正規分布 N(μ, σ) に従う確率変数 X が与えられたとき Z = X − μ/σ と標準化すれば確率変数 Z は標準正規分布に従う。大学レベルの統計入門のクラスでは必ず行われているが、Z 値を求めることで標準正規分布表と呼ばれる変量に対応した確率を表す一覧表を用いて、コンピュータを使うことなく正規分布に従った事象の確率を求めることができる。
不連続値をとる確率変数についての検定の場合でも、連続変数と同様の考え方で正規分布を近似的に用いることがある。これは標本の大きさ n が大きく、かつデータの階級幅が狭いほど、近似の精度が高い。
前述のごとく自然界の事象の中には、正規分布に従う数量の分布をとるものがあることが知られている。しかしそれは必ずしも多数派というわけではない。19世紀ではさながら「正規分布万能主義」といったものがまかり通っていたが、20世紀以降そういった考え方に修正が見られた。今日においては社会現象、生物集団の現象等々、種別から言えば、正規分布に従うものはむしろ少数派であることが確認されている。例えば、フラクタルな性質を持つ物は正規分布よりも、パレート分布になることが多い。人間は自然界の事象とは違って自分の意思をもっているため、たとえば、子供の成績などは決して正規分布にはならない[11]。しかし、そもそも理論上、正規分布の x の値は負の無限大から正の無限大まで取れるのに対して、多くの事象は最小値(例えば比例尺度におけるゼロ)と最大値(例えばテストにおける100点満点)が予め定まっている場合があり、そのような事象が完全な正規分布に従うとするには無理がある(その際はcensoringつまり打ち切りを考慮したり、対数正規分布を用いたりするとより正確な確率を求めることが出来る場合がある)。また、0 および自然数しかとらない離散確率分布、例えばポアソン分布や二項分布を連続確率分布である正規分布で近似することも一般的に行われている。
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