主要作品の詳細データ
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(特にコメントがないもの以外は「トップクラフト&ランキン/バス」合作作品) 1972年 キッド・パワー KID POWER カラー 24分 シリーズ15本 1972年9月 アメリカ、ABC放送放映。 原作者のモーリー・ターナーは、スヌーピーでおなじみの、シュルツの弟子である。主人公は子供たち。それも、いろいろな人種の子供たちで、典型的良識人のふとっちょオリバーを中心にくりひろげられる、ユーモアとちょっぴり風刺もきいた物語になっている。各話毎に音楽シーンがあって、歌に合わせてアニメーションを創るわけだが、デフォルメあり、パターン化ありと、さまざまな実験的な演出も可能であり、楽しい場面のひとつでもあった。当時のスタッフは、美術デザインに西田稔、演出チーフに蕪木登喜司。他に、福島正美、佐々木皓一、光延博愛、磯本憲昭、山田勝久などが演出を担当。原画スタッフは、細谷秋夫、大西克美、平川やすし、木場田実ほか。キャラクター・デザイン、総作画監督は、窪詔之である。 海底2万マイル 20,000 LEAGUES UNDER THE SEA カラー 45分 アメリカ、ローカル局放映。 この作品はハンナ・バーベラ・プロダクションの「ファミリー・クラシック」というスペシャル番組作品の中の1本である。原作は、ジュール・ベルヌの海洋SFの古典にして名作『海底2万哩』である。この大作をたった45分で見せてしまうために、本作品では原作をかなり縮め、冒険部分をつらねた構成になっている。また、原作にでてくるコンセイユという執事は、コンラッドという少年に変わっていて、アクセントにフィフィというイルカが愛嬌をふりまく。作画的には、線太のカッチリした線、影の部分を黒く塗りつぶした劇画タッチである。海中シーンが多いので、マルチや波ガラス等も、当時かなり苦心しつつ使われている。なお、冒頭近くの回想シーンのイラストは、菊池貞夫である。キャラクター・デザインは、窪詔之。演出は、蕪木登喜司、山田勝久。作画に白梅進が参加している。 ウィリー・メイズと奇跡を招く娘 WILLIE MAYS AND THE SAY-HEY KID カラー 45分 1972年10月 アメリカ、ABC放送放映。 作画監督は、我妻宏。 レッド・バロン RED BARON カラー 45分 1972年11月 アメリカ、ABC放送放映。 トム・ソーヤの冒険 TOM SAWYER カラー 45分 1972年11月 アメリカ、ローカル局放映。 ザット・ガール THAT GIRL IN WONDERLAND カラー 45分 1972年12月31日 アメリカ、ABC放送放映。 1973年~1974年 この年は、合作の仕事はなく、きわめて会社の状況の悪い時期であった。心機一転をはかり4月1日に、阿佐ヶ谷に移転した。移転当時のスタッフは約20数名であったが、しばらくして12~13名まで減った。『イガグリ君』『がんばれカンパちゃん』のパイロット・フィルムが作られたのもこの頃である。この時期、窪詔之は、きわめて精力的にCMに取り組む。ヨネックスやカロヤンハイなどのCMはこの頃に制作されている。他のスタッフは国内TVアニメ下請けとして『科学忍者隊ガッチャマン』『おんぶオバケ』『冒険コロボックル』『ジムボタン』『マジンガーZ』などを手がけており、当時の制作デスクには、岩田弘。原画には及川博史、兼森義則、青島克己らが居た。 1974年 クリスマス前夜 TWAS THE NIGHT BEFORE CHRISTMAS カラー 24分 アメリカ、NBC放映 脚本:ロメオ・ミューラー ストーリー・ボード:久岡敬史 演出:佐々木皓一・山田勝久 作画監督:小林一幸・窪 秀巳 原画:及川博史・兼森義則・青島克己 美術設定:西田 稔 美術:吉原一輔 キャラクター・デザイン:ポール・クーカー・Jr/窪 詔之・小林一幸 ひなびた街、ジャンクション・ビルに住む時計屋のトランドル一家と、その家に住むネズミ一家の物語。このネズミ一家の長男ネズミ、アルバートはインテリ・ネズミで、サンタを辛辣に批評し否定する。そのためにサンタは怒って、この街を無視することに決めた。子供たちが、夢見て信じてやまぬ、あのサンタが来ない!そこでトランドルは、市長にサンタを称えるコーラスが組み込まれた、特製の時計台を作る仕事を提案するのだが‥‥‥。といったクリスマス・ストーリー。すべてハンド・トレスで仕上げられている。この年の秋、窪詔之が担当した、ロッテのカフェ・オレのCMが、第14回CMフェスティバル、テレビ・フィルム部門で秀作賞を受けている。また、国内物では『みつばちマーヤの冒険』を手がけている。また、パイロット『新・海底二万マイル』を制作している。 1975年 イースター・ラビット THE FIRST EASTER RABBIT カラー 24分 アメリカ、NBC放映 脚本:ジュリアン・P・ガードナー ストーリー・ボード:久岡敬史 演出:佐々木皓一・山田勝久 作画監督:小林一幸・窪 秀巳 原画:佐々木よしこ・吉田忠勝 美術設定:西田 稔 美術:西田 稔 キャラクター・デザイン:ポール・クーカー・Jr/窪 詔之・小林一幸 イースターというのは、復活祭といってキリストの復活を記念する祭りで、3月21日以降の満月後の第一日曜に行われるもの。とはいっても、当時のスタッフにとって馴染みの薄い祭りであり、やや戸惑ってしまったという。物語は、もともとぬいぐるみのウサギにすぎなかったスタッフィーが、どうして最初のイースター・ラビットになったのかというファンタジーになっている。作品のハイライトであるイスター・パレードの場面が音楽シーンになっている。国内物では『タイム・ボカン』を手がけた。また『ドクター・ノグチ(野口英世物語)』のパイロットを制作している。 1976年 フロスティのすてきな冬の国 FROSTY'S WINTER WONDERLAND カラー 24分 アメリカ、NBC放映 脚本:ロメオ・ミューラー ストーリー・ボード:山田勝久 演出:山田勝久 作画監督:小林一幸 原画:吉田忠勝・佐々木よしこ・白梅 進・窪 秀巳 美術設定:西田 稔 美術:吉原一輔 キャラクター・デザイン:ポール・クーカー・Jr/窪 詔之・吉田忠勝 虫プロで作られた『フロスティ・ザ・スノーマン〜温かい雪だるま』の続編である。冬そして、白銀の世界。雪といえば、雪ダルマ。この雪ダルマのフロスティが、どうしてクリスタルという素晴らしい、女性雪ダルマと結ばれたのかという物語。この作品もオール・ハンド・トレスであるが、キャラクターの線の輪郭は、キャラクターの内側の線よりも3倍位太くする、という特別なやり方をしている。国内作品は『ポールのミラクル大作戦』『一発貫太くん』を手がけている。 1977年 ホビットの冒険 THE HOBBIT カラー 77分 アメリカ、NBC放映 原作:J・R・R・トールキン 脚本:ロメオ・ミューラー ストーリー・ボード:久岡敬史・窪 詔之 演出:山田勝久 作画監督:窪 詔之 原画:小林一幸・窪 秀巳・吉田忠勝・羽根章悦・菊池貞夫 美術設定:西田 稔 美術:伊藤和子・金子英俊 キャラクター・デザイン:レイスター・エイブラム/窪 詔之 実制作期間:1976年10月~1977年10月 枚数:4万枚 総カット数:817カット 色数:380色 ホビット族のビルボ・バギンズが、ガンダルフという魔法使いと、小人たちに無理やり誘われ、数々の冒険を経てゴルムの洞窟で姿の消える魔法の指輪を見つけ、ついに悪竜スマウグを倒すというファンタジー。J・R・R・トールキンの、ミドル・アースという架空の世界を舞台にした『指輪物語三部作』のいわばプロローグにあたる。物語は原作に沿ってかなり速いテンポで話が進んでいくが、さすがにこの時間では全部を忠実に再現しきれず。原作から割愛されたシーンもあり、各エピソードの時間が短くなっている。しかし、画面の密度やクオリティは高く。キャラクターの線が他の作品にくらべて非常に多く、細い線でよく描き込まれている。しかもトレスマシンでも綺麗に再現できるように鉛筆の太さや濃さをコントロールしている。ただ、スタッフからは「この線で本当に動画するんですか?」という声も聞かれたほか、試写会では、「線が多くて動くからグロテスクで気持ち悪い」という意見もあったという。背景は、アーサー・ラッカムのイラストのスタイルでという要望があり、まずカラー・インクで背景のすべての輪郭をペン描きしてから水彩絵具を使用。水彩絵具の特性上、暗い部分はアニメ背景に向く暗さにならないので、水彩絵具にガッシュをまぜて弱点を補うという、大変手間も時間もかかる方法になった。その甲斐があって、背景だけでも十分に世界観が伝わるほどの背景になっている。キャラクターのカラーも、今までの絵具では派手すぎて背景にマッチしないので、特別に作成されており。その数は380色に及ぶ。ただ派手な色はまったくなく、今までのTV作品とは違い渋い色調ではあるが、しっかりと背景と調和し、ファンタジーの世界観を引き立てている。結果、原画も動画も背景も遅れに遅れ、彩色アップの日まで残ってしまい、最後は全員で彩色をやり、ギリギリで完成したという。国内では初号試写以外に、会場を借りての試写会が一度だけ行われた。別班では『バーバパパ』が制作されていた。この後『新ルパン三世』と、竜の子とフランスとの合作作品も手伝っている。
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