データベース消費とは? わかりやすく解説

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データベース消費

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/26 16:36 UTC 版)

データベース消費(データベースしょうひ)とは、物語そのものではなくその構成要素が消費の対象となるようなコンテンツの受容のされ方を指す[1]批評家東浩紀ゼロ年代初頭に導入した概念。


注釈

  1. ^ 東園子の場合は物語消費の中でも特に「大きな物語」として世界観を想定したものを世界観消費と呼んでいる[3]
  2. ^ 「動物化」の概念は、しばしば社会学者のジョージ・リッツァが導入したマクドナルド化(合理性や計算可能性の過剰な重視)と結びつけて論じられる[16][17]。ゾライズムと結び付けられることもある[18]
  3. ^ この世の果てで恋を唄う少女YU-NO#ポストモダン哲学との関連も参照。
  4. ^ 伊藤自身は物語内部で存在感を持つ「キャラクター」と作品外へ遊離する「キャラ」を使い分けているため、彼の用法ではキャラの自律化である。
  5. ^ ただし、オタク文化内でもMADムービーという形で機械的なコピーによる二次創作が行われることはある[35]
  6. ^ 社会学者鈴木謙介による造語で、2ちゃんねるの書き込みにみられる、先行するコメントへの言及を重ねながら全てが「ネタ」であるかのように振舞うコミュニケーション作法。社会学者の北田暁大によるつながりの社会性もほぼ同じ意味。
  7. ^ キャラ (コミュニケーション)#キャラとアイデンティティを参照。
  8. ^ ここでいう実用書的小説とは、岩崎夏海の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』や堀江貴文の『拝金』『成金』のような、小説というパッケージでリリースされながら実態としては実用書のような受容のされ方をしているもののこと。
  9. ^ ここでいう「アーカイヴ」は、哲学者ジャック・デリダによる『アーカイヴの病』を意識したもの。
  10. ^ a b オタクの世代別傾向についてはおたく#世代的遷移を参照。
  11. ^ そのほかの3つは、「大規模・絶対的」がポストモダン以前の大きな物語、「小規模・絶対的」がオウム真理教などカルト集団やオタク第一世代の物語消費、「大規模・相対的」が環境管理型権力(非物語=システム)、となる。
  12. ^ リアル系ケータイ小説といわれるジャンルでは、主人公の少女が難病やレイプといった衝撃的な事件を羅列的に経験するプロットが蔓延している。ケータイ小説#内容の特徴を参照。

出典

  1. ^ 『ゲーム的リアリズムの誕生』40頁。
  2. ^ 前島賢 『セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史』 ソフトバンククリエイティブ、2010年、111-112頁。ISBN 978-4797357165
  3. ^ 「妄想の共同体――「やおい」コミュニティにおける恋愛コードの機能」『思想地図〈vol.5〉特集・社会の批評』 252頁。
  4. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』40-47頁。
  5. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』131頁。
  6. ^ 東、大澤真幸 「虚構から動物へ」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』 講談社、2007年、65頁。ISBN 978-4062836296
  7. ^ 斎藤環 『キャラクター精神分析 マンガ・文学・日本人』 筑摩書房、2011年、214-215頁。ISBN 978-4480842954
  8. ^ 「動物化するオタク系文化」『網状言論F改―ポストモダン・オタク・セクシュアリティ 』28頁。
  9. ^ 山口「情報工学とライトノベル」『ライトノベル研究序説』青弓社、2009年、207頁。ISBN 978-4787291882
  10. ^ 暮沢剛巳 『キャラクター文化入門』 エヌ・ティ・ティ出版、2010年、18-19頁。ISBN 978-4757142565
  11. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』58-62頁。
  12. ^ 『セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史』106-107頁。
  13. ^ 東「立ちから萌えへ」『文学環境論集 東浩紀コレクションL』 講談社、2007年、222-223頁。ISBN 978-4062836210
  14. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』63-66頁など。
  15. ^ 東・大塚『リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか』講談社、2008年、63頁。ISBN 978-4062879576
  16. ^ 樫村愛子『ネオリベラリズムの精神分析―なぜ伝統や文化が求められるのか』光文社、2007年、89頁。ISBN 978-4334034153
  17. ^ 岩木秀夫 『ゆとり教育から個性浪費社会へ』 筑摩書房、2004年、10-11頁・200頁。ISBN 978-4480061515
  18. ^ 『リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか』157頁。
  19. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』126頁など。
  20. ^ a b 東園子「妄想の共同体――「やおい」コミュニティにおける恋愛コードの機能」『思想地図〈vol.5〉特集・社会の批評』 日本放送出版協会、2010年、253頁。ISBN 978-4140093481
  21. ^ 濱野智史 『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』 エヌ・ティ・ティ出版、2008年、242-245頁。ISBN 978-4757102453
  22. ^ 東浩紀・伊藤剛・谷口文和・DJ TECHNORCH・濱野智史「初音ミクと未来の音 同人音楽・ニコ動・ボーカロイドの交点にあるもの」『ユリイカ』2008年12月臨時増刊号、152頁。
  23. ^ 黒瀬陽平「キャラクターが、見ている。――アニメ表現論序説」『思想地図〈vol.1〉特集・日本』 日本放送出版協会、2008年、444頁。ISBN 978-4140093405
  24. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』113-116頁。
  25. ^ 伊藤『テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ』 NTT出版、2005年、54頁。ISBN 978-4757141292
  26. ^ 『ゲーム的リアリズムの誕生』37-45頁。
  27. ^ キネマ旬報映画総合研究所編 『“日常系アニメ”ヒットの法則』 キネマ旬報社、2011年、90頁。ISBN 978-4873763590
  28. ^ 野間口修二 (n.d.). “物語消費からデータベース消費へ”. ウェブ表現研究講義用資料. 2020年9月14日閲覧。
  29. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』92-94頁。
  30. ^ あらい ひろゆき「萌えアートを斬る!」週刊金曜日ニュース(2010年11月2日)
  31. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』132-135頁。
  32. ^ 岩田考 「多元化する自己のコミュニケーション――動物化とコミュニケーション・サバイバル」『若者たちのコミュニケーション・サバイバル―親密さのゆくえ』恒星社厚生閣、2006年、12頁。ISBN 978-4769910343
  33. ^ 伊藤剛 「「テクノ耳」と「アニメ絵目」 テクノとアニメ絵に共通する身体的な快楽原理」『マンガは変わる―“マンガ語り”から“マンガ論”へ』 青土社、2007年、264-267頁。ISBN 978-4791763856
  34. ^ 増田聡「データベース、パクリ、初音ミク」『思想地図〈vol.1〉特集・日本』 日本放送出版協会、2008年、151-156頁。ISBN 978-4140093405
  35. ^ 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』120-121頁。
  36. ^ 菊池俊介・コメカ・橘たちっぱな・三輪裕也・宇野常寛「Perfumeと相対性理論を語れば09年の音楽を語ったことになるなんて思わないよ絶対」『PLANETS vol.6』2009年、121頁。
  37. ^ 相原博之 『キャラ化するニッポン』 講談社、2007年、141-143頁。ISBN 978-4062879101
  38. ^ 鈴木謙介『暴走するインターネット―ネット社会に何が起きているか』 イーストプレス、2002年、216頁。ISBN 978-4872573022
  39. ^ 岡井崇之 「"ナチュラル"ボディを手に入れる 総合格闘技ファンの身体・コミュニケーション」『それぞれのファン研究―I am a fan 』 風塵社、2007年、181頁。ISBN 978-4776300359
  40. ^ 宇野常寛ほか「今、音楽批評は何を語るべきか?」『PLANETS SPECIAL 2011 夏休みの終わりに』 第二次惑星開発委員会、2011年、140頁。ISBN 978-4905325024
  41. ^ 宇野常寛 「ゼロ年代の想像力、その後」『ゼロ年代の想像力(文庫版)』早川書房、2011年、463頁。ISBN 978-4150310479
  42. ^ 『リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか』54頁。
  43. ^ 宮台真司 『日本の難点』 幻冬舎、2009年、23-24頁。ISBN 978-4344981218
  44. ^ 鏡裕之 『非実在青少年論―オタクと資本主義』 愛育社、2010年、207頁。ISBN 978-4750003825
  45. ^ 『ゼロ年代の想像力』310-311頁。
  46. ^ 「ゼロ年代の想像力、その後」『ゼロ年代の想像力(文庫版)』437-438頁。
  47. ^ 「2010カルチャー総括座談会 小説編」『CYZO×PLANETS SPECIAL PRELUDE2011』第二次惑星開発委員会、2010年、103頁、ISBN 978-4905325017
  48. ^ 濱野智史 『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』 エヌ・ティ・ティ出版、2008年、265頁。ISBN 978-4757102453
  49. ^ 田中秀臣 『AKB48の経済学』 朝日新聞出版、2010年、90頁。ISBN 978-4023308725
  50. ^ 栗原裕一郎 「『ゼロ年代の想像力』の掲げる「決断主義」は果たして「ニヒリズム」なのか」『大航海』 71号、73頁。
  51. ^ 大澤真幸 『不可能性の時代』 岩波書店、2008年、98頁。ISBN 978-4004311225
  52. ^ 萱野稔人橋本努「「批評」の再設定――10年代の論点とは何か」」『PLANETS vol.6』2009年、196頁。
  53. ^ 『リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか』133-136頁。
  54. ^ 『リアルのゆくえ──おたく オタクはどう生きるか』157-158頁。
  55. ^ 『キャラクター精神分析 マンガ・文学・日本人』205-206頁。
  56. ^ 『キャラクター精神分析 マンガ・文学・日本人』215-218頁。
  57. ^ 宇野常寛 『ゼロ年代の想像力』 早川書房、2008年、41-47頁。ISBN 978-4152089410
  58. ^ 「情報工学とライトノベル」『ライトノベル研究序説』207-209頁。
  59. ^ 稲葉振一郎 『モダンのクールダウン』 NTT出版、2006年、36-37頁。ISBN 978-4757101807
  60. ^ 後藤和智『おまえが若者を語るな! 』 角川グループパブリッシング、2008年、101-104頁など。ISBN 978-4047101531
  61. ^ 新井克弥『劇場型社会の構造―「お祭り党」という視点』青弓社、2009年、180頁。ISBN 978-4787233004
  62. ^ 『劇場型社会の構造―「お祭り党」という視点』182-183頁。
  63. ^ 『非実在青少年論―オタクと資本主義』207-208頁。
  64. ^ 『非実在青少年論―オタクと資本主義』208-210頁。
  65. ^ 「大阪は「ぼのぼの」やねん。 『あずまんが大王』から見た萌え、4コマ、マンガの現在」『マンガは変わる―“マンガ語り”から“マンガ論”へ』134-135頁。


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