さん‐さん【三三】
三々
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/02 06:41 UTC 版)
三々(さんさん)は囲碁用語の一つで、碁盤上の位置を指す言葉。碁盤の隅から数えて(3,3)の地点(下図参照)。布石の段階で隅の着点として単独で打たれる他、星や高目、目ハズシなど位の高い着点に対する隅への侵入手段として打たれることも多い。
布石における三々
特徴
単独の着点としての三々は、一手で確実に実利を確保して足早に辺などへの展開が図れる利点を有する。反面星や小目に比べ位が低く、上からの圧迫を受けやすいため模様の発展性には欠ける面がある。小目などに比べれば変化が少なく紛れにくいため、実利派のアマチュアには好まれる着点でもある。
三々の活用方法
三々は一手で隅を完全に確保しているため、ここからのシマリ・カカリは小目の場合ほどに急がない。シマる場合は状況により下図a〜dなどへ展開する。カカる場合にもこれらの点にカカる時が多く、黒は対辺の一間・ケイマなどに受ける。最も多い三々へのアプローチはeの肩ツキで、位の低い三々の弱点を直接にとがめる手である。特に三々から両翼の辺に展開された場合、模様を消す意味で肩ツキは急がれる着点となる。
肩ツキした場合の基本定石を示す。黒は隅に堅く10目ほどの地を確保するが、勢力は白に奪われることになる。
白は左辺を重視する場合、白5にオサエる手もある。7まで一段落。
星に対しての三々
現代囲碁の布石の花形である星の最大の弱点は三々であり、単独で入られた場合は下図のように生きられてしまう。
上記は黒の星に対して白が他に石がない単独の状態から三々入りした場合の定石である。周囲にカカリがある場合やヒラキがある場合など、状況に応じて三々入りが有利か不利かは変動する。そのため「いつ三々入りするか」「いつ三々入りされないように守るか」が星の布石の重要なポイントとされてきた。
以前は、布石の初期段階で星にすぐに三々入りするのは不利であると考えられてきた。しかし2016年に登場した人工知能AlphaGoは、極めて早い段階での三々入りを活用してトップ棋士に勝利を収め、評価が大きく変わることとなった[1]。AlphaGoは、敵を固めることを避けて上図の白8~10のハネツギを保留するケースが多い。実利のみならず、根拠を奪って黒を攻めることを目指している。
こうした発想を人間の棋士も取り入れており、2010年代・2020年代の日本のトップ棋士である井山裕太をはじめ多くの棋士が早期の三々入りを打つようになった。この手法は「ダイレクト三々」と呼ばれ、ここから多くの定石が生まれている。
星からシマリを打ってある場合にも、三々入りが成立するケースがある。たとえば星から大ゲイマにシマリがある場合には、三々に打ち込めば単独で生きられる。小ゲイマジマリの場合には、部分的にコウになる。
- 星から大ゲイマジマリの場合
- 星から小ゲイマジマリの場合
高目・目ハズシへの三々入り
三々は隅の急所であり、高目や目ハズシといった位の高い着点に対して有効な侵入手段となりうる。
- 目ハズシへの三々入りの例
- 高目への三々入りの例
三々の歴史
囲碁の歴史の初期に隅への着点としてまず発生したのは小目であり、室町時代後期から江戸時代、明治時代にかけては三々はほとんど省みられなかった。特に本因坊家では三々は禁手とされており、その他の打ち手が打つ場合にも相手への挑発的な意図を込めて打たれるケースが多かったとされる。記録に残っているものでは、1838年(天保9年)の本因坊秀和-安井算知戦(先相先白番)で、9手目に秀和が空き隅に星へ打ったところ、10手目に算知が残りの空き隅の三々へ打っている。
長らく一人前の着点と見なされていなかった三々に光を当てたのは呉清源で、一手で隅を打ち切って辺への展開のスピードを重視する手法としてこれを多用し、布石の考え方に革命を起こした(新布石)。特に1933年、本因坊秀哉との対戦で三々・星・天元を連打する大胆な布石を披露し、大きな話題を呼んでいる。その後1960〜70年代にかけては坂田栄男・石田芳夫らが二隅三々を打つ「両三々」の布石を駆使して好成績を納め、流行の着点となった。
しかし布石において中央への発展性を重視する傾向が強くなる中、三々は徐々に打たれなくなった(中央志向の棋風で有名な武宮正樹は「三々は盤から落ちそうで打つ気がしない」と冗談を言っている)。三々は趣向あるいは特殊な状況での着点という認識が強くなっていた。しかし、AIの出現以降はこの認識が変わり、空き隅への三々がプロの間でも多く打たれるようになっている。
脚注
- ^ “衝撃!AlphaGoの自己対戦50局”. 2017年7月16日閲覧。
三々(さんさん)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 13:51 UTC 版)
碁盤の隅から3・3の位置のこと。地に対してもっとも堅い手であるが、中央への働きが弱い。
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三々
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/01 14:03 UTC 版)
三々は一手で隅を打ち切っているため、他の着点に比べてカカリはさほど急がない。カカる時はa - dなど。カカリとはいえないが、eの肩ツキが三々に対するアプローチとしては最も一般的である。 表 話 編 歴 囲碁用語用具 碁石と碁笥 - 碁盤 - 対局時計 - 碁罫紙 ルール 盤上:コウ - 地 - 長生 - 作る - 取らず三目 - 持碁 - ダメ - ハマ対局:互先 - ニギリ - コミ - 定先 - 置き碁 - 持ち時間 - 早碁 - 封じ手 着点 三々 - 小目 - 目ハズシ - 星 - 高目 - 大目ハズシ - 大高目 - 五ノ五 - 天元 基本の形 自分の石から:グズミ - ケイマ - コスミ - サガリ - サルスベリ - シマリ - スベリ - トビ - ツギ - ナラビ - ノビ - ヒラキ - フクラミ - マガリ - ワタリ相手の石に:アタリ - アテコミ - オサエ - オシ(ソイ) - カカエ - カカリ - カケ - カタツキ(カド) - キリ - ツキアタリ - ツケ - ツメ - ヌキ - ノゾキ - ハザマ - ハサミ - ハネ - ヒキ - ボウシ - ワリウチ - ワリコミ 手筋 石の下 - ウッテガエシ - オイオトシ - オキ - オシツブシ - ゲタ - シチョウ - シボリ - 捨て石、ホウリコミ - ダメヅマリ - マクリ - ユルミシチョウ 死活 一合マス - 欠け眼生き - クシ六 - 隅の板六 - 隅のマガリ四目 - セキ - 詰碁 - ナカデ - 如仏の判決 - バカ八 - 六死八活 序盤 定石:大斜定石 - ツケヒキ定石 - ナダレ定石 - ハメ手 - 村正の妖刀布石:新布石 - 三連星 - 中国流 - ミニ中国流 - 小林流 中盤 厚み、模様 と 消し - 荒らし - 打ち込み - 大場 と 急場 - 攻め と シノギ、サバキ、フリカワリ - 攻め合い - 力戦 終盤 ヨセ - 出入り計算 - 見合い計算 棋理 囲碁十訣 - 格言 - 形勢判断 - 大局観 - 先手 と 後手 - 利かし と 手抜き - 本手 - マネ碁 - 見合い その他 囲碁九品 - 純碁 - 棋風 - 長考 - 妙手 関連項目 歴史 - 段級位 - 囲碁の記録一覧 - 碁会所 - コンピュータ囲碁 - ネット碁 - 棋士 (囲碁) - 囲碁のタイトル在位者一覧 - 本因坊 - 名人 - 棋聖 - 棋道賞 - 観戦記者 - ヒカルの碁
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「三々」の例文・使い方・用例・文例
- 彼らは山小屋に三々五々泊まった。
- 彼らはあの寂しい農家に三々五々泊まるだろう。
- 客は三々五々到着した。
- 11時を過ぎると、お客たちは三々五々帰り始めた。
- 群れを成して, 三々五々.
- 三々五々集まる.
- 彼らは三々五々教室へ入って[教室から出て]きた.
- 三々五々, ちらほら.
- 彼の演説が終わると聴衆は三々五々固まって家路についた.
- 三々九度の盃
- 三々五々の群をなしている
- 客人は三々五々連れ立って帰り始めた
- 三々九度の盃をする
- 人が三々五々群をなしている
- 生徒が三々五々固まって何か相談している
- 三々九度の真似事をやった
- 三々五々群を成している
- 野暮な三々九度を止して自由結婚と出かけるお嬢さん達がいまに多くなる
- (人々が)三々五々あつまっているようす
- (人が)三々五々(集まる)
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