副作用 原因

副作用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 14:16 UTC 版)

原因

  • 毒性や標的非選択性など)医薬品自体の特性
  • 生体内で医薬品が代謝され失活された化合物の特性
  • 身体の持つ自律的な調節システム(「恒常性」あるいは「自己治癒力」)の変調
  • 医薬品に含まれた不純物の特性

発現機序

  • 目的とする作用が予測を超えて生じる[8]
  • 望まない作用が予測を超えて現れる場合[8]
  • 患者の代謝のバラツキにより、体内の血中濃度が予測を上回る[8]
  • 他の医薬品などとの相互作用[8]
  • 患者のアレルギー体質などの素因[8]

変動因子

治験における副作用の出現頻度は用量、併用薬、年齢、薬疹の既往歴といった様々な要因によって変化しうる[4]

用量だけを見ても異なってくる[5]。期間も重要であり、ゾルピデムゾピクロンでは、2週間程度の臨床試験では離脱症状は生じないが、平均7.4カ月の使用では20〜38%に3つ以上の離脱症状が生じる[9]

医薬品区分

用量反応関係

薬の量と、効果または副作用の発症率は、治験にて用量反応関係が導き出されており、それに従って用法用量が定められる。一定の量から効果は頭打ちになったあと、今度は副作用の発症率が高まってくる。

有効域と有毒域が近い薬は、医薬品医療機器等法(旧・薬事法)によって毒薬劇薬に定められており、乱用されやすい薬は同・習慣性医薬品や、麻薬及び向精神薬取締法による麻薬や向精神薬の指定がある。

そうした特に副作用に注意が必要な医薬品は、薬剤師の業務において管理指導加算がなされ、通称ハイリスク薬と呼ばれている[2][3]

医薬部外品はそうした強い作用への注意が不要であるため、一般店頭で購入が可能である。

副作用に注意すべき集団

必要な注意は、医薬品の添付文書に記載されている。

妊婦および授乳婦
胎児乳児にまで続発的に影響が及ぶ。妊婦や授乳婦は一般に治験に参加せず、また市販後の有害事象も報告数は限られているため、安全性データはしばしば不十分。
高齢者
一般に代謝排泄が低く、体液量が少なく、キャリア蛋白量が少ないことから医薬品の効果・副作用が共に大きくなりやすい。
小児
代謝や排泄が未熟で、体重は少なく、医薬品に対する感受性が高く、キャリア蛋白量が少ないことから、体重に応じて投与量を調節しても副作用も大きくなることがある。
肝機能障害
肝臓に代謝される多くの薬物は、肝機能の低下により血中濃度が高くなる場合がある。高齢者も肝機能は低下している。

注釈

  1. ^ 一般には副作用の語を使用する際は、有害な事象を発生させている場合にのみ言及していることは多い。しかしながら、原義としては、「有用な作用を減少させる作用」も副作用である。例えば、降圧薬であるACE阻害薬に例にすると、有用な作用である「誤嚥を減少させる作用」も「生体内キニン系を亢進し空咳を発生させる作用」もどちらも副作用である。

出典

  1. ^ Oxford Lexico, "side effect".(A secondary, typically undesirable effect of a drug or medical treatment.)
  2. ^ a b 日本薬剤師会『薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン』(pdf)(レポート)(第2版)日本薬剤師会、2011年4月15日http://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2011/05/high_risk_guideline_2nd.pdfline.pdf2014年5月22日閲覧 
  3. ^ a b 日本病院薬剤師会『ハイリスク薬に関する業務ガイドライン(Ver.2.1)』(pdf)(レポート)日本病院薬剤師会、2013年2月9日http://www.jshp.or.jp/cont/13/0327-1.pdf2014年5月22日閲覧 
  4. ^ a b c 日本うつ病学会理事長・尾崎紀夫、日本神経精神薬理学会理事長・石郷岡純、日本臨床精神神経薬理学会理事長・大谷浩一『ラモトリギンに関する連名ステートメント』(pdf)(レポート)2015年4月20日http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/toppdf/lamotrigine_statement.pdf 
  5. ^ a b ラミクタール錠(ラモトリギン)の重篤皮膚障害と用法・用量 遵守、早期発見について (PMDAからの医薬品適正使用のお願いNo6)』(pdf)(レポート)医薬品医療機器総合機構、2012年1月https://www.pmda.go.jp/files/000145676.pdf2016年8月4日閲覧 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 平凡社『世界大百科事典』vol.24, p.464
  7. ^ (編集)日本緩和医療学会、緩和医療ガイドライン作成委員会「薬理学的知識」『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』金原出版、2010年6月20日、第1版;2010年。ISBN 9784307101493
  8. ^ a b c d e 『薬剤による副作用と中毒』株式会社ミクス
  9. ^ 稲田健「ベンゾジアゼピン常用量依存の治療」『精神科治療学』第28巻増刊号、2013年10月、233-235頁。 
  10. ^ 若倉雅登 (2017年10月5日). “薬の副作用 不十分な報告制度”. 読売新聞. https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171003-OYTET50050/ 2018年3月1日閲覧。 






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