歯学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 00:23 UTC 版)
日本においては、明治時代に医学より独立しているが、それまでは口中科として医学の一分科であった。口腔科医師として口腔医学(こうくういがく、英: oral medicine)や医学(口腔科学・こうくうかがく)に包括されている国も中国・台湾や欧米諸国など存在する。
歯科治療は、歯科医と歯科助手(歯科助手、歯科衛生士、歯科テクニシャン、歯科療法士)で構成されることが多い、歯科チームによって実施される。ほとんどの歯科医は、歯科診療所(プライマリケア)、歯科病院、または施設(刑務所、軍隊基地など)で働いている。
歯科治療
歯科においては、一般的に口腔に関連する診療が含まれる[1] 。世界保健機関によれば、口腔関連疾患は世界において発生率および有病率が高く、公衆衛生に関する主要な問題であり、社会的に不利な社会経済グループは、他よりもより多くの影響を受けている[2]。
歯科治療の大部分は、う蝕(虫歯)と歯周病(歯肉疾患または歯槽膿漏)という、最も一般的な二大口腔疾患を予防および治療するために実施される。一般的な治療には、歯の修復(歯科補綴)、抜歯または外科的除去、スケーリングとルートプレーニング、歯内療法的根管治療、審美歯科がある[3]。
一般的な歯学教育により、歯科医は修復(詰め物、クラウン、ブリッジ)、補綴(入れ歯)、歯内治療(根管治療)、歯周(歯肉)治療、抜歯などの歯科治療の大部分と、検査、X線写真、診断を行うことができる。歯科医はまた、抗生物質、鎮静剤、その他患者管理に使用するあらゆる薬物を処方することができる。免許委員会によっては、一般歯科医が鎮静や歯科インプラントなどを行うためには、追加トレーニングの修了を求められる場合がある。
歯科医はまた、適切な衛生管理と、年2回以上の定期的検診(専門家によるクリーニングと検査を行う)を通しての、口腔疾患の予防を推奨している。口腔内の感染や炎症は、健康全般に影響を与え、口腔内の状態は、骨粗鬆症、糖尿病、セリアック病、癌などの全身疾患を引き起こす場合もある[1][4][5][6]。多くの研究により、歯周病は糖尿病、心臓病、早産リスク上昇と関連していることも明らかとなっている。口腔の健康が全身の健康や疾病に影響を与えるという概念は、「オーラル・システミック・ヘルス」と呼ばれている。
歯学教育
ジョン・ハリスは、オハイオ州ロス郡のベインブリッジに世界で最初の歯科の学校を設立、健康の専門としての歯学教育を確立させた。これは1828年2月21日に開かれ、現在はハリス歯科博物館(英語: Harris Dental Museum)となっている[7]。最初の歯科医学校(dental college)であるボルチモア歯科医学校は1840年に設立された[8]。
歯学教育は国によって異なり、学部を卒業した者が進学する専門職大学院の方式を取る国と、学部教育で歯科医学教育を行う国がある。
卒業した国[9]や、同じ国でも卒業した大学により[10]、同じ症状でも異なった判断をすることが有る。例えば、イスラエルの歯学教育機関にて教育を受けた歯科医師は、南米や東ヨーロッパの歯学教育機関にて教育を受けた歯科医師よりも第三大臼歯を積極的に抜歯することが報告されている[11]。
- ^ a b Gambhir RS (2015). “Primary care in dentistry – an untapped potential”. Journal of Family Medicine and Primary Care 4 (1): 13–18. doi:10.4103/2249-4863.152239. PMC 4366984. PMID 25810982 .
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- ^ Zadik Yehuda; Levin Liran (April 2006). “Decision making of Hebrew University and Tel Aviv University Dental Schools graduates in every day dentistry—is there a difference?”. J Isr Dent Assoc 23 (2): 19–23. PMID 16886872.
- ^ Zadik Yehuda; Levin Liran (April 2007). “Decision making of Israeli, East European, and South American dental school graduates in third molar surgery: is there a difference?”. J Oral Maxillofac Surg 65 (4): 658–62. doi:10.1016/j.joms.2006.09.002. PMID 17368360 2008年7月16日閲覧。.
- ^ 平井ら(2008) pp.2-3
- ^ 前田ら (2013) p.1
- ^ a b c d 石井ら (2011) pp.2-7 (古代の歯科医学史)
- ^ 松田ら (2012)
- ^ a b 杉本 (1978)
- ^ a b 石井ら (2011) pp.8-13 (中世の歯科医学史)
- ^ a b 中原 (1996) pp.1-3 (近代医学の始まり(16世紀))
- ^ ワインバーガー (1941) p.56
- ^ 中原 (1996) pp.27-36 (近代歯科医学の祖 フォシャール)
- ^ a b c 石井ら (2011) pp.26-33 (フォシャールとアメリカの歯科)
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