杉本和陽とは? わかりやすく解説

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杉本和陽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/30 08:31 UTC 版)

 杉本和陽 六段
名前 杉本和陽
生年月日 1991年09月01日(33歳)
プロ入り年月日 2017年04月01日(25歳)
棋士番号 310
出身地 東京都大田区
所属 日本将棋連盟(関東)
師匠 米長邦雄 永世棋聖
段位 六段
棋士DB 杉本和陽
2025年4月25日現在
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杉本 和陽(すぎもと かずお、1991年9月1日[1] - )は、日本将棋連盟所属の将棋棋士である。東京都大田区出身[1]攻玉社中学校・高等学校卒業[2]米長邦雄永世棋聖門下[1]。棋士番号は310[1]

棋歴

将棋を始めたのは6歳のとき。きっかけはアマチュア二段の父が指しているところを見て覚えたという[1][2]

2002年、第1回全国小学生倉敷王将戦高学年の部で優勝[3]

2003年、第28回小学生将棋名人戦で優勝[4]。同年9月に奨励会入会[5]

三段リーグには2008年の第44回から参加。8期目の第51回三段リーグ戦では後1勝で昇段、というところまで迫るも届かなかった。13期目の第56回三段リーグ戦では、3位になったことで次点を獲得した。16期目の第59回三段リーグ戦でも後1勝で昇段、というところまで迫ったが、再び届かず。そして17期目の第60回奨励会三段リーグ戦、2017年3月4日に行われた例会最終日で連勝し、12勝6敗・2位となったことで、遂に四段への昇段を決めた[1][注 1]

プロ入り後

デビューの2017年度は第3期叡王戦の四段予選決勝まで勝ち上がったが、藤井聡太に敗戦し本戦進出ならず。

2018年、初の順位戦(第76期順位戦)では4勝6敗となり、降級点の回避に成功した(以降の順位戦は昇級歴がないものの、2024年度まで勝ち越し続けている)。第68回NHK杯では予選突破するも、本戦1回戦で斎藤慎太郎に敗れる。

2019年、第32期竜王戦の昇級者決定戦を1回戦から怒涛の7連勝で制し、5組への昇級を決めた。

2025年度の第96期棋聖戦では本戦1回戦で前期挑戦者の山崎隆之を撃破[6]。準決勝で四段同期昇段した西田拓也を破り挑戦者決定戦進出[7]。さらに、2025年4月25日の挑戦者決定戦で永瀬拓矢九段に勝利しタイトル挑戦権を獲得、「五段昇段後タイトル挑戦」の昇段規定により同日付で六段に昇段した[8]

棋風

  • 振り飛車を主戦場としつつ、相手が振り飛車党の場合は居飛車にする。本人曰く「対抗形党」[9]。得意戦法はゴキゲン中飛車[1]
  • 攻め将棋で終盤巧者。長時間・長手数の対局が得意で、「粘り強い」と評される事が多い[10][11]

師匠

入門時および現在での公式の師匠は米長邦雄であり、米長の最後の弟子でもある。米長が「どうしても最後に弟子に取りたい」として杉本を入門させたという[12]

奨励会に在籍していた2012年12月18日に米長が亡くなった際、米長門下の筆頭弟子であった伊藤能門下となったが、その伊藤が2016年12月25日に死去してしまい、さらに米長門下の二番弟子であった中川大輔門下となった経緯を持つ。しかし、2017年に四段昇段でプロ入り後は、日本将棋連盟の慣習に従い、米長門下という扱いになっている。

人物

  • 趣味はバスケットボール[1]。 ※四段昇段時インタビューより
  • 昇段インタビューでは「三段リーグで戦っていた期間が長くて、応援していただいた人の顔が浮かび、感極まりました。」と涙を拭う仕草を見せた[13]
  • 対局時にはウィダーインゼリー(現名称・Inゼリー)を食べる[2]
  • 2020年1月、前年に一般女性と結婚していたことを発表した[14]

昇段履歴

昇段規定は、将棋の段級を参照。

  • 2003年09月00日関東奨励会入会 [1][5]
  • 2008年09月00日 : 三段(第44回奨励会三段リーグ〈2008年度後期〉からリーグ参加)[1][15]
  • 2017年04月01日 : 四段(第60回奨励会三段リーグ成績2位) = プロ入り [1]
  • 2021年07月08日 : 五段(勝数規定/公式戦100勝、通算100勝68敗)[16][17]
  • 2025年04月25日 : 六段(五段昇段後タイトル挑戦、通算212勝124敗)[18][19]

主な成績

タイトル戦

タイトル戦登場
登場回数 1回(獲得 なし)

在籍クラス

順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
出典[20]
(出典)竜王戦
出典[21]
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
2017 76 C250 4-6 31 6組 -- 2-1/昇0-1
2018 77 C235 6-4 32 6組 -- 0-1/昇7-0
2019 78 C220 7-3 33 5組 -- 0-1/昇1-1
2020 79 C208 6-4 34 5組 -- 1-1/昇0-1
2021 80 C215 8-2 35 5組 -- 0-1/昇3-1
2022 81 C207 7-3 36 5組 -- 3-1/昇1-0
2023 82 C205 4-6 37 4組 -- 2-1/昇1-1
2024 83 C232 7-3 38 4組 -- 1-1/昇0-1
2025 84 C214 - 39 4組 -- -
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

年度別成績

公式棋戦成績(奨励会当時)
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2011年度 2 1 1 0.5000 [22]
2012年度 2 0 2 0.0000 [23][24]
2013年度 2 1 1 0.5000 [25]
2014年度 4 2 2 0.5000 [26][27][28]
2015年度 4 2 2 0.5000 [29][30][31]
2016年度 2 0 2 0.0000 [32][33]
通算 10 5 5 0.5000
2017年4月1日 四段昇段
公式棋戦成績(四段昇段後)
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典) 通算成績
2017年度 40 25 15 0.6250 [34] 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2018年度 43 24 19 0.5581 [35] 83 49 34
2019年度 44 27 17 0.6136 [36] 127 76 51
2020年度 31 17 14 0.5483 [37] 158 93 65
2017-2020
(小計)
158 93 65 通算成績
年度 対局数 勝数 負数 勝率 (出典) 対局数 勝数 負数 勝率 (出典)
2021年度 42 28 14 0.6666 [38] 200 121 79 0.6050 [39]
2022年度 41 28 13 0.6829 [40] 241 149 92 0.6182 [41]
2023年度 34 19 15 0.5588 [42] 275 168 107 0.6109 [43]
2024年度 57 40 17 0.7017 [44] 332 208 124 0.6265 [45]
2021-2024
(小計)
174 115 59
通算 332 208 124 0.6265 [45]
2024年度まで

脚注

注釈

  1. ^ 同時昇段の西田拓也は、杉本が優勝した第28回小学生名人戦のベスト4で、三段リーグ在籍期間(17期)、四段昇段時の年齢(25歳)が同じであった。
  2. ^ 第83期順位戦」C級2組8回戦(2025年1月16日対局・上村亘五段戦)[46]での3手目棋譜コメント「杉本の今年度成績は31勝9敗(0.775)/通算成績は199勝116敗(0.632)」より、対局前時点での通算成績は「199勝116敗」。この成績には未放送のテレビ棋戦「第33期銀河戦」本戦Aブロック2回戦(2024年10月31日対局、2025年1月30日放送)、同3回戦(2024年10月31日対局、2025年2月27日放送)の成績「1勝1敗」を含めておらず、この未算入分を加算すると「200勝118敗」。200勝目に該当する対局は2025年1月7日の第38期竜王戦4組 対渡辺大夢戦となる[47]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k 新四段誕生のお知らせ」『日本将棋連盟』2017年3月4日。
  2. ^ a b c プロ棋士の杉本和陽四段(本校卒業生)が来校!”. 攻玉社 (2017年6月12日). 2020年11月1日閲覧。
  3. ^ 第1回全国小学生倉敷王将戦”. www.shogi.or.jp. 2024年12月12日閲覧。
  4. ^ 第28回小学生将棋名人戦【代表選手一覧】”. www.shogi.or.jp. 2021年1月20日閲覧。
  5. ^ a b 関東奨励会5級」『日本将棋連盟』。2004年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  6. ^ 山崎隆之九段VS杉本和陽五段 ヒューリック杯第96期棋聖戦決勝トーナメント 杉本五段の勝利」『日本将棋連盟』2025年3月18日。
  7. ^ 西田拓也五段VS杉本和陽五段 ヒューリック杯第96期棋聖戦決勝トーナメント 杉本五段の勝利」『日本将棋連盟』2025年4月18日。
  8. ^ 永瀬拓矢九段VS杉本和陽五段 ヒューリック杯第96期棋聖戦挑戦者決定戦 杉本五段の勝利」『日本将棋連盟』2025年4月25日。
  9. ^ 日本将棋連盟・携帯中継「好局振り返り」本人コメント(2018年3月17日)
  10. ^ 「プロ棋士カラー名鑑 2018」(扶桑社)
  11. ^ 携帯中継「好局振り返り」(2018年3月17日)ほか
  12. ^ 地獄の淵を見てきた杉本和陽四段、初のNHK杯戦 NHKテキストView
  13. ^ 日本将棋連盟公式web・中継ブログ(2017.3.4)など。
  14. ^ 杉本和陽四段が結婚|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2020年11月1日閲覧。
  15. ^ 関東奨励会二段【2008年3月~2008年9月】」『日本将棋連盟』。
  16. ^ a b 杉本和陽四段が五段に昇段」『日本将棋連盟』2021年7月9日。
  17. ^ a b (要購読契約) 井出-杉本和 | 2021/07/08 第80期順位戦C級2組3回戦」『名人戦棋譜速報』2021年7月8日。
  18. ^ 杉本和陽五段が六段に昇段」『日本将棋連盟』2025年4月28日。
  19. ^ 通算成績(2025年4月25日対局分まで)」『日本将棋連盟』。2025年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  20. ^ 名人戦・順位戦」『日本将棋連盟』。
  21. ^ 竜王戦」『日本将棋連盟』。
  22. ^ 2011年6月の対局結果 - 日本将棋連盟
  23. ^ 2012年6月の対局結果 - 日本将棋連盟
  24. ^ 2012年12月の対局結果 - 日本将棋連盟
  25. ^ 2013年5月の対局結果 - 日本将棋連盟
  26. ^ 2014年5月の対局結果 - 日本将棋連盟
  27. ^ 2014年9月の対局結果 - 日本将棋連盟
  28. ^ 2014年11月の対局結果 - 日本将棋連盟
  29. ^ 2015年6月の対局結果 - 日本将棋連盟
  30. ^ 2015年11月の対局結果 - 日本将棋連盟
  31. ^ 2016年3月の対局結果 - 日本将棋連盟
  32. ^ 2016年5月の対局結果 - 日本将棋連盟
  33. ^ 2016年11月の対局結果 - 日本将棋連盟
  34. ^ 2017年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
  35. ^ 2018年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
  36. ^ 2019年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
  37. ^ 2020年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
  38. ^ 2021年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
  39. ^ 通算成績(2022年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2022年4月1日時点のアーカイブ)
  40. ^ 2022年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
  41. ^ 通算成績(2023年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2023年4月1日時点のアーカイブ)
  42. ^ 2023年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
  43. ^ 通算成績(2024年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2024年4月1日時点のアーカイブ)
  44. ^ 2024年度棋士成績・記録 - 日本将棋連盟
  45. ^ a b 通算成績(2025年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2025年4月1日時点のアーカイブ)
  46. ^ (要購読契約) 上村-杉本和 | 2025/01/16 第83期順位戦C級2組8回戦」『名人戦棋譜速報』2025年1月30日。
  47. ^ 杉本和陽|棋士データベース」『日本将棋連盟』。2025年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。

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