明礬石鉱床の本格開発と挫折とは? わかりやすく解説

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明礬石鉱床の本格開発と挫折

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 02:09 UTC 版)

伊豆珪石鉱山」の記事における「明礬石鉱床の本格開発と挫折」の解説

宇久須の北にある土肥金山は、銅製錬の溶剤としてのケイ酸鉱を産出するため金鉱山整備令適用免れ戦時下でも採掘継続していた。しかし隣の宇久須明礬石開発本格化する中で、1944年6月には操業停止となり、鉱山設備人員資材宇久須明礬石鉱山振り向けられることとなった土肥金山の他にも、本格操業向けて全国各地鉱山鉱山設備から転用なされた鉱山本格開発住友鉱業主導し、まずは住友赤平炭鉱からやって来た従業員鉱山経営実務担っていたが、その後住友鉱業本社社員派遣され経営を担うようになって経営体制整えられた。 鉱山働いていたのは、主に徴用された中国人朝鮮人、そして勤労学徒たちであった採掘中国人朝鮮人一部勤労学徒が行い、勤労学徒中にはサツマイモ栽培事務補助等の仕事行っていた者もいた。また朝鮮人中国人は、鉱山付属する設備道路工事にも従事した採掘され鉱石トロッコ運搬されインクライン山から降ろされトラック積まれ土肥港運ばれて船で搬出された。宇久須鉱山関連働いていた朝鮮人は約800人、中国人は約200人との推定がある。 鉱山労働環境劣悪であった中国人食事コウリャン粉、トウモロコシ粉、小麦粉練ってソフトボール大にしたもの一日一つであり、カエル殺して労働者同士分けて食べていたといい、皆、痩せてしまいよろよろ歩いている状態で、結核などの疾病怪我栄養失調亡くなった者も多かった勤労学徒に対して衣類十分に支給できず、食事消化悪く栄養不足なものが多く多く学生体調崩した中国人朝鮮人はしばし脱走しその都度大掛かりな山狩りが行われた。1944年9月には朝鮮人争議起こし警察出動し朝鮮人10名を傷害罪検挙する事件起きた前述のように宇久須採掘され明礬石選鉱を行う必要があった。計画では山元一部鉱石浮遊選鉱行い残り土肥金山送って浮遊選鉱行い選鉱後の鉱石日本軽金属清水工場送りアルミニウム製錬する予定であった。そこで軍需省直轄大規模な浮遊選鉱場の工事始められた。しかし各種鉱山設備浮遊選鉱場は未完成のまま終戦迎えることになり、終戦までに稼働出来たのは土肥清水小規模な選鉱場のみであった鉱山本体に関しても、前述のように詳細な探鉱調査が行われた深田鉱床露天掘りによる本格的な採掘開始準備進められたものの、本格稼働前に終戦となった宇久須からの明礬石受け入れ日本軽金属側もアルミニウム製錬が難航していた。日本軽金属では戦況悪化の中で放棄され南方でのアルミニウム製工場建設用の資材等を流用して伊豆明礬石による製錬設備建設することにした。しかし昭和電工採用され実績もあって製錬法の主力として期待していた明礬石苛性ソーダ法は、まず大量苛性ソーダ使用する必要があり、仁科産の明礬石含まれる不純物アルミナ精製著しく阻害し、その上鉱石中の硫黄分精製機器腐食させる等の障害起きるなど実用化難航する中で、主に大陸方面から入手していく予定であった苛性ソーダ十分に確保できなくなり計画遂行が困難となった明礬石マグネサイト法においても大陸方面から入手予定であったマグネサイトの手配が困難となったため、やはり計画通りには進まなかった。結局日本軽金属清水工場での明礬石へのアルミニウム原料転換工事は、1945年5月中断となった大陸からの原料入手が困難となった後、日本本土調達できる原料アルミニウム製錬を行うための模索続けられた。候補となったのが石灰法と土窯法という方法であった国内資源のみでアルミナ製造できて、しかも選鉱後の鉱石の品位大きな問題とならないため、軍需省側から要請もあって日本軽金属伊豆明礬石石灰法で処理する計画立てることになり、パイロットプラント建設進めたが、完成とほぼ時を同じくして終戦となった一方土窯法は明礬石炭素石灰石花瓶のような容器入れ陶磁器用の登り窯使って混焼してアルミナ製造する方法で、浅田化学研究していた方法であった土窯法は軍需省東海軍需監理部長の岡田資中将浅田化学から情報入手し日本軽金属側に盛んに採用働きかけたものの、窯からの出し入れ等に多大な労力費やすなど、工業生産として軌道乗せるのは困難であると判断して断った結局終戦までに伊豆産出明礬石から精製されアルミナは約500トンに止った。日本軽金属国産原料によるアルミニウム製錬は事実上失敗終わったが、担当者失敗の原因として、戦時中資材不足、パイロットプラントでの試験操業不徹底並んで戦局の転換に伴う鉱石処理方法変更が相次ぎ方針が定まらなかったことと、現場実情無視した画一的指示により混乱生じたことを挙げている。

※この「明礬石鉱床の本格開発と挫折」の解説は、「伊豆珪石鉱山」の解説の一部です。
「明礬石鉱床の本格開発と挫折」を含む「伊豆珪石鉱山」の記事については、「伊豆珪石鉱山」の概要を参照ください。

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