月17日よりトラックからミレ(ミリ環礁)への輸送任務に従事した。この第66警備隊後発隊(約600名)は、空母翔鶴に便乗して7月15日にトラックへ到着した部隊であった。同隊は7月20日にミリ環礁へ到着、先遣隊600名と合流した。 8月15日、アメリカ軍はベララベラ島に上陸を開始、ニュージョージア島の戦いは緊迫の度合いを増した。同日より五十鈴はラバウル方面に緊急輸送を実施する。8月25日、巡洋艦2隻(那珂、高雄)および第24駆逐隊(海風、涼風)という戦力でラバウルへの輸送任務を実施。29日にトラックへ戻った。9月は3日から兵員輸送をおこなう輸送船2隻(日枝丸、富士山丸)をトラックからクェゼリンへ護衛する。さらに第7駆逐隊漣が途中まで同行した。7日にクェゼリンへ到着、引き続きマロエラップへの兵員輸送に従事。12日、那珂と駆潜艇2隻、輸送船香取丸等は.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯08度23分 東経165度12分 / 北緯8.383度 東経165.200度 / 8.383; 165.200にて米潜水艦パーミットの雷撃により損傷した特務艦知床と特設航空機運搬艦富士川丸の救援に赴いた。なお救援中にパーミットから雷撃されたが、魚雷は那珂左舷30mを通過するなどして、命中しなかった。知床は香取丸に曳航されてクェゼリンへ向かい、富士川丸は自力でルオット(ロイ=ナムル島)へ向かった。19日からはミレ、ウオッゼへの兵員輸送をおこなった。 10月5日、連合艦隊司令長官は、第十四戦隊司令官伊澤少将を指揮官として陸軍第十七師団の南東方面派遣任務『丁四号輸送部隊』の編成を下令した。那珂を旗艦とする部隊戦力は、第十四戦隊(那珂、五十鈴)、軽巡2隻(木曾、多摩)、駆逐艦3隻(野分、舞風、山雲)、輸送船団(栗田丸、日枝丸、護国丸、清澄丸)であった。上海から回航された第一輸送部隊(木曾、多摩)はトラック泊地で駆逐艦卯月を合同後、ラバウルへ向かうが爆撃により木曾は損傷、駆逐艦2隻(卯月、五月雨)の救援を得てラバウルへたどりついた。23日附で軽巡2隻(木曾、多摩)は丁四号輸送部隊から除かれた。 第二輸送隊(那珂、五十鈴、山雲、護国丸、清澄丸)は10月11日にトラック泊地を出発、上海市へ向かった。途中、五十鈴は被雷した給糧艦間宮の救援に向かい、艦隊から分離した(18日上海着)。10月21日、第二輸送隊はトラックを出発。10月22日、輸送船団は東シナ海で敵潜に襲撃された。2隻(那珂、山雲)は爆雷攻撃を行った。この米潜水艦はシャード (USS Shad, SS-235) であった。那珂右舷側に魚雷1本が命中していたが、不発だったという。28日、トラック泊地へ到着する。 同地にて戦力の再編がおこなわれ山雲は第三輸送隊(野分、舞風、日威丸、神威丸)に編入、代艦として第17駆逐隊の陽炎型駆逐艦2隻(磯風、浦風)が第二輸送隊へ編入され、那珂の指揮下に入った。11月1日、第二輸送隊はトラックを出港した。11月3日、第二輸送隊はカビエンの北60浬にて@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}アメリカ第13空軍所属B-24爆撃機のべ40機[要出典]の空襲を受け、機銃掃射により那珂は十四戦隊首席参謀以下戦死7名・重傷者20名という損害を出し、ほかに特設巡洋艦清澄丸が被弾浸水して航行不能となった。空襲後、五十鈴は清澄丸の曳航を実施、3隻(那珂、磯風、水無月《途中合流》)はその警戒と護衛にあたった。4日0時40分、秋月型駆逐艦若月が合流するが、同艦は午前4時に分離してラバウルへ向かった。伊澤少将は健在艦2隻(浦風、護国丸)を分離、先行してラバウルに向かわせた。11月4日午前7時、カビエンに到着。ラバウルより到着した軽巡夕張をふくめ、各艦は清澄丸搭載物件と兵員を転載した。同日、五十鈴と磯風は触雷して小破。磯風はカビエンに残置された。ラバウルへは那珂、五十鈴、夕張、水無月が向かった。同日附をもって第17駆逐隊(磯風、浦風)は南東方面部隊に編入され、第十四戦隊の指揮下を離れた(磯風は内地回航、浦風はラバウル残留)。 輸送船団は11月5日にラバウルに到着したが、ちょうどその日にラバウル空襲があり、ラバウル停泊中の重巡洋艦部隊(指揮官栗田健男中将:旗艦愛宕、摩耶、高雄、最上、筑摩、阿賀野、第二水雷戦隊各艦)は大損害を受けた。第十四戦隊(那珂、五十鈴)は被害なく対空戦闘を実施、撃墜15機(重複含む)を記録している。11月6日、第十四戦隊と護国丸はラバウルを出発し、9日にトラックへ戻り原隊へ復帰した。改編第三次輸送隊(野分、舞風、山雲、日枝丸、日威丸、神威丸)は11月3日にトラック泊地を出発したもののラバウル大規模空襲やアメリカ軍潜水艦に反復攻撃された事などから、命令によりトラック泊地へ引き返した。9日になり、第4駆逐隊(野分、舞風、山雲)は輸送船日枝丸を護衛して再びラバウルへ向かった。 詳細は「タラワの戦い」を参照 11月21日、アメリカ軍はギルバート諸島・タラワ環礁へ攻撃を開始、『タラワの戦い』がはじまった。連合艦隊は第四艦隊長官を指揮官として、タラワ増援部隊を編成した。支援部隊(第四戦隊、第七戦隊、第八戦隊、第二水雷戦隊)、南洋方面航空部隊、補給部隊(第十駆逐隊、東亜丸、富士山丸)と共に、輸送部隊(指揮官伊澤少将:第十四戦隊《那珂、五十鈴》、長良、第6駆逐隊《雷、響》)、先遣隊潜水艦9隻という戦力が作戦に組み込まれた。21日、第十四戦隊はトラックを出発、22日にポナペ島に到着して陸軍部隊を収容、25日にクェゼリンに到着した。26日までに軽巡長良、第6駆逐隊(雷、響)はクェゼリンに集結、第十四戦隊(那珂)の指揮下に入る。こうしてギルバート方面への逆上陸準備は完了した。だがタラワはすでにアメリカ軍により陥落しており、逆上陸作戦は実行されなかった。タラワの陥落と、並行して勃発したギルバート諸島沖航空戦の敗北により、日本軍は制海権も制空権も失いかけていた。このような状況下、陸軍部隊の一部を各方面に転用することになり、3隻(那珂、五十鈴、雷)は28日にクェゼリン発、12月1日にミレへ到着した。12月5日、アメリカ軍機動部隊艦載機はルオットを襲撃し、軽巡2隻(五十鈴、長良)を損傷させ、多数の輸送船を撃沈・撃破した(マーシャル諸島沖航空戦)。損傷艦はトラック泊地へ回航された。2隻の損傷により随伴艦は雷のみとなり、2隻(那珂、雷)はポナペ島の陸軍部隊をクサイ島(コスラエ島)へ転進させる輸送作戦に従事する。輸送任務終了後の10日、2隻はトラックに到着してマーシャル方面での行動を終えた。 12月17日、空母瑞鳳がトラック泊地に到着、瑞鳳から基地物件を受け入れた。19日トラックを出発し、22日ルオット着。その後、アメリカ軍機の空襲によりサイパン輸送作戦は中止、24日にトラックへ戻った。
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