やらせの問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 08:27 UTC 版)
報道・ドキュメンタリーのように、取材対象が事実であることが前提となっている分野において、事実を歪曲するほどの過剰な演出、つまりやらせを行った場合、報道の対象が存在しないにもかかわらずこれを作り出す「捏造」とも本質において変わりがなく、倫理的に非常に大きな問題となる。 一方、やらせはバラエティ番組でも発生しており、映画『クイズ・ショウ』のモチーフとなったアメリカの人気クイズ番組『21』において発生したやらせ事件などがあげられる。 また捏造でなくても、報道・ドキュメンタリー番組において、実態にそぐわないがイメージ的には欲しいシーンを出演者に要請する、内容に対して明らかに歪曲しているタイトルをつけるなどの作為的歪曲が行われるケースもあり、石原発言捏造テロップ事件などが代表としてあげられる。 しかし、より強く・効果的に印象付ける、円滑に進行して結論へ至るなどの点では演出と差異を付けることが出来ない。「川口浩探検隊」シリーズのように、過剰な演出自体が人気を博し視聴者もそれを楽しむ番組もあり、許容されるべき「演出」か、非難に値する「やらせ」かの明確な線引きは困難である。近年ではネットによる番組精査のしやすさによる発覚の容易さや、テレビ局をはじめとするマスコミへの不信感から、わずかなミスや従来レベルの演出であっても「やらせ」と糾弾されるケースも多い。 また、放送免許を有するテレビ局側と、実際の番組制作を請け負う下請け、孫受け番組制作会社との癒着、制作予算の削減による制作現場への重圧も「やらせ」の発生する重要なファクターとなっている。例を挙げるならば、花粉症対策で虚偽事実を放送した教えて!ウルトラ実験隊(テレビ東京)、そして2007年フジテレビ系列で放送され、当時人気番組であった発掘!あるある大事典(関西テレビ)だろう。あるある大事典IIでは「納豆ダイエット」を紹介したが、制作側がデーターを捏造し、ダイエットのビフォーアフターも別人を用いていたことが発覚。また、担当放送作家よる外国人教授の翻訳捏造指示やコンビニ・スーパーでの納豆買占め指示も発覚し番組は打ち切りとなった。 評価が高く視聴率が高い生活情報やドキュメンタリー番組であるほど、視聴者、スポンサー、テレビ局とも長期継続を願うがネタがすぐに尽きてしまい、制作現場が期待に応えるために誇大に脚色した演出をしたり、捏造に走りやすいという面がある。
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