偏差値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/11 19:05 UTC 版)

偏差値(へんさち、英: T-score)とは、データの値を、平均50、標準偏差10のデータに変換(標準化)した時の値で、個々のデータについて平均からどれだけ離れているか感覚的に現す方法である。データの単位を消して一律の指標として表すことを目的とするので、結果的に無次元数となる。
以下の計算式で求められる[1]。
データが正規分布に従う場合、偏差値50がもっとも頻度が高く、偏差値50から離れるにつれて頻度が下がる。このとき全データのうち偏差値40~60の範囲に含まれる割合は約68%であり、偏差値30~70では約95%である。
学力試験・テストに導入されている学力偏差値は、受験者の得点が受験者全体の中でどの程度高い(低い)位置にあるかを知ることができる指標である。一般的なテストでは通常、偏差値は25(下位0.62%)から75(上位0.62%)程度の範囲に収まることが多いとされる[2]。しかし、極端な分布では、偏差値が100を超えたりマイナスになることもありえる。
受験業界において「偏差値」という言葉は、予備校などが発表する一般入試の合格目安となる模試の偏差値(合格者の平均偏差値やボーダー偏差値)を指すことがよくある(→ 学力偏差値を参照)[注 1]。
特徴

偏差値とは、データを平均50、標準偏差(スケール)を10に標準化したときの値のことである。異なるデータでの偏差値の比較は、データが正規分布に近いことを前提としている。したがって、データが正規分布に大きく従わない場合は、偏差値は必ずしも適切な指標とはいえない(平均が最頻値であることが望ましい)。
正規分布であるデータにおいて、平均50からの±10区間(偏差値40~60)は全体の約68.3%、±20区間(30~70)は約95.4%、±30区間(20~80)は約99.7%、±40区間(10~90)は約99.994%、±50区間(0~100)は約99.99994%である[4]。
- 偏差値60以上(あるいは40以下)は、上位(下位)15.9%。
- 偏差値70以上(あるいは30以下)は、上位(下位)2.3%。
- 偏差値80以上(あるいは20以下)は、上位(下位)0.13%。
- 偏差値90以上(あるいは10以下)は、上位(下位)0.003%。
- 偏差値100以上(あるいは0以下)は、上位(下位)0.00003%。
例えば、全受験者数が100万人の学力試験の場合、偏差値80以上の者は、約1300人となる。
偏差値は全ての実数を取りうるが、偏差値が±50区間(0~100)を外れる割合は非常に低く、約0.000057%、つまり約200万分の1しかない。
偏差値を用いた比較や評価は、元の数値が持つ特性に依存する。偏差値への変換はデータの相対的な大小関係を維持するため、学力テストの得点のように一般に高い方が良いとされる場合は、偏差値も高い方が良い値となる。また、ゴルフのスコアのように低い方が良いとされる場合は、偏差値も低い方が良い値となる[5]。部品の寸法のように目標に近い方が良い場合は、通常は偏差値に変換すると50前後が良い値で、そこから大きく離れると悪い結果となる場合がある[6]。
数式による表記
データの値 xi に対する偏差値 Ti は次の式で定義される[7]。
偏差値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 21:20 UTC 版)
平均値と標準偏差を規格化し、ある数値が母集団の中でどれくらいの位置にいるかを表したものを偏差値という。
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