不道グループ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 08:44 UTC 版)
黒瀬をいじめていた5人組。元々は黒瀬と同じ掃除の班のメンバーであり、不道が黒瀬をいじり始めたことをきっかけに各々が便乗していじめをエスカレートさせていった。全員が黒瀬の復讐対象であり、彼の過激ともいえる復讐によって社会的に破滅を迎え、或いは命すら失うなど悲惨な末路を辿ることになる。実際は黒瀬をいじめで弱者に成り下げるべく、それぞれが大事に抱えている要素を刺激させるために白鳥が意図的に編成したメンバーである。 不道エイジ(ふどう エイジ) 2年B組の生徒。不道グループのリーダー格。 真面目で成績優秀、ルックスも良いため、クラスメイトから高い人望を誇る優等生。その反面、保身のためならば仲間を切り捨てることも厭わない冷酷な本性の持ち主であり、切り捨てた相手から恨まれないように取り繕う等の狡猾さも併せ持つ。結果がすべてと言い切る結果主義者であり、結果を出せない者を愚かな弱者と内心では見下している。 自分と対照的でありながら父・正義に贔屓されていた黒瀬への嫉妬心を白鳥につけこまれ、黒瀬へのいじめを主導してきた張本人。また、黒瀬を追い詰めるため同窓生の三雲や雨宮と結託し、黒瀬の父を痴漢の冤罪で自殺に追い込んだ事もある。数ヶ月に渡るいじめの末、いじめの発覚を恐れ黒瀬を自殺に見せかけ突き落とした。 冷静で慎重な性格であり、復讐犯や警察の動向を察知し先手を打つなど総じて頭の回転は速い。黒瀬による復讐に対しても動じることなく、リーダーシップを発揮していじめグループをまとめてきた。また、白鳥(と入れ替わった黒瀬)の正体に自力で辿り着いた数少ない人物でもある。 遊井学(ゆい まなぶ) 2年B組の生徒で、最初の復讐のターゲット。切木と仙水は幼稚園の頃からの付き合いである。 画家志望であり、不道の肖像画を描き全国コンクールに入賞するほどの腕前。経緯は不明だが、黒瀬の家庭状況の悪さや一連の事件に大きく関わる真犯人の存在を把握している。 黒瀬によって下着泥棒の濡れ衣を着せられ、無実の証拠となるUSBメモリを回収しようと焼却炉に手を突っ込み右半身に大火傷を負ってしまう。意識不明のまま入院していたが、3ヶ月後意識を取り戻し、白鳥が火災事故の犯人だと証言した。しかし、証言を黒瀬に利用され黒瀬の転落事故の犯人に仕立て上げられてしまい、自身の窮地を知ると病院を脱走、黒瀬(と入れ替わった白鳥)と不道を脅迫し自身のアリバイ証言を強要する。それも叶わないと知ると逆上し、自分の行いを棚に上げ白鳥や不道、ウサギ殺しの真犯人への呪詛を吐き続けたが、白鳥により自殺に見せかけて殺害される。 切木竜也(きりこ たつや) 2年B組の生徒。バスケ部の部長を務める。遊井と仙水は幼稚園の頃からの付き合いである。 密かに美谷ひなと交際しバスケ部では部員から頼りにされるなど人間関係に恵まれた人物に見えるが、その実ダブルスタンダードな理屈や他責思考を振りかざし、気に入らない人間に対する暴力やいじめすら「バカには必要な鉄拳制裁」と豪語して憚らない、非常に自分本位な性格の持ち主。そのため部員からも敬遠されており陰口を叩かれている。また、母親との関係も険悪である。 黒瀬に対しては友達や家族などとの「絆」が無いと馬鹿にし「絆チャンス」と称するいじめを行ってきた。復讐の第2のターゲットとなり、黒瀬の策と誘導によって自分の本性を暴露してしまったことで美谷から見放された上、バスケ部の後輩・司馬への暴力が問題となり停学処分となる。 その後黒瀬に拉致され、自らが行ってきた「絆チャンス」によって自身の人望のなさを突きつけられた上に自己中心的な振る舞いについて「思いやりのない正義感」と断罪される。解放されたものの錯乱状態で飛び出したところをトラックに轢かれて死亡、公には停学を苦にしての自殺と判断された。 森野くるみ(もりの くるみ) 2年B組の生徒で不道グループの紅一点。 「他人の評価こそ自分の価値」という考えを持っており、インスタでの「いいね」を稼ぐことに重きを置く、虚栄心の塊とも呼べる女性。つるんでいる女子グループには内心で嫉妬心を燃やし、クラスメイトに対しても一方的にカースト分けして馬鹿にしていた。また、「いいね」を稼ぐためなら買ってもないブランドの洋服を試着しただけで買った事に食べ物や飲み物も写真に撮ってインスタに投稿したら即座に破棄すると言うモラルのない行動も厭わない。過去にはインスタ映えを優先した結果老婆を見殺しにしたという「秘密」を抱えており、それを不道に握られている。 黒瀬に対しては「自分の良いと思ったことをする」という彼の信条を存在価値が無いと馬鹿にし、全裸で兎のマネをした写真をインスタに投稿させるなどの精神的ないじめを行っていた。復讐の第3のターゲットとなり、黒瀬の工作によっていいねを稼げなくなった焦りから万引きを行ったところを証拠として撮影されてしまう。追及によって今までの自分の言動を涙交じりに土下座して謝罪したことで黒瀬から許され、黒瀬の復讐の協力者となった。 短絡的で能天気な一面があるが勘は鋭く、入れ替わりの秘密を本能的に言い当てたり、黒瀬の仕掛けた盗聴器を見抜いたことがある。また協力者としては情報提供や不道らの行動をコントロールしたりと基本的に黒瀬に忠実に従ってきた。また若王子に純粋に惚れており、黒瀬や不道に恋愛相談を持ち掛けた事もあるものの、後に振られてしまう。 白鳥によって黒瀬が戦意を喪失した後は「復讐から解放された」と安堵する気持ちを見せていた。しかし直後に発生したウサギ小屋の放火事件に関連し、インスタの秘密を暴露されたことで周りの信頼を失ってしまうが、冴木に叱咤され真犯人を突き止めるべく冴木と共に調査を行うことになる。 周りの評価のためには他者を蹴落としていくといった考えを持っていたが、黒瀬や冴木と行動を共にしその信条に触れるうちに心境に変化が見られ改心した作中でも稀な人物。冴木が逮捕された際には黒瀬の正体を知ったうえで「自分に復讐してもいいから冴木を助けてほしい」と懇願するまでに成長するが、独力で調査を続けようとした矢先に本性を現した新島によって凄惨な暴行を受け重体に陥ってしまう。病院に駆け付けた黒瀬に対し、「黒瀬と友達になれたかもしれない」と今までの自分の行いを悔いて心から謝罪し、「新島から柊と冴木を守って欲しい」と託し息を引き取った。 仙水理人(せんすい りひと) 2年B組の生徒。長身で癖っ毛、関西弁が特徴。遊井と切木は幼稚園の頃からの付き合いである。 いじめをする事そのものに快感や楽しみを覚える残虐性を持っており、「いじめはコスパの良い娯楽」「人を殺してもバレなきゃ罪にならない」などと言い切る悪辣極まりない性格の人物。不道やくるみすらその言動に戦慄し、慎重に復讐を進めていた黒瀬も怒りに我を忘れて殺害しようとしたほど。 カッターナイフで黒瀬の左肩に十字傷を付けたことがあり、今もその傷痕は残っている。黒瀬と入れ替わった白鳥が記憶喪失となって目覚めてからは「復讐犯を誘き出すため」という名目で黒瀬いじめを再開。黒瀬の記憶が戻り始めていると察するや事故に見せかけて殺害しようと目論んだ。 復讐の第4のターゲットとなり、大晦日の渋谷で黒瀬の誘導により痴漢と間違われ、取り押さえようとする群衆から逃げる羽目になる。そのどさくさにまぎれ、自身が用意していたカッターナイフで黒瀬に刺されてしまい、「(いじめを楽しいと思うのは)自分の人生がつまらないから」と、いじめにしか楽しみを見いだせない自身の空虚さを痛烈に批判され恥辱の中で死亡した。 通り魔に刺されたことになったが、この事件がきっかけで一連の事件の捜査は群青ら警視庁に引き継がれることになる。 白鳥の大学生時代に教育実習で出会い当時は生徒会長に就いていた仙水エリカは年の離れた従姉であり、彼女から「いじめは楽しい。」と言う異様で偏執的な考えを真に受けた事で悪辣で狡猾な人格が形成されていく事となった。
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