革命論とは? わかりやすく解説

革命論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 03:14 UTC 版)

ハンナ・アーレント」の記事における「革命論」の解説

アーレントは、革命について戦争分母同じくするものであり、すなわち暴力母体になっているとする。 革命戦争と共に20世紀様相をかたちづくってきたものであり、戦争簡単に革命転化し革命戦争への道を開く傾向示しているのは、暴力がこの両者一種公分母になっているからである。聖書古典明らかにしているように、人類伝説的なはじまり暴力よる。はじめに犯罪ありき」―「自然状態」はそれを理論的に純化して言い換えたものに過ぎないまた、革命もたらしたものは「自由の経験」であり、革命前提には、近代的な「平等」の観念があったとする古代においては自然状態における平等は存在しなかった。 アメリカ革命解放され人間同士自由な活動として評価し、「地上の生活は稀少性呪われているのではなく豊かさ祝福されているはずだという確信起源革命先立つものであり、アメリカ的なものであった」として、近代的な革命原型作ったアーレントみなしている。またアメリカ革命起源になったのはロックアダムスミスによる労働説にあるとも指摘している。 他方アーレント次のようにイギリス革命における「革命」とは「(君主制)の復古」を意味しているとして、批判している。これに対してアメリカ革命は、「革命の子むさぼり食うようなことはせず、したがって復古」をはじめた人々は、そのまま革命をはじめ、それを成し遂げ、そのうえ新し秩序の中で権力官職就いた」と評価している。 一方フランス革命とそれに連なるロシア革命を必要と善意による、民衆自然的な欲求からの解放目指したものであったとして否定的な見解示した。すなわちフランス革命は、「自由の創設から苦悩からの人間解放へとその方向を変えたとき、忍耐障壁打ち壊し不運悲惨破壊力解放した」としている。 フランス革命については、エドマンド・バークフランス革命論は正しいとし、他方トマス・ペインのものは誤ってたとする。「人権宣言過去耳を傾けることのできたような時代歴史上存在しなかった」し、したがって過去時代に「すべての人間生まれながらにして譲渡不可能の政治的権利与えられていると見ることは表現上の矛盾」として、批判したまた、フランス革命における「革命」の観念には、周期的な法則性、「不可抗力的運動」がみられる指摘し、したがってフランス革命結果に、ヘーゲル歴史哲学があるとしている。フランス革命におけるこのような不可抗力的運動」の観念はのちに「歴史的必然と言い換えられ、19世紀から20世紀にかけてフランス革命後継者であると自認する人々は「歴史的必然の代理人」であると主張したアレント論じる。「世界を火のなかに投じたのはアメリカ革命ではなくフランス革命であった」とアーレントいっている。 フランス革命継承したロシア革命については「歴史の道化」として批判した。また「疑いもなくボリシェヴィキ党の粛清は、もともとフランス革命進路決定した諸事件モデルとし、それとの関連正当化された。両方とも歴史的必然の概念導かれていたという点で共通していた。」として、粛清起源フランス革命とその産物である「歴史的必然」という観念にみた。 ほかにも革命家ヒロイズムごまかされることなく、彼らが「人間リアリティに対して無感覚になった」ことをみるべきだとして、批判している。アレントは「ロベスピエールは魂の葛藤、つまりルソー引き裂かれた魂を政治中に持ち込んだ。しかしその領域では、それは解決不可であったため、殺人的なものとなった。」としている。 また、革命の際に「人民」が求めたのは「政治以前暴力であったとしている。 このようなアーレント共産主義人民暴力革命対す強烈な敵意当時アメリカ新左翼大きく影響与えノーマン・ポドレツアーヴィング・クリストルなど、後に新保守主義源流となったニューヨーク知識人呼ばれるユダヤ系知識人政治勢力生み出した。 その他、評議会制についてアーレント政党制排し議会制度として肯定的に検討した

※この「革命論」の解説は、「ハンナ・アーレント」の解説の一部です。
「革命論」を含む「ハンナ・アーレント」の記事については、「ハンナ・アーレント」の概要を参照ください。

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