裴松之の注に引用された主要文献とは? わかりやすく解説

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裴松之の注に引用された主要文献

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 15:14 UTC 版)

三国志 (歴史書)」の記事における「裴松之の注に引用された主要文献」の解説

以下は、裴松之注釈引用している文献である。引用文献の数については、趙翼は「およそ50余種」、銭大昕は「およそ140余種」、趙紹祖は「およそ180余種」、沈家本は「およそ210種」で、張子侠は227種とする。 『異同雑語』 - 孫盛著。異説集らしい。裴松之は「孫盛習鑿歯異同を捜し求めて漏洩なし」と評している。孫盛人物評でもたびたび引用されている。話を盛り上げるために勝手に台詞創作したと言われている。たとえば、曹操呂伯奢中国語版の子供たちを誤って殺したあと、「寧ろ我れ人に負くも、人をして我れに負くこと毋からしめん(たとえ自分他人裏切ろうとも、他人自分裏切ることは許さない)」と言ったとあるが、この台詞は同じ事件記録した先行文献王沈らの『魏書』、郭頒の『世語』)にはなく、本書初め現れている。高島俊男によると、台詞創作他の文献からの転用は、陳寿含め多かれ少なかれ行っているという が、孫盛は他の史家比べて露骨であり、陳泰発言について裴松之指摘されている。 『英雄記』 - 王粲他編『漢末英雄記』のことらしい。後漢末群雄について書かれている。 『袁子』 - 袁準著。 『益部耆旧伝』 - 陳寿著。益州人物伝陳寿によれば陳術という人物同名著書残しているが、陳術の書が使われているかは不明『華陽国志』によれば陳寿の書自体陳術の書に加筆したもの。 『益部耆旧雑記』 - 陳寿著。益州人物伝。『益部耆旧伝』 の付録らしい。 『華陽国志』 - 常璩著。漢代から晋代までの巴・蜀歴史書現存している。 『漢紀』 - 『後漢紀』とも。張璠(中国語版)著。張璠は東晋の人。 『漢書』 - 嶠(中国語版)著。嶠は華歆の孫。後漢歴史皇后本紀として扱ったのが特徴。 『漢晋春秋』 - 習鑿歯著。蜀漢正統論を説き蜀漢から晋へ正統続けている。後世大きな影響与えたが、手放し蜀漢絶賛しているわけではない。これは、統一政権正統第一条件としたためで、習鑿歯孝武帝の上表で「蜀は正統だが弱かった」と評している。裴松之は「董允伝」の注で、後述の『襄陽記』と同じ記事でもニ書の内容違い有ったり、高官にあった人物をわざと官位低く書いたりする内容があり、習鑿歯記事にはいいかげんな部分があると評している。一方劉知幾は『史通』において「近古の遺直」と高く評価している。 『魏氏春秋』 - 孫盛著。編年体の魏の歴史書。 『魏書』 - 王沈荀顗阮籍編。魏の末期成立したが、司馬氏おもねっているため陳寿に劣ると言われている。甄皇后の項目では、甄皇后自殺命じられたのではなく曹丕甄皇后皇后にしようとしたが、病気理由辞退するうちに病死したので皇后追贈したと、明らかに事実異なった記述をしており、裴松之から批判されている。 『記諸葛五事』 - 郭沖著。司馬駿配下たちが諸葛亮について討論した際、郭沖五つ逸話紹介して諸葛亮美点評価した。しかし、裴松之郭沖挙げた逸話について、全て作り話としている。 『魏都賦』 - 左思著。『三都賦』の一部。 『魏武故事』 - 作者不明曹操時代政府慣例布告などを集めたものといわれている。 『魏末伝』 - 作者不明。魏末期事件記している。曹氏同情的裴松之は「諸葛誕伝」の注で、同書記述は「鄙陋(下品)」であり、歪曲があると批判している。 『魏略』 - 魚豢著。『典略』の一部で、『魏略』は魏と周囲異民族書き、『典略』は通史となっていて、魏以外の中国出来事扱っているらしい中国文献のうち大秦国ローマ帝国)に言及した現存最古のものでもある。劉知幾信憑性をあまり考慮せず何もかも記載しようとしていると批判しているが、高似孫筆力があると評価している。 『虞翻別伝』 - 作者不明虞翻伝記引用の文に孫策孫権実名記されているため、呉で著されたものではないとされるが、三国時代作られものらしい。 『献帝紀』 - 『隋書』劉芳著とあるが、おそらく劉中国語版)著。劉後漢の人。ただし、献帝については途中までしか書かれていないらしい。 『献帝伝』 - 作者不明。『献帝紀』を増補したものらしい。曹丕献帝から禅譲された際の家臣の上奏文曹丕返答収録されている。禅譲受諾勧める上奏何度も固辞し謙譲の徳を強調した上で初め禅譲受けた様子がわかる。 『献帝春秋』 - 袁暐著。袁暐は張紘とともに呉に逃れた袁迪の孫。裴松之厳しく批判している。 『高貴郷公集』 - 曹髦著。詔勅詩賦自伝などの著作発給文書集。 『江表伝』 - 虞溥著。江南士人伝記集。裴松之は「粗いが筋道通っている」と評する孫盛赤壁の戦いでの劉備軍が(孫権軍賛美するために)過小評価されていると批判している。 『呉書』 - 韋昭著。呉の国史完成しなかったようで、本書依拠して書かれ陳寿の「呉書」にまでその影響及んでいる。 『呉歴』 - 胡沖著。呉の歴史書であり、全6巻構成裴松之劉備曹操から離れる際に種植えて遁走したという記述は、事実とかけ離れていると強く批判している。 『呉録』 - 張勃(中国語版)著。張勃は呉の張儼の子で晋の人。紀伝体書かれた呉の歴史書であり、全30巻で構成。 『後漢紀』 - 『漢紀』とも。袁宏著。後漢から魏への禅譲批判し間接的に蜀漢正統論を採る。現存している。 『後漢書』 - 謝承著。後漢扱った紀伝体歴史書では、最も早く作られたという。 『山陽載記』 - 楽資著。楽資は西晋著作郎裴松之厳しく批判する一方で蜀書魏書正誤判断するのに用いている。 『荀氏家伝』 - 荀伯子著。潁川荀氏の家伝。 『襄陽記』 - 習鑿歯著。襄陽郡人物伝。 『諸葛亮集』 - 陳寿編。『諸葛氏集』とも。諸葛亮書簡発給文書集。 『蜀記』 - 王隠著。蜀漢歴史書裴松之は『蜀記』の引く話は作り話が多いと厳しく非難している。 『続漢書』 - 司馬彪著。後漢歴史書。志のみ、正史『後漢書』付され現存。 『志』 - 虞喜著。虞喜東晋の人。呉の歴史民話記されている。 『晋紀』 - 『晋記』とも。干宝著。紀伝体書かれ西晋歴史書『晋書』 - 王隠著。父の王銓から親子2代にわたる著作王隠東晋著作郎西晋歴史書正史『晋書』とは別。同じく西晋歴史書こうとした虞預(中国語版)は、王隠原稿借り受け勝手に写し取った上、王隠を陥れ免職にさせた。王隠庾亮から紙筆の提供を受け、やっと完成させたという。正史『晋書』では「見るべき内容全て父の編纂したところで、文体乱雑意味不明なところは隠の作である」と評されている。 『晋書』 - 虞預著。虞預は東晋の人。前出通り王隠著書盗作疑惑がある。 『捜神記』 - 干宝著。志怪小説集。現在の小説とは違い本当にあった話という姿勢書かれている現存のものは後世の話が混じっている。 『世語』 - 郭頒撰の『魏晋世語』のこと。裴松之によれば内容多少問題はあるが、たまに変わった記事があるので、よく世間読まれており、孫盛干宝らもこの書から多く採録している。 『曹瞞伝』 - 作者不明だが、呉の人という。曹操悪行といえる内容だが、後世の人にはむしろ痛快といえる逸話もある。信憑性はともかく、『三国志演義』にも大い取り入れられている。 『趙雲別伝』 - 作者不明趙雲伝記陳寿の本文区別するため「別」伝と表記している。『三国志演義』描かれる趙雲活躍は、多く本書拠っている。 『典論』 - 曹丕著。文学論自伝人物評など中国における文芸評論さきがけで、文学地位高めた文章経国大業にして、不朽の盛事なり」の一文知られる『傅子』 - 傅玄著。思想歴史評論。魏の記事多く、親司馬氏立場から、司馬氏対立した人士批判している。 『弁亡論』 - 陸機著。父祖故国である呉の功績顕彰しつつ、呉が滅んだ理由論じている。 『黙記』 - 張儼著。諸葛亮高く評価した評論など諸葛亮2度目上表した「後出師表」(後人偽作説が有力)の出典とされる[要出典]。 『零陵先賢伝』 - 作者不明零陵郡人物伝漢室復興立場から、劉備皇帝即位批判している。

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