釣りとは? わかりやすく解説

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釣り

★1a.釣りをする男が怪異遭う

置いてけ堀伝説 釣った人が夕方になって帰ろうとすると、堀の中から「置いてけ、置いてけ」と声がする。無視して行くと、必ず途中で魚籠の中の失ってしまう(*東京都墨田区・本所七不思議1つ足立区などにも同様の伝説があり、置いていかない葦原迷いこんで、夜中になって帰れない、ともいう)。

『幻談』幸田露伴夕暮れ時、海釣りから帰る侍が、水面に1本の竿(さお)が突き出て没するのを見る。舟を近づけると、60歳近い肥った溺死者が、釣り竿握って漂っているのだった見事な竿ゆえ、侍はそれを死者の手からもぎ放して、家へ持ち帰る翌日、侍がこの竿を持って海釣りに出ると、竿は舟中にあるのに、昨日同様に水上に竿が見える。船頭もそれを見た。侍は「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」と唱えて、竿を海へ返した〔*海の怪異物語前にマクラとして山の怪異語られる→〔十字架〕4〕。

『東海道四谷怪談』鶴屋南北)「砂村隠亡堀」 民谷伊右衛門隠亡堀へ釣りに来て悪事仲間直助権兵衛出会う。日が暮れて伊右衛門帰ろうとすると、戸板流れて来る。戸板片面には伊右衛門の妻お岩死骸が、もう片面には奉公人小仏小平死骸が、打ちつけてある。2人死霊それぞれ伊右衛門恨みを言う。伊右衛門小平死骸切りつける死骸はたちまち骨となってバラバラ水中落ちる。

*→〔蜘蛛〕1の『耳袋』巻之7「河怪の事」・〔髑髏2bの『野ざらし』(落語)。

★1b.鰻釣りの名人が、にされてしまう。

夜釣泉鏡花鰻釣りの名人・岩次が、霜月の末のある夜、出かけたきり帰らない女房が心配していると、翌日の夜、2人の子供(4歳女児5歳男児)が、「台所の手大きながいる」と言う誰が持って来たのか、わからない女房はふるえる足で、台所へ向かう。手桶の中のは、尖った頭をあげて、女房蒼白(あおじろ)い顔を熟(じっ)と視(み)た。

★2a.男が配偶者釣り上げる

丹後国風土記逸文 水の江の浦の嶼子(=浦島)が1人小舟乗り、海に出て釣りをするが、3日3夜を経て1つも得ることができず、五色の亀を釣り上げた。亀は美女変じ、嶼子を仙境蓬山とこよのくに)へ誘った。嶼子はそこで美女結婚し3年過ごした

釣針釣女狂言) 主と太郎冠者が、西宮の戎(えびす)神社参籠し、「望みの物を釣れ」との夢告得て釣竿釣針授かる2人とも独身なので妻を釣ろうと相談して太郎冠者釣針投げ奥方腰元下女たちを、次々に釣り寄せる。主は奥方連れ帰り太郎冠者は、腰元下女たちの中から自分の妻を選ぼうとするが、被衣(かづき)を取ると、皆とんでもない醜女たちであった〔*奥方醜女だった、という演出もある〕。

*→〔貝〕1aの『草子』(御伽草子)。

★2b.男が釣針を捜して異郷行き配偶者を得る。

『古事記』上巻 ホヲリ山幸彦)は、兄ホデリ海幸彦)から借りた釣針海釣りをするが、1つも得ることができず、釣針を海に失う。ホヲリ失った釣針を捜しに海辺行き、そこで出会った塩椎神教えられて、无間勝間小舟乗り海神の宮を訪れる。ホヲリ海神の娘トヨタマビメの婿になり、3年間、幸福な結婚生活を送る。

★2c.女が釣りに行って人間の目つかまえ、それが男に変わる。

『なぜ神々人間つくったのか』シッパー第7章最初に男がいなかった場合始まりの時、地上には女ばかりが住んでおり、男はいなかった。ある日1人の女が釣りに出かけ、人間の目つかまえて籠に入れる。家に帰って籠を開けると、目は男に変わっていた。ほかの女たちが集まって来て、男を食べたがったので、男は逃げ出したインド北東部、モクルム族)→〔逃走3b

★3.釣り人と王。

十八史略巻1「周」 東海の人・呂尚は貧乏なまま年老い、釣りをしつつ周の国到る。西伯(文王)が狩り出て渭水の北で釣りする呂尚に会う。西伯は「聖人来て周の国大い興る、と先君太公言われたが、貴方はまさしく太公待ち望まれた人(太公望)だ」と喜び、彼と同車して帰り、師として尊ぶ

荘子秋水篇」第17 荘子が濮で釣りをしている時、楚王大夫2人遣わし「国をすべてお任せしたい」と言って招聘する荘子釣竿持ったまま振り返りもせず「泥中尾を引いて遊ぶ亀のごとく、自由に暮らしたいと言って断る。

荘子田子方篇」第21 釣針をつけずに釣りをする老人がおり、周の文王彼に国政ゆだねる老人従来法律改めることも、新し政令を出すこともしないが、国はよく治まる文王が「このすぐれた政治世界中に及ぼせるか」と問うと、老人はかばかしい返事をせず、その夜逃げ去る

姜子牙(=太公望)と西伯侯姫昌(=周の文王)→〔年数〕4の『封神演義』第27回

★4.釣り人と仏。

白鬚(能) ウガヤフキアヘズノミコト(=神武天皇の父)の代。志賀の浦(=琵琶湖畔)で、老翁が釣りをしていた。釈迦が、天竺入滅後に身を変えて志賀渡り老翁に「仏道修行の場として、この地を我に与えよ」と請う老翁が「それでは釣りをする所がなくなる」と言って断ると、東方から薬師如来現れ、「この地で仏法を開くべきだ」と老翁説く老翁承知し志賀仏法開闢の地となる。老翁は、白鬚明神として祀られる

*ウガヤフキアヘズの代の終わり頃に、釈迦誕生し入滅した→〔伯母叔母)〕1の『和漢三才図会』巻第19神祭仏供器。

★5.幻術師の釣り。

『捜神記』1-21 曹操宴席で、「珍しい料理をたくさん揃えたが、足りないのは松江しょうこう)のすずき)だ」と言う神通力を持つ左慈が「すぐ手に入りますと言い銅盤入れ竹竿に糸と鉤(はり)をつけて、盤の中で釣りをする。まもなく左慈2匹釣り上げた〔*『三国志演義』第68回では、左慈は、王宮の庭の池に釣り糸垂れ千里離れた松江数十釣り上げた、とする〕。

★6.西洋人の釣り。

老人と海ヘミングウェイサンチャゴ老人連続84日の不漁にもめげず、小舟1人沖に出て釣り糸垂らし85日目正午巨大なマカジキを針にかける。老人3日マカジキ格闘し、ついに銛で仕留めるが、舟舷につないだ獲物は、港へ戻るまでに群れ喰い尽くされる。

★7.島を釣る。

島釣りの神話メラネシア至高神ヌゲラインが海で釣りをしている時、異様に重い物が網にかかっているのに気づいた。あげてみると、それはではなく、アネイティム島であった

マウイ冒険譚ニュージーランド・マオリ族の神話英雄マウイが、ムリランガの顎骨釣り針として、海底から巨大な魚釣り上げたマウイは、「このの名は、ハハウ・ホエヌア(=探し求めた陸地)だ」と言ったは尾とひれで海を叩きもがいたので、背中多くのしわがより、うねができた。ニュージーランドの島に山や谷ができたのは、このためである。静かにていれば平坦な陸地のままであるはずだった。

★8.釣りによる占い

『日本書紀』巻9神功皇后摂政前紀(仲哀天皇9年4月3日神功皇后が針を曲げて鉤(つりばり)を作り飯粒を餌、裳の糸を釣糸として、肥前国小河で釣りをする。「私は西方の宝の国(=新羅)を得たいと思う。この事が成就するならば、河魚よ、鉤を呑めと言って竿を上げると、たちまちかかった〔*神功皇后軍船率いて新羅攻め降伏させた〕→〔波〕1。



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