ランダム行列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/14 22:30 UTC 版)
ランダム行列 (ランダムぎょうれつ、英語: Random Matrix) とは、行列要素 hj,k がなんらかの確率法則あるいは確率分布に従う確率変数 (乱数) として与えられると仮定する行列モデル。また、ランダム行列に関する理論をランダム行列理論 (英語: RMT) という。ランダム行列は、ユージン・ウィグナーにより固有値や固有値の間隔の分布の統計的性質、それらの普遍性 (Universality) やその要因などを研究する目的で導入された。現在では核物理学のほかに、量子カオス、固体物理学、統計力学、数論、生態学、遺伝子工学、金融工学、無線工学、複雑ネットワークなどの研究で応用されている。
注釈
- ^ 共分散行列は常に半正定値。分散共分散行列参照。
- ^ GOEについてだけ述べる。 確率変数の分散の性質から、対角成分はσ2[(X+X)/2] = σ2(X) = 1 。
非対角成分は、σ2[(X+Y)/2] = {σ2(X) + σ2(Y)}/22 = 1/2 。 - ^ 書籍により U-1が右側にあったり左側にあったりするがどちらでも同じことである。左からU-1 右からU をかけてやれば同じ式になり等価となる。
- ^ この分野ではこれをポアソン分布と呼んでいる。
- ^ これは次のように示される。(Mandan Lal Mehta 2004, p. 11-12, H-J Stockmann 1999, p. 66-67)
単位間隔に固有値が存在する確率をρとする。固有値λiから間隔 S だけ離れたところ (λ+ S) に次の固有値λi+1があるとする。区間 (λ,λ+S) においては固有値が見つからず、区間[λ+S, λ+S+dS]に固有値が見つかる確率を考える。 固有値間隔の分布関数をP(S)とすれば - ^ これもポアソン分布を求めたのと同様の方法で求められる。ただし、隣接する固有値が見つかる確率は間隔 S に比例すると仮定する。これを一般的に間隔Sの関数ρ(S)とすれば、
出典
- ^ “THE GENERALISED PRODUCT MOMENT DISTRIBUTION IN SAMPLES FROM A NORMAL MULTIVARIATE POPULATION”. Biometrika 20A (1-2): 32-52. (1928). doi:10.1093/biomet/20A.1-2.32 2013年2月25日閲覧。.
- ^ Freeman J. Dyson (1962 ). “Statistical Theory of the Energy Levels of Complex Systems. I, II, III”. Journal of Mathematical Physics (The American Institute of Physics) 3 (1): 140-175. doi:10.1063/1.1703773. ISSN 1089-7658 2013年2月19日閲覧。.
- ^ Alan Edelman and N. Raj Rao 2005, p. 233+34, Sec 9.1
- ^ E.P.Wigner 1957, p. 67-68
- ^ Mandan Lal Mehta 2004, p. 13-14
- ^ T.L. Einstein, O. Pierre-Louis (19 March 1999). “Implications of random-matrix theory for terrace-width distributions on vicinal surfaces: improved approximations and exact results”. Surface Science (Elsevier Science B.V) 424 (1): L299-L308. doi:10.1016/S0039-6028(99)00092-8 2013年2月15日閲覧。.
- 1 ランダム行列とは
- 2 ランダム行列の概要
- 3 普遍性
- 4 固有値の間隔分布
- 5 応用例
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