パロディやおいと男性オタク向け二次創作の消費様式の違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 05:55 UTC 版)
「やおい」の記事における「パロディやおいと男性オタク向け二次創作の消費様式の違い」の解説
男性のオタクの間で行われる二次創作では多数の萌え要素の組み合わせで構成された美少女キャラクターが単体で消費の対象となっているのに対し(データベース消費を参照)、腐女子が行うやおい的二次創作は原作でのキャラクターとキャラクターの間の「関係性」に着目したものであり、これを東園子は「相関図消費」と呼んでいる。社会学者の宮台真司も(男性オタク的な)萌えと女性オタク的なやおいを、「記号のインフレ」と「関係のインフレ」と対比している。また、データベース消費な男性オタクの消費様式がしばしば他者との人間関係から独立した自己完結的なものであるのに対し(東浩紀は「動物化」と呼んでいる)、腐女子の妄想はそのコミュニティに密接に関わっている点でも異なる。男性のオタクでは個々の作品解釈について意見が分かれても深刻な対立に発展することはあまり無いが、腐女子のコミュニティではカップリングの解釈に対する異常なこだわりゆえに対立を生むことがある(カップリング (同人)#男性向けの場合も参照)。特に激しかった対立としては『キャプテン翼』の若島津健と日向小次郎のどちらを「攻め」、どちらを「受け」に設定するかというものがあり、作品発表から10年以上経過してもなお両方の解釈の同人作品が制作されている。 データベース消費の概念を提起した東浩紀自身は初期のオタク系文化について、男性オタクは「女性化」、女性オタクは「ホモソーシャルをホモセクシュアルに読み替える(#引用される理論で後述)」という形で男性優位社会のイデオロギーという大きな物語(社会全体に共有される価値観・規範)を虚構化して反復するという構図で捉えられるとした上で、1995年以降は 男女の区別なく「萌え」によるデータベース的な消費に移行しているとしている。また、男性オタクの間でギャルゲーに登場する美少女キャラクター同士の関係性を描いた二次創作がみられることについて、ほとんどやおい的な展開になっていると述べている。吉本たいまつは、男性オタク的な消費が「萌え要素」のデータベースによるものであることと同様に、やおい・ボーイズラブもカップリングの節で前述した「ヘタレ攻め」「誘い受け」などの関係性のデータベースを用いた消費であるため、データベースの構築に基づく消費という意味では男性オタクも女性オタクも類似していると述べている。評論家の金田淳子も「年下攻め」などの特別な用語は男性オタク的な「萌え要素」と共通する部分が多いとしながらも、それらの用語はあくまで(萌え要素のような単体のものではなく)関係性を表すものであることを強調している。 やおいから分岐した分野として幼い少年を性愛の対象とするショタものがあるが、この分野では男性の愛好家と女性の愛好家がほぼ同数で共存している。[要出典]ただし斎藤環は、男性作家によるショタものと女性作家によるそれでは、前述のような男女のセクシュアリティの欲望の差が反映されているとみている。
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