窒素酸化物とは? わかりやすく解説

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ちっそ‐さんかぶつ〔‐サンクワブツ〕【窒素酸化物】

読み方:ちっそさんかぶつ

酸化窒素総称。ふつう大気汚染物質である一酸化窒素二酸化窒素混合物をさす。ノックスNOx)。

「窒素酸化物」に似た言葉

窒素酸化物(NOx)

一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)が主なものです。これらは,石油石炭燃焼伴って発生し工場ビル自動車などから排出されます。窒素酸化物は,高温燃焼過程でまずNOのかたちで生成され,これが大気中に放出されたあと酸素と結びついてNO2となります。この反応はすぐには起こらないので,大気中にはNOとNO2とが共存してます。
窒素酸化物は燃焼状態が良好なとき,効率よく燃焼しているとき多く発生するので,その対策問題になってます。現在行われている対策燃焼ガスもう一度燃焼室戻して燃焼温度低下させたり水噴射を行う方法等がとられています。
主な発生源は,自動車エンジンボイラー工場家庭暖房など広範囲わたってます。
NO2係る環境基準1時間値1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること。

窒素酸化物(NOx) (ちっそさんかぶつ)

 窒素酸化物は、空気中で石油石炭等の物の燃焼合成分解等の処理を行うとその過程で必ず発生するもので、燃焼温度高温になるほど多量に発生する。その代表的なものは、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素NO2)であり、発生源発生する窒素酸化物は90%以上がNOである。窒素酸化物は、高温燃焼過程でまずNOの形で生成され、これが大気中に放出された後、酸素と結びついてNO2となる。この反応はすぐに起こるものではないことから、大気中ではその混合物として存在している。発生源としては、ばい煙発生施設等の固定発生源と、自動車等移動発生源がある。
 窒素酸化物は人の健康に影響与える。また、窒素酸化物は紫外線により炭化水素光化学反応起こしオゾンなど光化学オキシダント生成する二酸化窒素難溶性のため呼吸時に深部肺胞達し呼吸器系炎症起こす

窒素酸化物


窒素酸化物

英語 nitrogen oxides

燃焼時の高温により空気中の酸素窒素化合してできるもので、一酸化窒素二酸化窒素のほか種々の窒素酸化物を生じるが、これらを総称して窒素酸化物という。一酸化窒素無色無臭ガスであり、大気中で徐々に酸化して二酸化窒素に変わる。二酸化窒素刺激臭を伴う茶褐色ガスであり、粘膜刺激する有害物質である。窒素酸化物は炭化水素共存するとき、強い日光が当たると光化学スモッグ生じる。日本では排出ガス規制導入により大気中の窒素酸化物は減少傾向にあるが、二酸化窒素環境基準達成度が不十分であり、とくにディーゼル車についてはさらなる排出削減要求されている。

参照 酸性雨排出ガス規制
※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

窒素酸化物

読み方ちっそさんかぶつ
【英】: nitrogen oxides
同義語: ノックス  
略語: NOx

燃料高温燃焼する一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO2)などの窒素酸化物が発生する。窒素酸化物は一般に NOx とも呼ばれるが、工場ビルなどの固定発生源のほか、自動車など移動発生源からも排出されるまた、窒素酸化物は燃焼過程で、まず NO の形で生成され、これが大気中に放出された後、酸素結合し NO2 になる。この反応はすぐには起こらないので、大気中では NO と NO2 とが共存している。NO は無色・無臭であるが、NO2赤褐色で、高濃度場合には眼を刺激したり、呼吸器急性のぜん息性の症状ひき起こすなど有害である。しかし、一般生活環境では NOx濃度はかなり低いが、光化学スモッグなどとも関連するといわれており、また、窒素酸化物としては燃焼自体によって空気中の窒素酸化されて発生するサーマル NOx と、燃料中に含まれている微量の窒素酸化物が燃焼酸化)されて発生するフューエル NOx とがある。 NOx燃焼状態が良好なときや、効率良く燃焼しているときに多く発生する傾向があるので、その対策問題になる。

ノックス

読み方のっくす
【英】: nitrogen oxides
同義語: 窒素酸化物  
略語: NOx NOx

»窒素酸化物

窒素酸化物

英訳・(英)同義/類義語:NO_x, nitrogen oxide

特に大気汚染尺度として窒素酸化物集合的に呼ぶ名称で、窒素原子酸化数により、NOやNO3など多く存在する
「生物学用語辞典」の他の用語
化合物名や化合物に関係する事項:  硬水  神経分泌物質  窒素  窒素酸化物  第2アルコール  第3アルコール  等張液

窒素酸化物

自動車排気ガス工場煤煙にはNO、NO2主体とする窒素酸化物(NOX)が含まれている。一次生成物のNOが大気中でオゾン等により酸化されてNO2となり、さらに紫外線関与して光化学スモッグ形成されるNO2光化学スモッグ喘息増悪させる。

窒素酸化物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/25 00:19 UTC 版)

窒素酸化物(ちっそさんかぶつ、: nitrogen oxides) は窒素酸化物の総称。

一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、三酸化窒素中国語版(NO3)、亜酸化窒素(一酸化二窒素)(N2O)、三酸化二窒素(N2O3)、四酸化二窒素(N2O4)、五酸化二窒素(N2O5)など。化学式の NOx から「ノックス」ともいう。

生成

自然界において窒素酸化物は、あるいは土壌中の微生物によって生成される。たとえば微生物が多い土壌に豊富な化学肥料を与えると土壌微生物が分解して窒素酸化物を放出する例が知られている。

物質燃焼するときにも一酸化窒素や二酸化窒素などが発生する。この場合、高温・高圧で燃焼することで本来反応しにくい空気中の窒素と酸素が反応して窒素酸化物になる場合(サーマルNOx)と、燃料由来の窒素化合物から窒素酸化物となる場合(フューエルNOx)がある。たとえば、排気ガスや天然ガスボイラー(家庭用調理ガス器具を含む)などから排出される窒素酸化物は前者が主であり、石炭が燃焼した場合の窒素酸化物はそのほとんどが石炭中の窒素化合物に由来することが知られている。

四酸化二窒素は二酸化窒素と平衡状態にあり、環境中など低圧・低濃度では二酸化窒素側に偏っている。

(各窒素酸化物の生成法は当該記事に詳しい)

大気から陸上に沈着する窒素量は、1890年から1990年の100年間で5倍に増加し21世紀初頭時点では 125 Tg-N y-1(テラグラム窒素毎年)とされており、放出量の80 %が肥料が起源で20 %が燃焼が起源である[1]

人体に対する作用

二酸化窒素(NO2)自体は中性でから吸収されやすい赤褐色の気体または液体。細胞内では二酸化窒素は強い酸化作用を示して細胞を傷害するので、粘膜の刺激、気管支炎肺水腫などの原因となる。

一酸化窒素(NO)については、1980年代頃から、その生体内での生理機能について研究が進み、血管拡張作用を持つことなどが明らかにされたほか、この一酸化窒素が神経伝達物質としても作用することが判明した。なお、1998年のノーベル生理学・医学賞は、この一酸化窒素の生理作用の発見に対して贈られている。現在でも、その多様な生理機能について研究が続いている。

NO、NO2を吸入するとメトヘモグロビンが生成する[2]。メトヘモグロビンは、通常のヘモグロビンに配位されている二価(フェロ)の鉄イオンが三価(フェリ)になっているもので、酸素を運ぶことができない。

一酸化二窒素(N2O)は麻酔作用を持つため、吸入麻酔剤として医療現場で使用されている。

除去方法

NOxの防除技術としては、バーナー燃焼法の改善によって低NOx化を実現する低NOx燃焼法と,排ガス中からNOxを除去する排煙脱硝法がある[3]

低NOx燃焼法
空気中の窒素に起因するいわゆるサーマルNOxと、燃焼中に含まれる窒素化合物に起因するフューエルNOxがある。双方に有効な方法として、燃焼用空気を二段階に分けて吹き込む二段燃焼法が、ガス燃焼から石炭燃焼に至るまで最も広い範囲で用いられている。
排煙脱硝法
湿式法と乾式法があり、大型燃焼装置では現在乾式法の一つである選択触媒法が主流となっている。煙道部の手前で排ガス中にNH3を吹き込み、下流部に設置された触媒反応器で、NH3によるNOの選択的還元を行わせる。

対策

ディーゼルエンジンの取り組み
尿素SCRシステム
鉄道での取り組み
JR各社では、ディーゼルカーに搭載されているディーゼルエンジンからの窒素酸化物削減に取り組んでおり、JR東日本キハE130系気動車JR四国1500形気動車などが低排出車である。

環境問題

窒素酸化物は硫黄酸化物とならび酸性雨(酸性降下物)粒子状物質の原因物質で、硫黄酸化物は脱硫装置により液体の化石燃料由来の発生抑制させる事が可能であるが、燃焼(高温との接触)で生成される窒素酸化物の生成抑制は困難である。生成された窒素酸化物は降雨や霧(湿性沈着)や粒子状物質の降下(乾性降下)などにより地上に沈着し森林生態系に蓄積されると共に、森林への蓄積量が飽和量を超えると流下する水の硝酸イオン濃度を上昇させる[1]

大気汚染
これらは、光化学スモッグや酸性雨などを引き起こす大気汚染原因物質である。主な発生源は、内燃機関をもつ自動車排気ガスであり、平成4年に制定(平成13年改正)された自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)によって、規制されることになる。
特に毒性の高い二酸化窒素(NO2)は、大気汚染防止法によって環境基準が定められている。
NO2の環境基準:1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること。
温室効果
また、一酸化二窒素(N2O、亜酸化窒素)は二酸化炭素の310倍の温室効果がある。
オゾン層の破壊
1970年代スウェーデンのクルーツェン氏が、成層圏でNOxが触媒作用でオゾン消滅反応に作用していることを指摘し、オゾン層科学に進展がもたらされた[4]
2008年にN2Oが最大のオゾン層破壊物質であったことが米研究チームにより発表された[5]

脚注

  1. ^ a b 田林雄、山室真澄「大気降下窒素が渓流水に流出する過程」『地学雑誌』第121巻第3号、2012年、411-420頁、doi:10.5026/jgeography.121.411 
  2. ^ 石井邦彦「アカタラセミアマウスに一酸化窒素,二酸化窒素曝露時のメトヘモグロビン生成」『岡山医学会雑誌』第101巻、第5-6号、473-486頁、1989年。doi:10.4044/joma1947.101.5-6_473 
  3. ^ 定方正毅「酸性雨対策としてのSOx,NOx防除技術の最近の動向と将来展望」『国立環境研究所ニュース』第8巻第4号、1990年、8-9頁。 
  4. ^ 佐々木徹「オゾン層(創立125周年記念解説)」『天気』第54巻第5号、2007年、391-394頁、CRID 1520572359393464192 
  5. ^ Ravishankara, A.R.; Daniel, John S.; Portmann, Robert W. (2009). “Nitrous Oxide (N2O): The Dominant Ozone-Depleting Substance Emitted in the 21st Century”. Science 326 (5949): 123-125. doi:10.1126/science.1176985. PMID 19713491. 

窒素酸化物 (NOx)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 01:09 UTC 版)

排気ガス」の記事における「窒素酸化物 (NOx)」の解説

高温高圧状態になる燃焼室では窒素酸化しやすく発生する排出ガス全体のうち、自動車排出ガスによる発生量が3割を占める。窒素酸化物には酸素結合量によっていくつ種類があるため通常酸素の数を x と表記し、各種の窒素酸化物をまとめて示している。

※この「窒素酸化物 (NOx)」の解説は、「排気ガス」の解説の一部です。
「窒素酸化物 (NOx)」を含む「排気ガス」の記事については、「排気ガス」の概要を参照ください。


窒素酸化物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 14:46 UTC 版)

福寿鉱泉水」の記事における「窒素酸化物」の解説

NO2-(uM)N換算値(ppm)NO3-(uM)N換算値(ppm)福寿鉱泉水 0.02 0.000 0.04 0.001 水道水 0.03 0.000 138.87 1.944 N換算値NO2-(亜硝酸イオン)及びNO3-(硝酸イオン)中の窒素含有量を示す。 ※水道法による基準値は、総窒素酸化物のN換算値が10ppm(mg/l)以下 ※1mg/l=1ppm=1000ppb

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