共分散分析とは? わかりやすく解説

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きょうぶんさん‐ぶんせき【共分散分析】

読み方:きょうぶんさんぶんせき

ある要因による変動集団間比較する際に、他の要因による影響取り除いて比較する手法分散分析回帰分析組み合わせたもの。

[補説] 例えば、喫煙者非喫煙者グループ年間医療費比較する際に、両グループ平均年齢に差がある場合、まず、各グループ年齢対す医療費回帰式求め回帰係数回帰直線傾き)が等しい(つまり、医療費対す年齢影響についてグループ有意な差はない)とみなせることを確認するそのうえで、両グループ回帰直線のy切片y軸との交点)を比較することで、両グループ間の医療費有意な差があるか調べる。


共分散分析

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/27 05:09 UTC 版)

共分散分析(きょうぶんさんぶんせき、analysis of covariance、ANCOVA)は、分散分析(ANOVA)と回帰を組み合わせた一般線形モデルである。共変量の効果をコントロールしながら、アウトカムの平均が、カテゴリカル独立変数である処置(treatment) の水準によらず等しいかを評価する。数学的には、アウトカムの分散を、共変量による分散、処置による分散、残差分散に分解する。共分散の群平均によってアウトカムを調整していると考えることもできる[1]

共分散分析では、

所与の差を調整する

ANCOVA のもう一つの使用法は、非等価群の所与の差を調整することである。割り付け前のアウトカムの群間差を修正することを目的とする。無作為割付が不可能な状況で、共変量によってスコアを調整し、比較可能性を高めるために使用される。しかし、群間差を消すことはできない。また、共変量と処置とが相関するため、共変量に関するアウトカムの分散を取り除くことで処置に関するアウトカムの分散まで取り除いてしまう可能性がある[4]

仮定

ANCOVAの使用の基礎となり、結果の解釈に影響を与える重要な仮定がある[2]。標準的な線形回帰の仮定が保持され、共変量の傾きが全ての処置群で等しいと仮定する(回帰勾配の均一性)。

仮定1:回帰の線形性

アウトカムと変数との回帰関係は線形でなければならない。

仮定2:誤差分散の均一性

誤差は確率変数であり、さまざまな処置と観測に対して、平均がゼロで分散が等しい。

仮定3:誤差項の独立性

誤差は無相関である。すなわち、誤差の共分散行列は対角行列である。

仮定4:誤差項の正規性

誤差(残差)は平均ゼロの正規分布に従う。

独立変数の2つのレベル間の小さな交互作用を示す単純な主効果プロット。

フォローアップ分析

主効果が有意であった場合、いずれかの処置の水準間に有意差があることを意味する[6]。どの水準が互いに有意に異なるかを正確に見つけるために、ANOVAの場合と同じフォローアップテストを使用できる。 処置が複数ある場合、相互作用がある可能性があります。これは、アウトカムに対する1つの処置の影響が、別の要因の水準に応じて変化することを意味する。階乗ANOVAと同じ方法を使用して、単純主効果を調査できる。

検出力に関する注意事項

従属変数の分散の一部を説明できる共変量を ANOVA に加えることで、統計的検出力が大きくことが期待される。しかし、追加した共変量が従属変数の分散をほとんど説明しない場合、自由度が減って検出力はむしろ小さくなる可能性もある。

関連項目

  • 分散分析(ANOVA)
  • 共分散の多変量分析(MANCOVA)

脚注

  1. ^ Keppel, G. (1991). Design and analysis: A researcher's handbook (3rd ed.). Englewood Cliffs: Prentice-Hall, Inc.
  2. ^ a b Montgomery, Douglas C. "Design and analysis of experiments" (8th Ed.). John Wiley & Sons, 2012.
  3. ^ Tabachnick, B. G.; Fidell, L. S. (2007). Using Multivariate Statistics (5th ed.). Boston: Pearson Education 
  4. ^ Miller, G. A.; Chapman, J. P. (2001). “Misunderstanding Analysis of Covariance”. Journal of Abnormal Psychology 110 (1): 40–48. doi:10.1037/0021-843X.110.1.40. PMID 11261398. 
  5. ^ Green, S. B., & Salkind, N. J. (2011). Using SPSS for Windows and Macintosh: Analyzing and Understanding Data (6th ed.). Upper Saddle River, NJ: Prentice Hall.
  6. ^ Howell, D. C. (2009) Statistical methods for psychology (7th ed.). Belmont: Cengage Wadsworth.

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