社会思想・政治思想とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 社会思想・政治思想の意味・解説 

社会思想・政治思想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:31 UTC 版)

東浩紀」の記事における「社会思想・政治思想」の解説

東浩紀フランス哲学研究者として知られるが、社会思想については、ローティ偶然性アイロニー連帯』、ピーター・シンガー実践の倫理』、ノージックアナーキー・国家・ユートピア』など、英語圏思想傾倒する東浩紀自身社会思想について、そういった英語圏伝統フランス現代思想ポストモダンの「上」に載っかっているとしている。 また、高橋哲哉鵜飼哲などの研究者ジャック・デリダ思想援用しつつ左派系の社会思想展開していることについて、デリダ研究者でもあった東浩紀は、そういった社会思想社会運動そのもの良いしながらも、それらとデリダ哲学結びつけることには論理的な飛躍があるとし、非難している。 また東浩紀は、ジル・ドゥルーズに関する研究踏まえて社会運動展開する國分功一郎についても、社会運動そのもの良いがそれとドゥルーズ哲学は結びつかないではないかとし、同様の指摘をしている。 社会思想関わる東浩紀哲学概念のなかで、一貫して非常に重要な概念となる「動物化」は、その著書動物化するポストモダン』(2001年)において提示されたものであるアレクサンドル・コジェーヴ著書ヘーゲル読解入門』において示した欲望欲求差異に基づく人間と動物の定義を引用しつつ、東浩紀は、独特の行動様式を持つと考えられていたおたく文化圏分析素材にしつつ、現代社会における人間様態を、「動物化」、「データベース消費」といった概念提示することで論じた人間性動物性二項対立は、『動物化するポストモダン以降東浩紀人間観における中核をなし、他のあらゆる議論通底している。東浩紀引用しながら同じく動物化」を論じた國分功一郎(『暇と退屈の倫理学』を参照)との対談のなかで、東浩紀は、その人間観において「常に人間原理動物原理同時に動いている」、「人間と動物両方あるのが本当人間である」と発言し二元論強調している。これは、一元論思考する國分が、一元的秩序のなかに動物人間並べ人間生成論じているため、その哲学原理的な差異説明した発言である。人間原理動物原理二項対立によって語られる動物化」の議論は、後に『一般意志2.0』(2011年)において語られる人間的公共性動物的公共性の対に受け継がれるものであり、遡れば『存在論的、郵便的』(1998年)において語られ単数性と複数性の対としての二つ超越論性の二項対立通底するものであり、このように東浩紀議論は、一貫して二元論に従っている。東浩紀は、「哲学的に言えば弁証法生み出す単数人間的公共性対抗して、<「誤配」が作り出す動物的複数公共性」を考える>というのが「一般意志2.0」の構想で、これは存在論郵便的と動物化するポストモダンの完全な延長にあるプロジェクトです。」と発言し、『存在論的、郵便的』、『動物化するポストモダン』、『一般意志2.0』の三つ仕事関連について説明している。 2002年、「情報自由論」と題する論考を『中央公論』(2002.7~2003.10)に連載していた。当初、東は、同書を「『動物化するポストモダン』と対をなし、東浩紀現代社会論の中核」であるとし、規律訓練型権力人間の「人間的」「主体的部分焦点当てた管理手法)は近代時代を、環境管理型権力(「動物的」「身体的部分焦点当てた管理手法)はポストモダン時代特徴づける歴史的な概念としていたが、情報社会論社会思想における東自身立場転換から、自由に関す議論自体再考余儀なくされ、「情報自由論」の単独での書籍化は断念された。同論考は、『情報環境論集東浩紀コレクションS』に掲載されている。書籍化の断念については、波状言論情報自由論」において東自身説明と、論文全文掲載されている。 「情報自由論」での挫折経て以降十年歳月をかけ、東は2011年に『一般意志2.0』を出版した出版後國分功一郎との対談のなかで東は、1998年に『存在論的、郵便的』を出版して以来十数年が経ち様々な経験経た上でそもそも自身の哲学原点である『存在論的、郵便的』で構想していたもの、「誤配」の概念二つ超越論性など、自身の哲学原理が、再びそのまま社会思想として立ち返ってきているという感覚があると語っている。そして、『存在論的、郵便的』の内容翻訳していくとそのまま一般意志2.0』になるとも語っている。國分功一郎も、『一般意志2.0』には、『存在論的、郵便的』で語られた「郵便」、『動物化するポストモダン』で語られた「データベース消費」というものがそのまま受け継がれ、また「情報自由論」での失敗経験反映されていると、書評において分析している。『一般意志2.0』は、前節哲学の自己証明」にも述べた通り、『動物化するポストモダン以降彼が構想していた、消費社会情報化社会可能にした社会思想一つの例でもある。そこで語られていることは、ジャン=ジャック・ルソー時代はまった知られ、または想定されていなかった哲学的概念科学技術ジークムント・フロイト集合的無意識クリストファー・アレグザンダー都市計画理論など、あるいはインターネットとそこに展開されているSNSなど)を用いてルソーテクストとそこに示される一般意志解釈試みている。このことについて、東は同書本文中にそのような蛮勇は、一般に学問世界では許されない」ことを自覚する旨を記し、「本書あくまでもエッセイである」としている。また東は、このように古典を「現代的」に読み直すという取り組みについては、かつての師である柄谷行人から学んだものであり、『一般意志2.0』は柄谷から受けた宿題への回答のつもりでもあるとしている。 『一般意志2.0』において、東は、自身二元論哲学動物化の概念から、動物的な憐れみ」によるセーフティーネット公共性動物的公共性誤配によって起こる公共性)と解釈し動物的公共性なるものを提示している。これまで社会哲学政治哲学専ら対象としてき人間的公共性とともに、それと同時に動物的公共性活用していくべきだという主張を行う。そこで、公共圏生成には人間的な言語的コミュニーケションが欠かせないとしているアーレントハーバーマス批判的に引用している(東の視点では、アーレントハーバーマスは、公共性議論において、人間的公共性のことしか考えていない動物的公共性についても同時に考察するところが、東のオリジナリティとなる)。また社会道徳倫理について、東は、カント主義のような普遍的」な道徳ではなく、「あくまでも目の前存在対す個別憐れみ」を重視するべきだという議論を、ルソーローティ引用しながら展開している。東は『一般意志2.0』の第一三章において、ルソーの「憐れみ」とローティの「アイロニー」を引用し両者議論について、非常に近い社会形成観があるとした。また、自身も、ルソーローティ議論同じく実践的な倫理は、目の前存在対す憐れみ想像力あるべきだと主張するまた、ヘーゲル想定してたような絶対精神具現化としての国家」は実践的に機能しないとも、東は発言している。 『一般意志2.0』は以上のような内容を持つが、一般にルソーロールズ政治哲学に繋がると解されるものであり、東浩紀のようにローティ接近させることは独自性のある特異な解釈である。東は主流思想史解釈対し自覚的且つ意図的にカウンターをあてているのである21世紀初頭における、Twitterというメディアと、そのコミュニケーション(あるいはコミュニケーション不全)の形態登場を、東浩紀は、思想史的、特に言語哲学的に非常に重大な事件捉えている。『一般意志2.0』においても、「憐れみネットワーク」の具体例として、Twitterというツールについて度々言及している。同書出版より少し前(2011年初頭)に東浩紀は、もしも自分がいま大学院生であればデリダウィトゲンシュタインクリプキなどの理論用いてTwitter言語哲学に関する論文書いていただろうという旨の発言をしている。また、討議理性とか近代的公共性とかの権化のようなユルゲン・ハーバーマスがもしもTwitter一瞬でも触ったならば、その事実だけを以て十分に思想的事件だろうとも発言している。 2017年、東は『存在論的、郵便的』、『一般意志2.0』などで展開した議論踏まえ、『観光客哲学』を自らの出版社ゲンロンから刊行した

※この「社会思想・政治思想」の解説は、「東浩紀」の解説の一部です。
「社会思想・政治思想」を含む「東浩紀」の記事については、「東浩紀」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「社会思想・政治思想」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「社会思想・政治思想」の関連用語

社会思想・政治思想のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



社会思想・政治思想のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの東浩紀 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS