放送・文化・芸術
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「2022年ロシアのウクライナ侵攻に対する国際社会の反応」の記事における「放送・文化・芸術」の解説
2月24日、ウクライナの公共放送であるUA:PBC(ウクライナ語版)は欧州放送連合(EBU)に対し、全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社と第一チャンネル両放送局の会員資格の剥奪を求めた。承認された場合、ユーロビジョン・ソング・コンテスト2022にロシア代表は出場できなくなる。しかし、ユーロビジョン・ソング・コンテストの主催側はロシアにもウクライナにも参加資格があると表明した。これに対し、北欧を中心とした国々の放送局および参加者らが異議を示した。25日、EBUは本年度のロシアの参加を取り止めると発表した。26日、ロシアの全てのEBU加盟放送局はEBUを脱退した。 ユーロビジョン・ソング・コンテスト2016の優勝者、クリミア・タタール人歌手のジャマラは子供たちと共にウクライナを脱出し、ルーマニアを通じてトルコに亡命した。 日本ロシア学生交流会の主催、東急の特別協力により、2022年3月12日に東京カルチャーカルチャー(東京都渋谷区)にて開催を予定していたイベント「ロシアの日 ~Powered by 渋谷渦渦~」は、同年2月24日に中止を発表した。 米ニューヨークのカーネギー・ホールにて2022年2月25日から3日間の日程で予定されていたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の公演の指揮者について、ロシア人のヴァレリー・ゲルギエフからカナダ人指揮者のヤニック・ネゼ=セガンに交代された。伊スカラ座もゲルギエフが指揮予定だったピョートル・チャイコフスキーの『スペードの女王』を、ウクライナ侵攻に対して沈黙を貫くゲルギエフの姿勢を理由に公演中止とした。ゲルギエフはプーチン大統領の友人とされている。3月1日には「ロシアの支配者への肯定的評価を修正すると期待したが、そうはならなかった」ことを理由として、ミュンヘン市がゲルギエフが首席指揮者を務めていたミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団からゲルギエフを解雇した。 2月27日、モスクワのダンチェンコ劇場で監督を務めるローラン・イレールが、辞職する意向をAFP通信に明らかにした。 小樽市総合博物館主催、北海道・サンクトペテルブルク市・ロシア鉄道博物館の協力により、2022年3月2日に開催を予定していたイベント「ロシア鉄道・オンラインセミナー」は、同年2月27日に中止を発表した。 2月28日、ウォルト・ディズニー・カンパニーはピクサーの新作『私ときどきレッサーパンダ』を含む新作映画のロシアでの公開を一時停止すると表明。「ウクライナへのいわれのない侵攻と悲劇的な人道危機」のためと述べた。 ワーナー・ブラザーズは、3月3日からロシアにて劇場公開する予定だった『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の上映を一時保留にすることを発表した。 3月1日、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが傘下のコロンビア ピクチャーズ作成の4月公開予定映画『モービウス』のロシア国内での公開を中止すると発表した。 同月、パラマウント・ピクチャーズやユニバーサル・ピクチャーズはロシアでの新作作品の公開を取り止めることを発表した。 3月1日、明石フィルハーモニー管弦楽団は同月21日に開かれる定期演奏会でチャイコフスキー作曲の「序曲『1812年』」の演奏を取り止めることを発表した。理由としては、内容が1812年ロシア戦役を描いたものであることから団員から「今の状況では演奏するのは抵抗がある」という声が多く上がったことによるものとしている。また、中部フィルハーモニー交響楽団も3月26日に開かれるプロムナードコンサートの曲目を「序曲『1812年』」からシベリウス作曲の「フィンランディア」に変更することを発表した。 3月1日、カンヌ国際映画祭は、2022年5月開催の映画祭にロシアの公式代表団や政府関係者の参加を受け入れないと発表した。 3月2日、エレクトロニック・アーツは「FIFA 22」などのスポーツゲームからロシアとベラルーシの代表やクラブチームを排除することを発表した。 3月2日、カートゥーン ネットワークは同月4日に放送予定だったアニメ『ダンベル何キロ持てる?』6話を放送を中止することを発表した。この放送回ではロシア人のキャラクターと共にプーチン大統領を模したとみられるキャラクターが登場しているため、放送を断念した可能性が推測されており、その後の放送でも6話のみ放送が見送られている。 3月3日、AXNミステリーは同月に放送予定だった『貴公子探偵ニコライ』を『名探偵ポワロ』に差し替えることを発表した。 3月4日、テレビ東京は『午後のロードショー』で8日に放送予定だった「ワルキューレ」を「メジャーリーグ」に変更することを発表した。また、同月8日には「ネイビーシールズ」と「ハート・ロッカー」の別作品への変更も発表した。 3月6日、オペラとバレエで名声を誇るボリショイ劇場とトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の音楽監督で首席指揮者のトゥガン・ソヒエフがウクライナ侵攻への態度表明に対する圧力により、双方のポストの辞任を表明した。翌7日にはボリショイ・バレエ団の人気プリンシパルでイタリア人のジャコポ・ティッシとソリストでブラジル人のダビジ・モタ・ソアレスがウクライナ侵攻に抗議して退団を表明した。 ツリー・オブ・ザ・イヤーは、ロシア産の木を排除することを決めた。 ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスはボリショイ・バレエ団の公演を夏シーズンの企画として話を進めていたが、企画はお蔵入りとなった。 3月11日から札幌市内の書店で開催予定だったパネル展「疫病とロシア文学」を、札幌大学は「イベントへの嫌がらせが懸念される」として無期限で延期した。 3月16日、かねてからTelegramでウクライナ侵攻に反対の意を公言していたボリショイ・バレエ団のプリマバレリーナ、オリガ・スミルノワが、同バレエ団に所属し続けることが困難であると退団を表明しオランダ国立バレエ団に移籍することが発表された。 3月24日、日本テレビ放送網はウクライナの首都・キエフの表記を「キーウ」に変更することを発表した。「侵攻を受けているウクライナの地名は、現地のウクライナ語に近づけることにした」と理由を説明している。その後、3月31日に日本国政府が首都「キーウ」などウクライナ国内の地名をウクライナ語読みに基づく呼称に変更したことに伴い、報道各社も相次いでウクライナ語読みに基づく地名に変更した。ただし当面は「キーウ(キエフ)」や「首都キーウ、ロシア語でキエフ」の様に、本文中で従来のロシア語読みの呼称を併記する措置がとられているメディアが多い。 4月4日、英ロンドンのナショナルギャラリーは、非展示だが所蔵している印象派のフランス人画家エドガー・ドガのパステル画を「ロシアの踊り子」から「ウクライナの踊り子」へ改名したことを発表した。絵画にはウクライナの国旗色である青と黄色のリボンを髪や花輪にまとって踊る女性たちが描かれており、題名に対する議論が数年前から起きていた。 4月8日、『ハリー・ポッター』シリーズの電子書籍が同日をもって「著作権者の決定」によりロシアでの販売から撤退することとなった。背景として欧米におけるロシア文化の排斥運動をめぐり、プーチン大統領が主張を補強しようと著者であるJ・K・ローリングの名前を引用したことに当の本人が反発し、Twitterでプーチンを「抵抗する市民を虐殺したり、反体制派に毒を盛った上で収監したりする人物」と批判していたことから、ウクライナ侵攻への抗議とみられる。なお、紙の本はロシア国内での販売を継続する。 4月8日、ピンク・フロイドは、ウクライナ人道支援のために、28年ぶりの新曲「Hey, Hey, Rise Up!」をシングルとして発表した。ウクライナのバンド「ブームボックス」のボーカリスト、アンドリーイ・クリヴニュークが2月27日にInstagramに投稿した映像から、クリヴニュークが歌った「ああ、草原の赤きガマズミよ(Oi u luzi chervona kalyna)」の声が使用されている。ミュージック・ビデオも同日、配信された。ビデオの監督はマット・ホワイトクロスが務めた。 4月13日、国際音楽コンクール世界連盟は臨時総会を開き、世界三大コンクールの一つでロシアを代表する作曲家チャイコフスキーの名にちなんでいると言われているチャイコフスキー国際コンクールを除名すると決定した。19日に発表された文書では「ロシア政権から資金提供を受け宣伝ツールと利用されている」同コンクールを非政治的な同連盟は支援出来ないとした。一方でロシア人音楽家個人を排除や差別する意図はなく、今後も同人音楽家を包括的制裁から守ることも発表に記されていた。 5月8日、U2のボノとジ・エッジは、キエフ中心街の地下鉄駅で40分間にわたってコンサートを開いた。U2の公式ツイッターによると、ゼレンスキー大統領が二人を招待したという。「ブラディ・サンデー」「ディザイアー」「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」などを披露。また、ウクライナのバンド、アンティティラとともに「スタンド・バイ・ミー」をアレンジし、「スタンド・バイ・ウクライナ」を歌った。ボノとジ・エッジはブチャの集団埋葬地やキエフ近郊のイルピンを訪れ、地元の人々と交流した。 5月9日、コロンビア大学はピューリツァー賞を発表。「ウクライナのジャーナリストたち」を特別賞に選んだ。
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