室町殿御分国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 02:48 UTC 版)
中世後期、天皇から日本国の支配を委任されていた室町殿(征夷大将軍)の政治的権限の及ぶ実効統治範囲、管轄区域のことを室町殿御分国、あるいは室町殿分国、公方分国という。その範囲は九州探題管轄の11ヵ国、鎌倉府管轄の10ヵ国を除いた畿内・近国、山陽道、山陰道、南海道、東海道、北陸道の国々からなる。御分国内の守護家(二十一屋形)の多くは在京し、国政の重要議題は将軍から守護達に諮問され、将軍と共に国政に関わっていた。 文明年間、大和興福寺・別当の尋尊は「大乗院寺社雑事記」に、「就中、天下の事、さらにもって目出度き子細これなし。近国においては、近江・美濃・尾張・遠江・三河・飛騨・能登・加賀・越前・大和・河内、これらはことごとく皆御下知に応ぜず。年貢など一向に進上せざる国共なり。その外は紀州・摂州・越中・和泉、これらは国中乱るゝの間、年貢などの事是非に及ばざる者なり。さて公方御下知の国々は播磨・備前・美作・備中・備後・伊勢・伊賀・淡路・四国などなり、一切御下知に応ぜず。守護の躰たらく、則躰においては御下知畏み入る由申し入れ、遵行などこれをなすといえども、守護代以下在国の者、中々承引能はざる事共なり。よりて日本国は、ことごとく御下知に応ぜざるなり」と記しており、室町殿御分国と日本国の範囲は同一であるとの認識を示している。
※この「室町殿御分国」の解説は、「室町幕府」の解説の一部です。
「室町殿御分国」を含む「室町幕府」の記事については、「室町幕府」の概要を参照ください。
室町殿御分国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 02:48 UTC 版)
『南方紀伝』等によると、三職七頭の家格が定められたとされる。管領職には斯波氏、畠山氏、細川氏の三氏が就いて「三職(三管領)」と称し、山名氏、一色氏、土岐氏、赤松氏、京極氏、上杉氏、伊勢氏の七氏が「七頭」と称され、特に七氏のうちの山名氏、一色氏、赤松氏、京極氏の四氏と土岐氏を含めた計五氏が京都奉行職(侍所所司)に就いて「四職」と称された。七頭の残り二氏のうち伊勢氏は奏者(申次)、上杉は関東執事(関東管領)にそれぞれ任じられた。その他、武田氏、小笠原氏の両氏を礼式奉行に、吉良氏、渋川氏、今川氏の諸氏は武頭(侍大将)とされ、将軍直轄の軍事力として奉公衆が編成された。 三管領(三職家):管領職に任じられる大名家であり、格別に高い格式を誇った。斯波氏(武衛家):越前・尾張・遠江の守護職を世襲。三職の中でも筆頭に位置し、将軍連枝と同等の格式にあった。 畠山氏(金吾家):紀伊・河内・越中の守護職を世襲。室町中期には大きな勢力を誇ったが、同家の家督争いが応仁の乱の最大の要因となった。 細川氏(京兆家):摂津・丹波・讃岐・土佐の守護職を世襲。室町後期には管領職をほぼ独占し、幕府は『細川政権』の体をなした。 御相伴衆:三職に次ぐ有力大名家で、宿老として宿老会議に出席して、将軍の諮問に答え幕政に参加できた家。一色氏:丹後・伊勢・三河の守護職を世襲。侍所所司に任じられる家柄。 畠山氏(匠作家):能登の守護職を世襲。 細川氏(讃州家):阿波の守護職を世襲。 山名氏:但馬・備後・安芸の守護職を世襲。侍所所司に任じられる家柄。 赤松氏:播磨・備前・美作の守護職を世襲。侍所所司に任じられる家柄。嘉吉の乱を引き起こして一時滅亡するものの、後に再興を許される。 京極氏:出雲・隠岐・飛騨の守護職を世襲。侍所所司に任じられる家柄。 大内氏:周防・長門・豊前・筑前の守護職を世襲。 国持衆:三職、御相伴衆に属する大名の庶家や、畿内近国の有力大名家が列した。斯波氏(大野家):加賀・越前大野郡の守護職を世襲。 土岐氏:美濃の守護職を世襲。侍所所司に任じられる家柄。 六角氏:近江の守護職を世襲。 細川氏(上和泉家):和泉の守護職を世襲。 細川氏(下和泉家):和泉の守護職を世襲。 山名氏(伯耆家):伯耆の守護職を世襲。 山名氏(石見家):石見の守護職を世襲。 武田氏(豆州家):若狭・安芸の守護職を世襲。甲斐武田家の別流。 冨樫氏:加賀の守護職を世襲。 今川氏:駿河の守護職を世襲。鎌倉府の担当地域に隣接している事からその監視の役目を負った。 上杉氏(越後守護家):今川氏と同様の役目を負った。 小笠原氏(信濃守護家):今川氏、越後守護上杉氏と同様の役目を負った。 河野氏:伊予の守護職を世襲。 准国持衆:国持に准ずる家。細川氏(奥州家):近世大名に成長した肥後細川氏の前身(血統的には上和泉家)。 京極氏(加州家):嘉吉の乱で命を落とした京極高数の流れか。 時代によって変遷はあるものの、これら三職家から准国持衆までの20数家が室町幕府における「大名」と呼称された家々で、俗に「室町二十一屋形」と呼ばれた(『京極家譜』)。この「大名」と呼称された家々の他に、以下のような家格があった。 外様衆:国持衆の一門の家。評定衆。鎌倉幕府以来の武門の名家。元守護。斯波氏(末野家):斯波氏経の系統か。 斯波氏(五条家) 細川氏(天竺家) 細川氏(宍草家) 畠山氏(西谷内家) 畠山氏(駿河守家) 山名氏(摂津守家) 山名氏(有路家) 一色氏(宮内少輔家) 一色氏(五郎家) 赤松氏(七条家):赤松範資の系統。 赤松氏(有馬家):赤松義祐の系統。近世大名に成長した久留米有馬氏の前身。 京極氏(鞍智家) 京極氏(宮内少輔家):庶流が戦国大名尼子氏へと成長。 仁木氏(丹波家) 仁木氏(伊勢家) 今川氏(蒲原家) 今川氏:元九州探題今川貞世の系統。 土岐氏(曽我屋家) 土岐氏(佐良木家) 上杉氏(二橋上杉氏) 上杉氏(四条上杉氏) 高島氏(越中守家) 高島氏(永田家) 大島氏:元三河守護 宮氏:元備中守護 岩松氏:元飛騨、伊予、備後守護 武田氏(甲斐守護家):戦国期 摂津氏:評定衆の家柄。 波多野氏 二階堂氏 太田氏 町野氏 土肥氏(箕浦家) 工藤氏(長野家) 工藤氏(小早川家) 御供衆:外様衆に次ぐ家格で、一部に国持衆並の格式を持つ家もあった。細川氏(淡路家):淡路の守護職を世襲。国持衆並。奉公衆の一番番頭。 細川氏(備中家):備中の守護職を世襲。国持衆並。 細川氏(典厩家):摂津中島郡の守護職を世襲。国持衆並。 山名氏(因幡家):因幡の守護職を世襲。国持衆並。 伊勢氏(勢州家):政所執事職を世襲。 桃井氏:奉公衆の二番番頭。 畠山氏(播州家):奉公衆の三番番頭。 上野氏:奉公衆の三番番頭。 畠山氏(中務少輔家):奉公衆の四番番頭。 大舘氏:奉公衆の五番番頭。 細川氏(野州家):伊予宇摩郡の守護職を世襲。 一色氏(式部少輔家):一色持範の系統。 御部屋衆:御供衆に次ぐ家格。一部に御供衆と重複する家がある。吉見氏 三淵氏 高島氏(朽木家) 申次衆:御部屋衆に次ぐ家格。一部に御供衆、御部屋衆と重複する家がある。伊勢氏(備中家):北条早雲を出した家と考えられる。 畠山氏 大舘氏 上野氏 荒川氏 節朔衆:申次衆に次ぐ家格で、式日において将軍の目通りを許された家。小笠原氏(備州家):信濃小笠原氏の別流。将軍家の弓馬師範役であった事から、本来の家格以上の格式を誇った。 一色氏(阿州家) 中条氏 千秋氏 結城氏 楢葉氏 走衆:将軍直参。徒歩で将軍の警護をした。 小番衆:その他の奉公衆。加古氏 竹林氏 里見氏 大井田氏 羽川氏 牛沢氏 横瀬氏 熊谷氏(塩津家) 大原氏(備中守家) 大原氏(白井家) 小早川氏 その他、「御一家」と称された吉良氏(西条家)・吉良氏(東条家)・渋川氏(満頼系)・石橋氏・石塔氏は別格として、三職並みの格式を与えられた。また鎌倉公方が支配する関東・奥羽では「関東管領」「関東八屋形」など独自の家格が整えられていき、その一方で京都の幕府と直接主従を結ぶ「京都扶持衆」なども存在した。
※この「室町殿御分国」の解説は、「室町幕府」の解説の一部です。
「室町殿御分国」を含む「室町幕府」の記事については、「室町幕府」の概要を参照ください。
- 室町殿御分国のページへのリンク