傷の男(スカー)とその一行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 08:21 UTC 版)
「鋼の錬金術師の主要な登場人物」の記事における「傷の男(スカー)とその一行」の解説
傷の男(スカー) 声 - 置鮎龍太郎 / 三宅健太 演 - 新田真剣佑 イシュヴァール人の復讐者。元イシュバラ教の武僧。本名不明。身長195cm前後。 イシュヴァール人の特徴である褐色肌に赤い瞳の無口で無表情な男。額に大きな十字の傷があり、また特徴である瞳を隠すため普段はサングラスをかけている。国家錬金術師を殺して回る連続殺人犯で、傷の男(スカー)の名は軍部がその額の傷より通称としてつけたものであり、最後まで本名は明かされない(本人は復讐のために名前を捨てたと言う)。作者によれば本名の設定はあるが秘密だという。 イシュヴァール殲滅戦の生き残りで、錬金術を憎み、復讐のために国家錬金術師の命を狙う。再会した師父に諌められても復讐という行為自体を肯定し、後にその両親を殺害していたウィンリィと対面した時には、自分もまた復讐の対象者であることにショックを受けつつも、彼女の復讐心を肯定する(ただし、これは標的は黙って殺されるべきという意味ではなく、標的の抵抗は否定せず、実際にウィンリィに反撃しようとした)。しかし、ブリッグズで改めてウィンリィと邂逅した際、彼女が自分を殺そうとせず、むしろ怪我を治療したことに「許すのか」と問い、「理不尽は許していない」と返され、衝撃を受ける。そこで師父に説かれた「復讐の連鎖」の意味を理解して考えを改め、以降、主人公らに協力する。終盤では逆に復讐心に燃えるマスタングを諌めた。 戦闘能力は作中でも高いレベルにある。元は、単身でアメストリス兵10人に匹敵すると言われるイシュヴァラ教の武僧であったため、並外れた体術を持つ。加えて、右腕全体に「分解」の錬成陣が刻まれており、分解を行使することで、相手の肉体や装備、また周辺の物(壁や床など)を直接破壊することを得意とする。また、この錬成陣は正確には錬丹術に属すものであり、「お父様」の錬金術封じが効かない。ただし、「理解→分解(→再構築)」の錬金術の基礎は変わらず、分解する対象を理解していないと破壊することはできない(作中では生身の腕と思ってエドワードの右腕を破壊しようとし失敗している)。「約束の日」においては、左腕に兄が残した「再構築」の錬成陣を書き込み、単なる破壊だけではなく錬成も攻撃に用いた。 イシュヴァール殲滅戦においてキンブリーの襲撃を受け家族と右腕を失う(額の傷はこの時に受けた)。傷の男(スカー)自身も重傷を負っていたが、錬金術を研究していた兄が庇い、自分の「分解」の錬成陣が彫られた右腕が移植されたことで一命を取り留める。その後、ロックベル夫妻の診療所に運ばれ治療を受けたが、意識が戻った瞬間、怒りと錯乱から2人を殺害し、以降、アメストリスへの復讐を誓って行動を始める。 物語序盤にタッカーと、ニーナ(アレキサンダー)の合成獣を殺害し、その後にエドワードの命を狙ったことからエルリック兄弟との関係が始まる。ホムンクルスたちの計画の支障でもあることから彼らからも命を狙われ、何度か危ない目に遭う。物語中盤でウィンリィの両親を殺害した犯人だと判明するとエルリック兄弟も裁きを受けさせるために積極的に傷の男(スカー)の拘束に乗り出すようになる。一方で、ホムンクルスのアジトに潜入した際、マルコーよりイシュヴァール殲滅戦の真実を知り、兄が残した錬金術書を元にホムンクルスたちの計画を破綻させようと目論む。ブリッグズでエルリック兄弟に拘束されるも、上述のようにウィンリィの影響を受けて考えを改める。ホムンクルスたちの計画を破綻させるため、また事実上ホムンクルスらの人質となっていたウィンリィを守るため、エルリック兄弟らと協力関係を築く。そして兄が残した錬金術書から「逆転の錬成陣」を見つけ出し、またマルコーと共に各地に散ったイシュヴァール人たちを集め「約束の日」に臨む。 「約束の日」においては「逆転の錬成陣」を発動させるために国土錬成陣の中心へ向かうが、そこでブラッドレイと戦うこととなる。死闘の末、これを制して「逆転の錬成陣」を発動させるとそのまま倒れる。戦いの後、オリヴィエによって密かに戦場から連れ出され、表向き生死不明扱いとなる。そしてマスタングの下に就くことになったマイルズの頼みで、共にイシュヴァール復興に尽力する。 オマケでは猫好きなど、外見に似合わないことをネタにされる(本編でも可愛いものに弱いという描写はある)。また、初期から物語中枢にいるキャラクターながら、4回行われた人気投票では1度もTOP10に入ることはなく、マスタングの2位ネタと並んで、毎回それをネタにされている。 ヨキ 声 - 矢尾一樹 / 同左 ユースウェル炭鉱主。身長150cm台後半。軍部の中尉。その後、すべてを失い浮浪者となる。 胡散臭い髭の中年男。元はユースウェルの一炭鉱主だったが出世欲に駆られて軍に入り、中央の高官に炭鉱の利益を賄賂として贈ることで地位を得る。賄賂を増やしてさらに地位を得るために、重税でユースウェルの人々を苦しめていた。しかし、ユースウェルを訪れたエドワードに騙されて炭鉱の経営権を奪われた挙句、東方司令部にも悪行が報告され軍を追放される。その後、放浪していたところをイシュヴァール人の貧民街に拾われるも、貧民街の掟を破って傷の男(スカー)を売ろうとしたため、住民から袋叩きの末に追い出される。そして半ば脅迫に近い形で傷の男(スカー)の付き人として行動するようになる。ホムンクルス一派の元から脱走した可能性があるマルコーを追う軍の目を欺くために、黒髪中年男性という共通する身体的特徴から彼の身代わりとして利用されることもあった。 小悪党な人物で、本編・オマケ問わずコメディリリーフを務めることが多い。長所や活躍は極めて少ないが、元炭鉱経営者であったために鉱山については詳しく、ブリッグズ編ではその知識で活躍している。また「約束の日」では、プライドに自動車をぶつけてアルフォンスたちを救う。性格も傷の男(スカー)たちと行動するうちに、彼やマルコーを心配する発言もするようになり、少しずつだがまともになっていく。 レギュラーでない時からオマケによく登場し、四コマでは様々な職業や役柄で登場している。本編のネタでも「ヨキ2世」という故人の墓や「ヨキサーカス」というサーカス団のちらしが登場している。特に「ヨキサーカス」は、最終話にてハインケル、ダリウスと共に実際に結成したらしい描写がある。「ヨキはお気に入りですか?」という質問に対し荒川弘は「ああいうわかり易いキャラは描いていて楽しい」と答えている。また、ウィンリィの登場が遅れたことについて不服を持ちつつも(詳しくはウィンリィの項目を参照)、そのおかげでヨキが生まれたかもしれないと述べている。 ティム・マルコー 声 - 戸谷公次 / 小室正幸 演 - 國村隼 元国家錬金術師。医者。身長170cm前後。 優しそうな小柄の中年男性。かつて医療系の国家錬金術師として、軍の研究機関で「賢者の石」の製造に関わっていた人物。イシュヴァール殲滅戦で「賢者の石」が使われると、その罪悪感から軍を脱走する。元々悪事を成すような性格ではなく、傷の男(スカー)と出会った時は彼が国家錬金術師を狙う連続殺人犯であることを知りながらも、自分がイシュヴァール殲滅戦に加担した国家錬金術師であることを告白し、死を以てホムンクルスに一矢報いるために自らを殺すように求めるほどであった。後の傷の男(スカー)との行動や「約束の日」の阻止などはその贖罪のためであり、傷の男(スカー)も最初は生き証人や兄の研究書解読のためという名目で生かしていたが、やがて仲間と認めるようになる。 「賢者の石」の製作に関して主要な立場にいたこと、人柱の候補者にされていること、ホムンクルスの企みにある程度気づいているなど、錬金術師としてはかなり有能。特に「賢者の石」については詳しく、その破壊法を作り出し、エンヴィーを敗北させている。 資料や石の試作品を持って軍を出奔した後、「マウロ」と名を変え、田舎の町医者として暮らしていた。偶然出会ったエドワードに「賢者の石」の秘密を示唆するが、同時にラストに見つかり、町を人質に監視される。第三研究所の戦いの後にはホムンクルスたちの本拠地に監禁されるが、後に潜入した傷の男(スカー)により生き証人として脱出させられ、彼の一行と行動を共にするようになる(その際に顔面の表皮のみ破壊され、強制的に顔を変えられる)。 ブリッグズではメイと共に傷の男(スカー)の兄の研究書を解読し、「逆転の錬成陣」を見つけ出す。また、自らを囮にエンヴィーを誘い出し、彼の賢者の石を直接破壊するという活躍を見せる。「約束の日」の前には傷の男(スカー)と共に各地に散ったイシュヴァール人の生き残りたちを集める。「約束の日」当日は軍に見つからぬようカナマスラムで留守をしていたが、プライド・キンブリーと戦うアルフォンスの援護をすべく重症を負ったハインケルを賢者の石を使って回復させ、キンブリーに致命傷を負わせるのに一役買った。また、事前にキンブリーの部下2名を錬金術で拘束して車を奪取し、結果的にプライドの追撃を振り切る手助けもしている。 最後の戦いの後、ノックスの紹介でマスタングの下を訪れ、自らが持つ「賢者の石」で眼を治療する代わりに、イシュヴァール復興に力を注ぐこと、また自分がそこで医者として暮らせることの取引を申し出て受領される。
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