全般の概要と技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 05:38 UTC 版)
製品化の傾向として、1970年代以降の国鉄黄金時代の車両を中心に据え、塗装変更車などのバリエーション展開は積極的だが、ヨンサントオ以前の車種や蒸気機関車、新幹線及び首都圏を除くJR型車両、特に優等列車に関してはそれほど積極的ではない。しかし昨今の国鉄車両人気の高まりとともに見直され、C57形蒸気機関車やスハ32系客車など、戦前の名車の発表が相次いでいる。近年ではセット販売が主体で単品販売は少ない。Nゲージ車両セットの一部製品は3両セットを基本にしており、「マイプラン」のシリーズ名で販売される線路・制御機器とのセットと、好きな車両セットを自由に組み合わせることが可能である。HO(16番)ゲージの車両セットは4両が基本となっている。また、実車の新車登場後間もない段階での製品化が結果的に初期車の少数グループとなってしまう傾向にあり、仕様追加された増備車両への対応がなされないこともある。 同一形式の色違い・仕様違いが豊富であり、国鉄車両の広範なグループの地域カラーや派生形式を積極的に製品化している。近年では車体部品の共用を行わず、細部の違いを再現するために専用の金型を製作することも多い。地方ごとに特色のあるデザインの車両の製品化もされており、115系を例に取ると湘南色、横須賀色(山スカ)、信州色、長野色、コカ・コーララッピング編成、新潟色(初代・2代目・3代目・懐かしの新潟色)、弥彦色(初代・2代目)、瀬戸内色、身延色、福知山線タイプ(限定品)、しなの鉄道色、岡山地区黄色などのバリエーションがある。 JR西日本207系1000番台電車は、再生産スケジュールが予定されていたが、321系電車を製品化後の2009年2月に、新塗色車が発売された。 JR東日本E233系電車は、車体がフラットなどの理由で新しい金型を必要とした2000番台の製品化をもって全番台の製品化を達成した。ただし改造転用された8500番代は製品化されていない。 細部にこだわったハイグレードシリーズ (後述)の製品は高価であるほか、既存製品も新規金型を使用したリニューアルが実施されると価格帯が上昇する。一方で他社と競合するものや入門者向けの車種では、TNカプラー(後述)の装備を省略してオプション品とする・転写シートといった一部のユーザーパーツを増結セットに同梱させる・一部に安価な部品を採用するなどして価格帯を下げる傾向も見受けられる。 2019年には先頭車や客車1両のみが入った「ファーストカーミュージアム」が発売。展示を前面に打ち出した商品展開も行われるようになる。 動力車 1980年代半ばまでスプリングウォームによる伝動方式を採用していたが、それ以降はシャフト及びギアを使用した伝動方式(登場以降からスプリングウォーム方式が淘汰された頃までの期間は、各種印刷物等で「新動力機構」と呼称されていた)になり、HO(16番)ゲージ車両でも採用された。リニューアル発売される製品も順次改良されている。なお、DCCには対応していない。 近年の新製品はフライホイールの搭載が標準的となり、既存製品もリニューアル時にフライホイール付き動力となることが多い。1990年代後半以降増えだした中国製車両をリニューアルするにあたっては、発売時から続いた中国製造を取りやめてトミーテック本社工場での生産(日本製)に切り替えた製品も存在する。 ハイグレード(HG)シリーズ・プログレッシブグレード(PG)シリーズ 1991年に発売したJR東日本253系電車は、新開発の伸縮式ボディーマウントTNカプラーを装備し、従来省略されていた妻面と床下の機器類を細かく再現した。この徹底した作り込みは253系独自の製品仕様とされたが、トミーは製品の好評を受け仕様を引き継いだハイグレード製品の企画を立ち上げた。伸縮式ボディーマウントTNカプラーを標準装備とすることで、通常省略されている妻面や床下の機器等の再現を可能にした。 また別パーツ化(例えば乗務員ステップやタイフォンカバー等。後者などは選択式の場合もある)による細部にわたる徹底した作り込みを謳った。ハイグレード製品の発売は、順次拡大している。 1994年にハイグレード製品として初めて発売されたキハ58系は好評で即座に400番台車が生産され、のちに地域カラーや改造形式(JR九州キハ71系気動車など)が加わり、トミックスの中心的な車両シリーズへと育っている。 2019年に発売されたJR東日本E001系電車では、ハイグレード製品を超えた「プログレッシブグレードシリーズ」を立ち上げた。 Mカプラー Mカプラーは1977年に登場した機能連結器で、Nゲージ国際標準のアーノルドカプラー(ラピードカプラー)と完全互換を有しつつディレイド・アンカップリング(DU、突放解放)が可能という特徴がある。通常のアーノルド型の微小スプリングの替わりに極小のマグネットを使用する。 連結解放には対応するレール・M70を使用しその位置で停車すれば解放、通過すれば連結を保持できる。これによって手軽に突放・機回しや入換を行うことができる。 当時のトミー社員Y氏の国際特許。主に電気・ディーゼル機関車に使用される。国産最初の機関車製品として同年に発売されたEF81ではじめて採用された。 TNカプラー TNカプラーは、アーノルドカプラーやケーディーカプラーと比較して実感的な形状と大きさを持ち、なおかつ実用上充分な連結機能を備えている。また、支点支持方式を工夫した伸縮機構によって曲線上では伸長し、実物より急な曲率のカーブを走行する模型車両の車端部の接触を避けかつ直線上では車両の間隔を狭く保つ事ができる。 これによって、外観やスケールを重視するか実用性を重視するか、という従来の二者択一を解消した。ただし、TNカプラーの連結機構はカプラーの小さなフックと圧力で嵌め込み連結する構造上、自動連結・自動遅延解放には対応できない。 カプラーの形状は自動連結器型、密着自動連結器型、密着連結器型の3種で、従来の台車マウント型カプラー(アーノルドカプラー)交換用に伸縮機能がない製品もある。また、EF63形電気機関車製品化にあたり、同電気機関車が備える双頭型両用連結器を模型でも再現した双頭TNカプラーを開発・採用した。 トミーテックは現在、TNカプラーのライセンスを他メーカーにも与えている。グリーンマックスはTNカプラーのOEM供給を受け、MODEMOはライセンスによって製品に互換性のある連結器を装備させている。マイクロエースのほとんどの製品は伸縮式TNカプラーが取り付け可能な構造となっていたが、後に自社開発し「マイクロカプラー」の販売を開始した。ただしマイクロエースの車両にTNカプラー、もしくはトミックスの車両にマイクロカプラーを取り付けることは、可能な場合があるものの正式対応はしていない。 TNカプラーはタカラトミーの特許(第2664035号)であったが、2012年7月28日をもって特許期間が満了している。 室内照明 客室内を照らす室内照明を「室内照明ユニット」という商品名で発売しており、常点灯対応としているものも多い。電球タイプとLEDタイプがある。 グリーンマックスは自社製の室内灯がないため、トミックスの室内灯をオプションとして説明書などに記載している。マイクロエースもトミックスの室内灯が取り付け可能な構造であるが、後に同様な構造の製品を発売している。
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