偏差値操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/06 07:16 UTC 版)
偏差値操作(へんさちそうさ)は、日本の大学などの教育機関が入学試験において、入学者や合格者における総合的な学力の実態以上に、大手予備校等で算出される一般入試の「学力偏差値」を高く見せかけて外見上の大学のレベルを上げること。合格者の学力を隠蔽できる推薦入試等で大量の入学者を確保するとともに、一般入試の募集人数を少なくする他、受験方式を増やす、受験科目数を減らす、複数回の受験を可能にし一般入試の競争率を高めるなどが行われている。
- ^ “大産大が"偏差値操作"”. 関西テレビ放送. (2013年3月20日). オリジナルの2013年3月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ 大元記事は、『週刊東洋経済』2019 年7月 27 日号 60 ページから 61 ページ https://kanagaku.com/archives/31205
- ^ 安浪 京子,おおた としまさ (2022年1月1日). “恐ろしい…中学受験で起きている「悪質な偏差値操作」の実態”. 幻冬舎 GOLD ONLINE 2020年10月1日閲覧。
- ^ https://buzzap.jp/news/20130320-university-deviation-value/
- ^ “大阪産業大学:付属高生に謝礼を払い「やらせ受験」”. Yahoo!ニュース. 毎日新聞. (2013年3月17日). オリジナルの2013年3月20日時点におけるアーカイブ。
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- ^ 甲斐雅裕『工芸大工学部での新入生への学力調査』日本リメディアル教育学会、2007年。doi:10.18950/jade.2.1_19 。2020年4月4日閲覧。
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- ^ 政治経済学部 (PDF) 早稲田大学教務部 2005年度 自己点検・評価報告書
- ^ 小橋修, 高崎光浩, 十時忠秀, 金関毅「推薦および一般選抜入学の学生の学内成績, 医師国家試験成績の追跡調査」『医学教育』第1巻第28号、日本医学教育学会、1997年、23-34頁、doi:10.11307/mededjapan1970.28.23。
- ^ “大島商船高専における推薦入学者の特色 : 10年間にわたる追跡調査の結果から”. ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp. 2020年4月4日閲覧。
- 1 偏差値操作とは
- 2 偏差値操作の概要
- 3 概要
- 4 関連項目
偏差値操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 09:13 UTC 版)
日本において「各大学の学力偏差値」は単に大学への入学難易度という意味でなく、「偏差値の高い大学=良い大学」という「偏差値の高さ=ブランド」としての意味合いを持つ。受験生が大学を選ぶ指標として「ブランドとしての学力偏差値」が使用される実態があり、多くの大学が「偏差値操作」を行っている実態がある。 詳細は「偏差値操作」を参照 基本的な原理は「受験予備校が各大学の偏差値比較に用いる偏差値・メディアに掲載される偏差値を『意図的に操作し高くする』こと」である。大学が「複数ある入試回・方式」を用意していても、受験予備校やメディアが注目・掲載するのは「メイン方式」や「偏差値の最高値」のみなので、それらの方式の偏差値を「意図的に上げる」ことで「レベルの高い大学・人気のある大学」と受験生などに認識されることで宣伝になり、大学の価値を上げようとする企みである。 偏差値操作の方法効果基本原理 合格者数を絞り込む 操作したい方式における合格者数を絞り込む。合格者数を高いレベルの受験生に絞り込むことで「合格者平均偏差値」においても「ボーダー偏差値」においても、実態より高い数値に操作できる。その「合格者」は、より高いレベルの大学に合格しているため、当該大学には入学しないが、他の方法(メディア掲載や予備校が大学比較に用いない方式)で学生を確保する。対外的に示す「偏差値を出すこと」と「実際の学生確保」を別個に行っている。 方法① 入試方式の多様化・複雑化 メイン方式以外にも、非常に多くの入試方式を設け、それらの方式で合格者を多く出すことで、メイン方式の合格者数を絞り込むことが可能である。 (対策)「偏差値」を見る際には、その方式の「募集定員」や「合格者数」などを確認する必要がある。 方法② AO入試や推薦入試の枠の拡大 AO入試や推薦入試で学生を確保することで一般入試の倍率を意図的に操作しやすくなる。2017年度時点では、私立大入学者の半数以上が推薦・AO(推薦40.5%、AO入試10.7%)で大学に入学している。中堅以下の私大では約7割に上る。 (問題点)「英語の音読をすれば一発でAO入試組だと分かるほど基礎学力が低いケースが多い(川成洋)」「受験による、挫折も大きな成功体験もないまま学生生活を送ることでの精神的未熟さ」などが挙げられている。少子化で受験生が減っている現状を受け、学生確保・偏差値維持のために、学生の質が落ちることを承知していながら、多くの大学が推薦やAO入試を拡充している。 (事例)文部科学省による2017年度調査の調査では、推薦入試で定員の5割以上の合格者を出していることが発覚した武蔵大学に対し、是正意見(早急な改善を求める)が出された。また、AO入試による入学者が多い大学・学部の学生の採用を避けている企業がある。 (対策)AOや推薦入試には良い面もあるが、各大学は推薦入試の割合や基準を公表するなど「透明性」を高める必要がある。上記の様な要因により、学生の学力低下を憂慮した文部科学省は、2009年に「推薦入試やAO入試には、応募に際し各種条件を課す」ように促す通達を出したが、あくまでガイドラインのため効力は薄いとされている。 方法③ 付属校からのエスカレーター入学 AO入試や推薦入試と同じ理由で、一般入試の倍率を意図的に操作しやすくなる。学生が就職活動を行う際、採用側は付属出身者に対して警戒しており、出身高校をチェックしているケースがある。
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