オキシジェン・デストロイヤー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 02:58 UTC 版)
「東宝特撮映画の登場兵器」の記事における「オキシジェン・デストロイヤー」の解説
英語表記はOxygen Destroyer。 『ゴジラ』(1954年)に登場する架空の物質で、「水中酸素破壊剤」とも表記される。数あるゴジラ作品の中で、ゴジラを完全死に至らしめた唯一の手段である。 科学者の芹沢大助が酸素の研究中に偶然発見して開発した薬剤で、劇中では詳細に触れられないが、特殊な物質を電磁的に反応させることによって水中の酸素を一瞬で破壊し、その場にいる全生物を一瞬で即死させるうえ、完全に液化する効力を持つ。その威力を見た芹沢は、「初実験した後は2、3日は食事も喉を通らなかった」と回想している。これを大量破壊兵器として軍事使用されることを怖れた芹沢は、ゴジラへの使用のために世間に公開することを拒むが、社会のためには役立てたいと考えていた。 芹沢は山根恵美子に打ち明け、秘密にすることを約束させるが、ゴジラによる被害を見かねた恵美子は約束を破り、尾形秀人に秘密を告白する。尾形と恵美子の熱心な説得を経て、テレビで放送された「平和への祈り」を聞いて心を動かされた芹沢は、一度だけの使用を決断する。ただし、そもそも何らかの形で強制使用された場合は自らの死と共に永遠に封印する覚悟を決めていたため、ゴジラに使用する分以外は資料なども含めて一切を焼却処分している。それゆえ、芹沢は自らも海に潜って使用の成功を見届けた直後、自決してゴジラと運命を共にする。これにより、オキシジェン・デストロイヤーの存在と製法は封印されたため、『ゴジラの逆襲』以降の作品にも関連資料は一切残っていない。 『ゴジラvsデストロイア』 『ゴジラvsデストロイア』では、デストロイアを誕生させるきっかけとなる。劇中では、最初のゴジラを倒すために使用されたオキシジェン・デストロイヤーが東京湾海底に無酸素状態を発生させ、太古の無酸素時代(先カンブリア時代)に近い状態となったことで、デストロイアの復活・進化に影響したと推定されている。 なお、オキシジェン・デストロイヤーはデストロイアの武器として駆使され、獲物に食らいついて体内に流し込む、「オキシジェン・デストロイヤー・レイ」という光線の発振源に応用するといった活用を見せる。しかし、オキシジェン・デストロイヤーをもってしても、本作の怒り狂って暴走するゴジラを殺すには至っていない。なお、本作のタイトルロゴのシーンにはCGで描かれたオキシジェン・デストロイヤーが登場するが、その溶液は緑色である。 同作では、酸素原子を微小化したミクロオキシゲンという物質も登場している。これはオキシジェン・デストロイヤーの開発途上にある派生物であり、物理学者・伊集院研作による発明となっている。伊集院自身もオキシジェン・デストロイヤーを意識した発明であると明言しているが、ミクロオキシゲンからオキシジェン・デストロイヤーへ至るには技術的な壁が存在しており、オキシジェン・デストロイヤー自体は開発できなかった。なお、ミクロオキシゲンが物質を破壊する理由としては、微小な水素原子が分子間へ入り込んで物質を破壊する現象(水素脆化)に似た現象であろうと解説される。ミクロオキシゲンの沸点は普通の酸素と同じ摂氏マイナス183.2度である。元々はオゾン層修復のために作られたという裏設定もあったが、劇中では語られていない。 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では、アメリカ軍が秘密裏に開発した対怪獣用の最新兵器としてミサイルの弾頭に積まれたオキシジェン・デストロイヤーが登場。弾頭搭載時は日本版と同じ形状をしており、使用すると半径3キロメートル以内の生物をすべて死滅させる威力を持つほか、水中だけでなく空気中にも効果がある。 プエルトリコ沖で戦うゴジラとキングギドラを2体まとめて殲滅(せんめつ)するために放たれ、ゴジラを一時的に活動停止に追い込むほどのダメージを与えたものの、宇宙怪獣であるキングギドラにはまったく効果がなかった。エンドロール後には同海域の漁師が不漁を語っていることから、この兵器が環境に与えた影響の大きさが示唆されている。 その他の作品での登場 『ゴジラの逆襲』では、ゴジラの対策会議の際に山根恭平博士の説明でわずかながらその存在が語られる。 『ゴジラvsビオランテ』では、国土庁に出向している権藤一佐の部屋に飾られているオキシジェン・デストロイヤーのレプリカが確認できる。 『ゴジラ2000 ミレニアム』の小説版では、初代ゴジラについて山根博士が残した手記の中で存在が語られている。芹沢博士による開発の経緯も説明されており、第二次世界大戦時、留学先のドイツで原子爆弾開発に関与していた際に着想し、戦後になって完成させたものだという。 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』では、オキシジェン・デストロイヤーの名前は登場していないが、1954年に襲来したゴジラがある科学者が制作した「未知の毒化合物」によって倒されたことが語られている。だが、このことは世間に知られておらず、一般にはゴジラは防衛軍の攻撃によって倒されたと認識されている。 『ゴジラ』では、ゴジラの骨をも溶解してしまっているが、『ゴジラ×メカゴジラ』と次作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では骨は残っていたという設定になっており、この骨は3式機龍のメインフレームとして利用された。なお、『ゴジラ×メカゴジラ』でもオキシジェン・デストロイヤーの名前は出ず、単に「特殊兵器」と呼ばれている。 アニメーション3部作の前日譚である小説『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』では、かつてゴジラを倒した謎の兵器として噂が広まったが、実際はケイン・ヒルターがゴジラの脅威に絶望した人々へ希望を与えるためのデマであった。 ゲーム『ゴジラ・ジェネレーションズ』では、「ジャイアント芹沢博士」の武器として登場。数十倍のサイズになっており、鈍器として用いられる以外にも、全方位に稲妻状の光線を放つことが可能になっている。 ゴジラシリーズ以外では、アメリカ映画『メガ・シャークVSグレート・タイタン』で巨大鮫に対して使用される兵器の一つが「オキシジェン・デストロイヤー」と呼ばれている。 造形 デザインは本編班美術スタッフの安倍輝明、造形は井上泰幸。実物大の金属製2尺模型が作られた。 撮影に使用された模型は東宝映像美術に保管され、前述の『ゴジラvsビオランテ』でレプリカに使われたほか、後年にも各種イベントで展示されている。『ゴジラvsモスラ』では、モブ画面で眼帯の男がこのオリジナルプロップを抱えて走っていると監督の大河原孝夫が発言しているが[要出典]、画面からは判別できない。
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オキシジェン・デストロイヤー
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「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の記事における「オキシジェン・デストロイヤー」の解説
アメリカ空軍が極秘に開発した兵器。強烈な爆発と共に範囲3キロメートル圏内の酸素を奪い、あらゆる生命を死滅させる大量破壊兵器。
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