囲碁の格言とは? わかりやすく解説

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囲碁の格言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 00:28 UTC 版)

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囲碁の格言(いごのかくげん)は、囲碁においての戒めや教訓を短くまとめたものをいう。よく知られているものは古くから伝えられ作者不明のものが殆どであるが、現代の棋士によって新たに創作された格言も存在する(苑田勇一など[1])。囲碁の格言は上達のためのエッセンスを含んでいて有用であるが、戦法や考え方の進歩などで意味を失っているものもある。

あ行

アタリアタリはヘボ碁の見本
やたらに次々とアタリをかけるのは、味を消したり相手を強化させるだけで、得にはならない。
 

上図左のように、白1から3などと次々にアタリをかけるのは黒の外勢を強化するお手伝いになってしまう。右のように単に白1とハネ、白3と進出する方が好形である。

厚みに近寄るな
相手の厚みにあまり近いところに打つと、攻めの標的とされやすい。
厚みを地にするな
一般に、中央方面にを囲うのは、手数がかかって効率が悪い。このため、厚みは中央に地を作るのではなく、攻めに活用すべきである。「厚みを囲うな」とも。
一隅二シマリ三ヒラキ
布石の基本的な順序を教えた格言。まず空き隅に打つのが大きく、次にシマリを打って隅の地を確保する(カカリはシマリと同格)。さらに辺へヒラいて模様を確保する。さらに「四ツメ五トビ」と続くこともある。ただし近年では、隅のシマリを省いて辺に展開する中国流などの布石も有力とされている。
一間トビに悪手なし
中央に向けての一間トビは、確実に連絡しつつ自分の石を強化する手で、まず悪手にはならない。
石飛んでその碁に勝たず
着手の際、打った石が飛んでしまうほど興奮していたのでは、とてもその碁には勝てない。冷静さの重要性を教えた格言。
一石に負けなし
生きている石が全て連絡した状態(一石)になると、ほとんど負けない。石の連絡の重要さを教えた格言。
一方石に死になし
弱い石がいくつかあって、カラミ攻めにされるとシノぐのは大変だが、弱石が一つだけならそう危険はない。「一方石は死なず」とも。
一方地に勝ちなし
一ヶ所に固まった地は大きく見えるが、実際には何ヶ所か隅などをしっかり確保する方が大きく、勝ちやすい。
追うはケイマ、逃げは一間
相手の石を追いかける時は、厳しく相手の石に迫るケイマが、攻められている時は、堅く連絡している一間トビを活用するのが有力。下図のような場合。
大場より急場
序盤戦では一般に、広く展開して模様を拡大する手(大場)が大きいが、自分の石の根拠を固める手、双方の力関係に大きく影響する手(急場)が見た目より重要なことも多いという意味。
岡目八目(おかめはちもく)
「傍目八目」とも。対局者でない第三者の方が冷静に盤面を見られるため、八目ほども先を読めるという意味。ただし、プロの場合では対局者が一番詳しく読んでいることがほとんどといわれる。

か行

切った方を取れ
二線にキリが二つ入りうる形の場合、相手がキってきたらそれを素直に取っておくべき。下左図、黒1のキリに対しては白2 - 4と一目を取って不満はない。右のように白2とツイで頑張っても眼形がなく、よい結果にならない。
 
キリチガイ一方をノビよ
相手にキリチガイを打たれた場合、一方の石をノビて強化しておくのがよい。多くは弱い石を、味方に連絡させるようにノビるとよい。下図、白1のキリチガイには黒2とノビて対応する。
車の後押し悪手の見本
相手の石を必要以上にオシていくのは、敵を一歩先に進出させ、強化させるのでよくないという教え。下図のような状態を指す。
ケイマにツケコシ
ケイマの形の石に対しては、ツケコシに打つのが急所となる。下図黒1。
ケイマのツキダシ悪手の見本
逆にケイマに対して出て行く手は、相手を連絡させて安心させてしまう悪手となりやすい。下図黒1のような手。

さ行

サバキはツケから
敵の勢力圏内でサバくときには、相手の石にツケて調子を求めるとよい。下図では、白1のツケから3とハネてサバキを目指す。
サバキ許さぬブラサガリ
自分の勢力圏内に敵が打ち込んできた場合、相手に付け入る隙を与えないブラサガリの形が有効である。下図黒1のような手。
左右対称中央に手あり
左右対称の形では、中央に急所があることが多い。下図では、白1が唯一の脱出手段となる。aやbに出ても白5子は脱出できない。

玄玄碁経「亀勢」)

三目の真ん中
ダメが詰まった三子の石は、その真ん中から一路離れた位置が急所となる。下図黒1が「三目の真ん中」の急所にあたる。白から打つ場合も、同点に打って形を整える。
シチョウ知らずに碁を打つな
シチョウは石を取る手段として重要だが、取れるかどうか正しく読み切るのはそう簡単ではない。しっかり練習しておくべきという意味。
死はハネにあり
相手のフトコロを狭めるハネは、しばしば敵の死命を制する。下図では、黒1のハネで白はどう打っても死ぬ。
初コウにコウなし
序盤戦で発生したコウには、多くの場合それに見合うコウダテがない。このため、取り番の方が有利になる。
スソアキ囲うべからず
二線のトビコミなどで大きくヨセられる余地のある場所は、囲っても効率が悪い。
隅の急所は二の一
絶隅(一の一)は、一手でアタリになる、二手でを作れるなど特殊な環境にある(隅の特殊性)。これを利用し、その隣である二の一の点が、死活攻め合いの急所になる場合が多い。下図では、黒1と「二の一」の点に打つのが急所で、攻め合い勝ちとなる(ただし反対側のaに打ったのでは負け)。
攻めたい石にツケるな
ツケは自分の石を強化すると同時に相手の石も強くしてしまうので、攻めたいと思っている石にツケていくのは得策ではない。

た行

大石は死せず
大きな石は周辺に利き筋なども多く、無理に取りに行ってもそう取れない。
ダメの詰まりは身の詰まり
ダメを無用に詰めると、自らの首を絞めることになるという戒め。ダメヅマリの項目参照。
ツケにはハネよ、ハネにはノビよ
敵にツケられたらハネて受け、ハネられたらノビるという基本的な打ち方の教え。下図がその例。
ツケは払えよ 
ツケにはハネよの変化形。
強い方にツケよ
両ガカリされた時、ハサミのない強い方の石にツケた方がよい。ただし近年は考え方が変わり、ハサミのある方にaとツケていくことが多くなっている。

黒1がハサミのない強い方の石へのツケ。近年はaにツケることが増えている。

敵の急所は我が急所
相手にとっての急所は、自分にとっても重要な着点となることが多い。この格言は、『週刊碁』誌の「プロ棋士が選んだ囲碁格言ベスト10」で、1位に選ばれた[2]
取ろう取ろうは取られのもと
相手の石を無理に殺しに行くと、包囲網が破れて自分の石が死んでしまうことも多い。無理に取りに行くのではなく、攻めて得を図る方がよい。

な行

二線敗線、四線勝線
下左図の黒のように、二線を必要以上にハウのは、地が1目ずつしか増えないのに相手の厚みがそれ以上に増し、一般によくない。また下右図のように四線をノビていくのは、地が3目ずつ増えていくので効率がよい。ただしこれは布石段階での話であり、終盤に入ってからは二線のハイは極めて大きなヨセとなる。
 
二目にして捨てよ
自分の石をカカエられたら、一本サガッて捨て石を増やし、手数を延ばしておいて周辺から利かすのが有効な手段になる。下図の場合、黒1の石をそのまま捨てるのではなく、黒3と逃げておけば、黒5,7,9を利かして外勢を固めることができる。
二目の頭は見ずハネよ
自分と相手の石が二子ずつ並んで対峙した状態の時、相手の頭をハネるのは多くの場合に急所となる。下図黒1のような手。
ノゾキにツガぬ馬鹿はなし
相手にノゾキを打たれたら、素直にツイでおくべき(ただし上級者は利かされを嫌い、あえてツガずに反発する手を考えることも多い)。

は行

広い方からオサエよ
星から両辺にヒラいている時に三々に入られたら、広くヒラいている方からオサエた方が大きな模様形成が期待できる。下図の場合、白1の三々入りに対しては黒2とオサエれば、下辺に大きな模様が見込める。
ポン抜き30目
特に中央に近い場所でのポン抜きは四方に威力を発揮し、大きな戦力となる。「30目」は具体的な数字ではなく、大きい価値を持つというたとえ。二目抜いた形はさらに強力で、「亀の甲60目」ともいわれる。

ま行

まずコウを取れ
コウが発生したら、とりあえずコウを取っておく。相手のコウダテをひとつ消費させることができる。
眼あり眼なしは唐(から)の攻め合い
眼のある石とない石の攻め合いは、眼がある方が有利となる。下図では黒1のオキから攻め、3から5と眼を確保すれば黒の攻め合い勝ちとなる。眼あり眼なしを参照。

ただしダメの数が多ければ、眼のない方が勝つときもある(「眼あり眼なしも時によりけり」)。

や行

四隅取られて碁を打つな
隅は地を取るのに最も効率のよい場所であるため、四つの隅とも敵に取られてしまってはまず勝てないという教え。ただし大模様作戦を得意とする武宮正樹などは、四隅を取らせて勝ってしまった碁も数多い。

ら行

両コウ三年のわずらい
両コウで相手の石を取った形は、相手が無限のコウ材を持つことになり、後の戦いが不利になる。形勢に余裕があれば、一手かけて両コウを解消しておくのも一法である。

わ行

ワタリ8目
自分の石を連絡させるワタリの手には、かなりの大きさがある。状況によって目数は変化するので、8目は絶対的な数字ではない。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

出典

  1. ^ 囲碁観が180°変わる苑田流格言―楽に身につくプロの常識(MYCOM囲碁ブックス)
  2. ^ 『週刊碁』2012年1月2日号

参考文献

関連項目




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