宗教的予言決定論としての批判とは? わかりやすく解説

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宗教的予言・決定論としての批判

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 16:28 UTC 版)

マルクス主義批判」の記事における「宗教的予言・決定論としての批判」の解説

共産主義資本主義止揚された姿なので、マルクス先進国共産主義革命が起こると予言したが、実際に起こったのは発展途上国ロシアであった科学哲学者のカール・ポパーは、マルクス主義科学自称しているが反証可能性がないため科学ではない、と指摘している。共産主義社会到来予言したが、時期明確にていないので、永遠に「いつか共産主義社会到来すると言い続けていたらその予言外れことはない。これは歴史上言い続けられてきた「いつか最後の審判訪れる」「千年王国は近づいた」といった宗教的予言同種の構造であり、科学として正誤確認しようがないのである矢内原忠雄は「マルクス主義基督教」(一粒社 1932)においてキリスト教マルクス主義類似しているが、マルクス主義キリスト教匹敵するところではないと批判している。 小泉信三小室直樹マルクス主義宗教として批判している。小泉信三によれば社会主義の、まず原始共産制から階級分化起こり、やがて共産主義社会到来階級対立がなくなるという考えは、キリスト教的な千年王国待望論で、宗教的信仰であった批判されまた、階級消滅した後の世界についてマルクス主義具体的なことをほとんど何も語っていないが、闘争のない一切が平和と幸福に満ちた停止した社会とすれば、それは皮肉にもマルクス否定したユートピアのように聞こえる。未開社会サルのような動物社会でも、順位制という身分制度があり、原始共産制見られない小泉信三は、社会主義科学ではなく労働者資本家対す体系化された嫉妬の情であると指摘している。 マルクス主義理論体系倫理的指令によって決定づけられ、世界隅々まで解明しつくすカトリック神学体系匹敵するのだったともいわれ、神によって強者富者否定され弱者貧者救済され恩寵として両者逆転するという「マリアの賛歌」や、「ヨハネの黙示録」などの思想継承した破局的恐慌」をマルクス述べるなど、マルクス主義キリスト教革命論継承者とも指摘されている。 1948年上智大学教授だったヨゼフ・ロゲンドルフマルクス主義について「その見せかけの厳密な論理性背後には、経済史の恐しい展開につれて一歩一歩近づいてくる最後の審判黙示的幻影の火が燃えている。実際今世に於ける全体主義哲学はすべて、キリスト教会追放した結果近代社会出来た大穴埋めるべく、反教会旗印も鮮かに乗りこんできた異教のである宗教のみがそそり立てることのできる忠誠献身雄々しさ感情悉く彼等の手中に帰した彼等また、キリスト教同じよう殉教者も、祭式行列も、そしてドストエフスキーがすでに予言しているように、大審問官の宗教裁判まで、取りそろえている」と書いた。 猪木正道は『共産主義系譜』(1949年)において「マルクス教祖とし、資本論聖典とする一大教会形態をとり、法王枢機官、僧正司祭といった大小聖職者生み出し僧侶差別さえあらわれる。マルクス主義が負のキリスト教(Negative Christianity)と呼ばれるのはこのためである」とのべている。 1966年清水幾太郎マルクス主義などの19世紀の「大思想分解正面から認め,それに堪えて行かなければならない」と指摘した当時アカデミズムマルクス主義制圧され時代であったため、清水転向者とみなされた。 哲学者梅本克己1967年に、マルクス資本主義崩壊予測したが、20世紀資本主義発展する一方革命によって成立した共産主義前近代的独裁国家となっていることを背景に、厳密な意味でマルクス予測外れたので、崩壊しているのはマルクス主義方だ指摘したこうした梅本指摘は「神の死」に匹敵するマルクスの死」とされた。 ズビグネフ・ブレジンスキーは「共産主義20世紀の歴史これほど大きな位置占めてきたのは教義極度単純化時代合っていたからだといえようあらゆる悪の根源が私有財産制度にあるとした共産主義は、財産共有することで真に公正な社会が、したがって人間性完成達成できる仮定した。」「インテリにとって贖罪のための革命推進する政治活動合理的な計画によって公正な社会実現しようとする国家統制魅力的であった」とし、マルクス主義宗教思想としみなし、「共産主義理性の力を信じ,完全な社会建設しようとした。高いモラルによって動かされる社会作るために,人間へのもっとも大きな愛と,抑圧への怒り結集したのである。それによって最高の頭脳最良理想主義的精神持った人々の心をとらえた。にもかかわらず共産主義は,今世紀はもちろん他の世紀にも類を見ないほどの害悪生んだ」と批判した経済学者政治哲学者マレー・ロスバードは、マルクス哲学用語曖昧漠然としたものであり、マルクス弁証法根拠のない断言決定論であり、マルクス哲学体系見せかけの誤謬塊りであるとして批判するマルクス前千年王国説ハルマゲドン世界最終戦争)の予言のように、「歴史法則」を「科学的に発見した主張するが、たとえば、労働者はますます貧困に苦しむとマルクス予言したが、西側諸国労働者生活水準おしなべて上昇したマルクス主義者は、貧困とは資本家階級との関係において存在する反論したが、しかし、資本家12隻のヨット所有しているのに対し労働者が1隻しか所有していないからといって大量殺人をともなう血なまぐさい革命を行う必要があるのか。マルクス主義者は、人々人生決定論として技術的に説明しているだけで、もはや無効となった古びた主張頑迷に保持するが、これは科学的または合理的な態度ではなく神秘主義または宗教家態度であるとロスバードは批判する

※この「宗教的予言・決定論としての批判」の解説は、「マルクス主義批判」の解説の一部です。
「宗教的予言・決定論としての批判」を含む「マルクス主義批判」の記事については、「マルクス主義批判」の概要を参照ください。

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