やらせ入試
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 02:10 UTC 版)
同大学の入学試験で、附属高校や大阪桐蔭高校の一部の生徒に経営学部の受験を依頼し、大学側が学生に謝礼を渡すなどの「やらせ入試」が行われていたことが判明した。この工作は2009年から実施され、2011年に関連高の教諭が内部告発をしようとしたが、同大学の理事が自宅を訪問して告発しないように説得した。2013年1月、文部省に内部告発があり事態が露呈することになった。文部科学省は実態調査に乗り出している。「やらせ入試」は以下の2つの目的で開始された。 補助金目的 2008年末に、指定校推薦などで多数の合格者を出し過ぎ、この上さらに一般入試で合格者を出すと、入学者過多となり文部科学省からの補助金が減額される事態となった。これを防ぐために一般入試から入学者を減らす必要が発生し、その手段として入学意志のない学生で合格者名簿を埋めてしまうプランが浮上した 。同大学の附属高校、大阪桐蔭高校の既に進学先が決定していた優秀な成績の学生数十人を選んで教室に集め、担任を通じてやらせ受験が依頼された。これらの学生らに合計36回にわたり大阪産業大学の経営学部の一般入試を受験させた。これにより実際に入学する学生を減らし、2億円の補助金を受けることができた。やらせ受験をした学生には1回あたり5000円が支給された。 偏差値操作目的 入学する意志がないが、学力が優秀な学生を多数受験させることにより合格者の平均偏差値を釣り上げる行為を行っていた。系列校の大阪桐蔭高校の学生は学力が高かったため、センター試験の成績のみで同大学を受験できる試験に無料で出願させていた。2012年度には同校を受験した学生は9274人で、うち約1/4が大阪桐蔭高校の学生であった。センター試験利用の入試では受験した3618人のうち62%を系列校の大阪桐蔭高校が占め、合格者では78%にもなったが実際は1人も入学しなかった。同大学は大阪桐蔭高校の学生を偏差値を通じた入試の広報活動として継続的に利用していることを認めた。 本件を皮切りに後述のとおり様々な不祥事が露見または発生しており、2013年7月末には学長の本山美彦が学内のガバナンスの不全と健康上の問題を理由に辞任、後任の瀬島順一郎(再任)も2014年6月に辞職届を提出するなど大学運営に乱れが生じた。 2014年3月、日本私立学校振興・共済事業団は2013年度の経常費補助金を25%減額した。また、大阪府は「管理運営が著しく適正を欠いている」として2013年度の大阪府私立高等学校等経常費補助金を10%減額した。 2017年7月、独断でやらせ受験を行い附属高に支払われた手当を着服した可能性があるなどと大産大に公表された附属高の元教頭が、名誉を毀損されたとして損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地裁であり、「学校法人が組織的に不正行為を行い、責任を元教頭に転嫁した」と指摘し、大産大などに計275万円の支払いを命じた。
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