五輪相に再任
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2021年2月3日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗がJOCの臨時評議員会で女性を蔑視する発言をした。国内外から批判を受けた森は2月12日に辞任。2月18日、橋本聖子は内閣府特命担当大臣(男女共同参画)兼国務大臣(東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当)を辞職し、組織委員会会長に就任。同日、丸川が五輪相に再び就任した。 同年4月9日、丸川は男女共同参画担当相として、棚村政行教授らと会い、法曹関係者ら1094人が名前を連ねる選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める共同声明を受け取った。丸川は同年1月30日、国会議員有志の連名で、党所属の都道府県議会議長宛てに、選択的夫婦別姓の導入に賛同する意見書を採択しないよう求める文書を郵送しており、制度導入に反対の立場であったが、棚村らに「これまでにないほど、自民党での議論も活発化している」と述べた。 同年4月19日、斉木武志衆議院議員が衆議院決算行政監視委員会で、組織委員会が企業に業務委託する際の人件費に関する調査結果を報告。斉木が「組織委員会は95%も中抜きして人材派遣会社に委託している」疑いがあると丸川に質問すると、丸川は「守秘義務で見せてもらえない資料がある」と述べ、担当閣僚でさえ詳細を把握できていない実態が明らかになった。 同年4月27日、閣議後の記者会見で、東京オリンピックの医療体制について「医療の現場を預かるのは東京都。こうしたい、ああしたいという声は何も届いてこない」「東京都の考えがまったく聞こえてこないので、非常に懸念している」と述べ、東京都を批判した。同日、小池百合子都知事は「実務的には詰めている。よく聞いていただきたい」と丸川に反論した。 同年5月11日、閣議後に記者会見を開催。オリンピック開催の意義を問われ、「このコロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す大きな意義があると考えている。コロナ禍において東京大会は世界中の人が新たな光を見いだすきっかけになると考えている」と述べた。同日の東京の新型コロナウイルスの新規感染者数は925人と高止まりが続き、大阪府の死亡者数は過去最多となる55人を記録。そのような状況下で精神論に終始する丸川の回答に、「戦時中と同じ」などと批判の声が上がった。5月13日、丸川は参議院内閣委員会で、オリンピックのコロナ対策として、選手や大会関係者に求められる行動管理や感染予防策の実効性を高めるため、「監視員」を置くことを明らかにした。5月14日、閣議後の記者会見で、「監視員」は組織委員会の職員の協力を仰ぐことを明らかにした。 同年6月2日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は衆議院厚生労働委員会に出席し、オリンピック開催について、「今の状況で普通は(開催は)ない」「こういう状況の中でいったい何のためにやるのか目的が明らかになっていない」と述べた。6月4日、丸川は閣議後の会見で尾身の発言に反論。「我々はスポーツの持つ力を信じてやってきた。別の地平から見てきた言葉をそのまま言っても、なかなか通じづらいというのが私の実感だ」と見解を述べた。 同年6月21日、五輪組織委員会の橋本聖子会長は、観客に対する会場での酒類の販売や提供を検討していることを明らかにした。翌6月22日、丸川は閣議後の記者会見で「大会の性質上、ステークホルダー(利害関係者)の存在があるので、組織委員会としては、そのことを念頭に検討すると思うが、大声を出さない、拍手だけで応援するという観戦スタイルがしっかり貫かれるような形で検討してほしい」と述べた。会場内では、1業種1社のスポンサー契約を結んでいるアサヒビールがビールなどを独占販売できることになっており、丸川は同社の権益に配慮した発言を行った。同日、東京新聞はアサヒビールに取材。同社は「正式発表があったわけではないので、コメントする立場にない」と答えた。 同日、五輪組織委員会は一転して、会場での酒類の販売を見送る方針を固めた。 同年6月24日、宮内庁の西村泰彦長官は定例記者会見で「天皇陛下は現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を大変心配されている。国民に不安の声がある中で、開催が感染拡大につながらないか、懸念されていると拝察している」と述べた。翌6月25日、丸川は閣議後の記者会見で「長官ご自身の考えを述べられたものと承知している」との見解を示した。 同年6月26日、五輪組織委員会は大会ボランティア約7万人全員について、ワクチン接種の見通しが立ったと発表した。1回目の接種は6月30日~7月3日に行い、2回目は7月31日~8月11日に行われるとされる。6月29日、丸川は閣議後に記者会見を開催。ボランティア7万人接種について、記者から「2回目の接種が大会開始までに間に合わないのでは」と問われると、「そもそもワクチン接種を前提としないで大会準備を進めている」と回答。さらに「1回目の接種でまず一時的な免疫をつけていただきたい」と述べた。6月20日に1回目のワクチン接種を受けていたにもかかわらず、28日に新型コロナ陽性が判明した額賀福志郎衆議院議員などの例があることから、丸川の発言に対し「人命軽視」「非科学的」「一時的な免疫とはどういうことか」などの批判が殺到した。同日夕方、内閣官房は、「一時的」は「一次的」の意味だったという趣旨の説明を行った。 厚生労働省のホームページには、モデルナ社のワクチンもファイザー社のワクチンも「2回の接種が必要」と明記されており、1回目の接種で「一次的免疫」ができるなどという記述はどこにもない。また、東北大学病院感染管理室の徳田浩一室長も「そういう用語を、私は聞いたことがない」と発言。「一次的免疫」が丸川の造語であることが明らかとされるとともに、長崎大学感染症共同研究拠点の安田二朗教授から「6月中旬から始めていれば、開幕までに2回打って、免疫もできたはずだ」と批判の声が上がった。 同年7月14日、組織委員会は、オリンピック・パラリンピックの開会式と閉会式の「式典コンセプト」を発表。開会式の作曲担当者は小山田圭吾、徳澤青弦、原摩利彦、景井雅之の4名とされた。翌7月15日に各メディアで報じられると、『ROCKIN'ON JAPAN』1994年1月号と1995年7月1日発売の『クイック・ジャパン』第3号における小山田のインタビュー内容がインターネット上で拡散される。小山田は小学生時代から多年にわたり障害者の児童生徒に対していじめ、虐待、暴行を行ったと告白しており、批判が相次いだ。7月16日、丸川は閣議後の記者会見で「人選がふさわしかったのか」と質問を受けると、「まだ報道を確認していないので、報道を確認させていただきたい」と答えた。17日から18日にかけて、『オブザーバー』やAP通信など多くの海外メディアが小山田の発言を詳細に報じ、19日、小山田は官邸が主導する形で、辞任に追い込まれた。 同年7月30日、首相官邸で午前10時に始まった閣議に5分ほど遅刻した。閣議は7分遅れで始まった。丸川は閣議後の記者会見で遅刻の理由を問われ、「高速の入り口がオリンピック対応で封鎖され、途中、渋滞していた。さらにもう1カ所の入り口を目指したが、そこも封鎖されていて遅れた」と説明した。首都高速道路は東京五輪の開催に伴い、この日の午前、30カ所以上の首都高の入り口を閉鎖していた。 同年8月10日の閣議後の記者会見で、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が8月9日に東京・銀座を訪れたことについて、丸川は「不要不急かどうかは本人が判断すべきだ」と述べた。東京都では7月12日から8月22日まで緊急事態宣言が発令されており、8月5日には東京都で過去最多となる5042人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されており、新型コロナウイルスの感染対策をまとめた規則集「プレーブック」では選手や大会関係者が観光することを禁止していた状況下でのトーマス・バッハ会長の銀座観光だった。 同年8月16日、政府、東京都、大会組織委員会、国際パラリンピック委員会(IPC)の4者協議が行われ、パラリンピックは原則無観客での開催が決まった。丸川は協議後の記者会見でワクチンの接種率について問われた際、「把握していない」と回答した。
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