ATR 42-600
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「日本エアコミューター」の記事における「ATR 42-600」の解説
2015年6月15日パリ航空ショーでサーブ340型機の更新用機材として確定8機オプション1機、購入権14機で契約発注したと発表された。欧州製旅客機の採用はドイツのドルニエ、スウェーデンのサーブに続き3例目となる。 また、同機種は天草エアラインが先行導入していて、同機による慣熟訓練にJACは乗務員、整備士を派遣している。今後は整備部品の共同保有によるコスト削減や、JACにスタンバイ機がある時期に天草エアライン保有機の重整備を実施するなど、同型機を運航する九州の2社で連携していく。 兵庫県は2016年度当初予算でJACの就航先である但馬空港運航機材として1億3500万円の予算を計上。同路線の安全、安定的な運航を維持する目的での導入し、機材購入(所有)者は但馬空港ターミナルであり、この機材をJACへ貸与している。ただし本機材は他の機材と共通運用であり、但馬線以外の鹿児島県内路線に入ることもある。ATR 42-600が担当する以前はSAAB 340Bの1機が担当していた。 2016年7月4日に同型機の2機限定塗装として鹿児島唯一のデザイン系総合専門学校のタラデザイン専門学校との産学連携で制作されたデザインの採用が発表された。JACの株主でもある奄美群島を中心とした鹿児島の島々と各地をつなぎ、地域の翼として地域の発展に貢献する使命を表現した。機体に描かれた「ハイビスカス」は同社が就航する離島や地域の象徴であり、機体左側の大きなハイビスカスを鹿児島に見立て、左下に広がる7つは鹿児島県に空港が所在する7つの離島を表し、機体右側のハイビスカスは、同社がつなぐ他の地域を表現した。ハイビスカスの背景に描かれた「5本のライン」は水引のように地域、人の結びつき、子供の夢、人々の想い、過去から現在と未来を繋ぐことを表現し、配色は、奄美大島にのみ生息するルリカケスの赤、黒、瑠璃色を基調として描かる塗装となる。 初号機となるJA01JCは、2017年1月20日に受領して、トゥールーズ・ブラニャック空港を出発し、ギリシャ、エジプト、UAE、インド、台湾の空港を経由し、1月26日に鹿児島空港に到着した 4月26日から鹿児島-屋久島、沖永良部、5月28日から鹿児島-奄美で就航した。 旅客機は基本的に前方左側ドアから搭乗するが、同機種は機体の設計上、貨物室が前方にも設置されているため旅客の搭乗は従来とは異なり左舷後部からとなる。このため、空港では既存のボーディング・ブリッジ(PBB)が使用できず、機体備え付けのエアステア(階段)も急勾配で、同社の運航する離島生活路線に多い高齢者の利用にも向いていないため、同社は同型機が就航する空港を中心に可動式の搭乗用スロープを配備している。このスロープは車椅子での乗降も考慮した傾斜の緩やかなもので、直線型と屋根付きの3段折り返し型とがある。 客室内装は先行導入されている天草エアラインのものと同様で、「Armonia Cabin」と名付けられたジョルジェット・ジウジアーロによるデザインを採用している。座席配置と定員(通常48名)も天草の同型機と同様で、非常口への動線を確保するため右舷側最前列2席と2列目2席はボックスシート(対座配置)となっている。また、離島生活路線が多い同社運航路線特性から左舷後方座席3列は背板を倒して傷病者輸送のためストレッチャー設置が可能な特注となっていて、従来とは異なり、設置可能な一角はカーテンでの仕切りが可能となっており、機内居住性に配慮している。化粧室には特注のおむつ交換台を設置している。 2018年5月には初号機であるJA01JCが天草エアラインとの共通事業機となり、その後、JA03JCとJA04JCも天草エアラインとの共通事業機になる。JALグループにおいて同社グループ外航空会社との共通事業機は初の事例となる。天草エアラインは保有機材が1機しかなく、ATR42導入前は重整備となる場合は1か月近く全ての便の運航が停止されていた。ATR42導入に伴い、同機を運航する天草エアラインと日本エアコミューターの間で機材を融通することとなった。2018年6月に天草エアライン保有機が重整備となるのに伴い、JA01JCが同社へ貸し出されることとなる。また、同年7月に同じJALグループ企業である北海道エアシステムも次期主力機として同型機を選定したことから、天草エアラインとの運用や後述のサーブ340運用と同様に、最多運用JAC保有機で共通事業機設定し整備点検時の機材融通するとみられる。3社間で国土交通省持続可能な地域航空のあり方に関する研究会の示す指針に沿った運用を目指すとみられる。 2018年7月、前述の兵庫県但馬空港ターミナル購入機体(JA05JC)が受領後通常塗装で暫く運航していたが同年9月に但馬オリジナル塗装「コウノトリ号」とすることが発表され、鹿児島空港JAC格納庫にてJALエンジニアリングによって但馬空港推進協議会、地元市町、兵庫県、但馬空港ターミナルが作成した『朝日の中を未来に向け飛翔するコウノトリ』をコンセプトとしたデザインに兵庫県鳥でもある「コウノトリ」に「優雅」「飛翔」「幸福」のイメージを託し、但馬が「羽ばたく」「飛躍する」というメッセージを表した塗装を施し、同年10月にお披露目就航した。なお、同機はこのような納入経緯から同社が鹿児島本社とであるため、支援している奄美・琉球世界自然遺産登録ステッカー貼付はされていない。
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ATR 42-600
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「ATR 42」の記事における「ATR 42-600」の解説
2007年6月に発表された機種。エンジンをPW127Mに換装し、500型からさらにアビオニクスを更新してCAT IIIのILS進入能力を付与したほか、液晶ディスプレイによるグラスコックピット化が行われた。また、ILSなどの航法援助設備が十分でない空港や、計器進入での着陸基準であるRVR値が低く着陸できないような視界不良への対応策として、エルビット・システムズ社が開発した視界拡張装置(エンハンスト・ビジョン・システム)「ClearVision」がオプションとして用意される。これは機首に取り付けられた光学センサーからの情報と地形データなどをヘッドセット「SkyLens」に投影するJHMCSの民間転用品である。クリアビジョンシステムはガーンジー空港をハブ空港とするオーリニー・エア・サービスやロイヤルブータン航空で運行される機体に採用されている。客室内も内装にイタリア人デザイナージョルジェット・ジウジアーロによる「アルモニア(調和)デザイン」を採用し、形状を見直して足元スペースを拡大した軽量シートを導入したり、同クラスのターボプロップ機よりも30パーセント広い手荷物収納スペースを確保するなど大幅に改良され、客室照明にはLEDを採用して明るい客室となっている。その他、日本エアコミューター (JAC) が運行している機材には特別仕様としてストレッチャーが設置可能となっている。
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