オキシゲナーゼ反応
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「リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ」の記事における「オキシゲナーゼ反応」の解説
強光下で光合成を行っていた植物細胞を21%O2濃度条件(通常の大気)における暗所に移動した場合、直後に大量のCO2放出が見られる。同様の実験を1.5%O2濃度条件の暗所に移動した場合、CO2の放出は観察されなくなる。明条件におけるCO2の放出を光呼吸というが、この原因になっている主反応がRubisCOのオキシゲナーゼ反応である。光呼吸は同化したCO2を再放出する過程であり(植物の生育速度の低下)、多くの主要作物(小麦、米、豆類など)でこの現象が見られることから収量上昇など経済的にも注目されている。RubisCOのオキシゲナーゼ反応は以下のとおりである。 リブロース1,5-ビスリン酸 + O2 → 3-ホスホグリコール酸 + 3-ホスホグリセリン酸 一見、CO2は放出されていないように見えるが、3-ホスホグリコール酸がペルオキシソームおよびミトコンドリアを経て代謝されCO2を放出する。3-ホスホグリセリン酸はそのままカルビン-ベンソン回路にて還元過程に入る。また、実際にCO2を放出する反応のみならず、オキシゲナーゼ反応がカルボキシラーゼ反応と競合し阻害することによって、見かけのCO2放出量を増加させ、光合成能率の低下を招く。 オキシゲナーゼ反応は詳細に分類すると以下のステップを経る。 D-リブロース1,5-ビスリン酸がRubisCOの作用によりエンジオール型中間体となる。 RubisCOにO2が結合する。 RubisCO-O2複合体にMg2+が結合し活性型となる。 エンジオール型中間体のリブロース1,5-ビスリン酸にO2が付加し、3-オキソ型中間体となる。 3-オキソ型中間体リブロース1,5-ビスリン酸と水酸化物イオン (OH−) が反応し、3-ホスホグリコール酸、3-ホスホグリセリン酸および水酸化物イオンをそれぞれ1分子ずつ生じる。 リブロース1,5-ビスリン酸に結合した酸素原子は3-ホスホグリコール酸の2位および放出される水酸化イオンに結合している。 上記のカルボキシラーゼ反応と比較して、反応ステップは極めて似通っており両反応が競合するのも、こうした酵素的な諸反応が類似していることが原因である。 RubisCOがオキシゲナーゼ活性を有する原因として、活性中心へのO2分子の取り込まれやすさが考えられる。RubisCOを有する光合成生物が出現した当初、地球上の大気組成は現在よりも還元的でCO2濃度が高かったと考えられており、こうした欠点は表在化しなかった。しかしながら、陸上植物の台頭により大気中の酸素分圧の上昇そして二酸化炭素分圧の低下を招き、RubisCOの欠点が光呼吸という形で現れてきたと考えられている。 RubisCOのカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ活性比とCO2/O2比の関係を表す値を「CO2補償濃度」といい、自然に起きている暗呼吸と光呼吸がつりあい、みかけのCO2放出速度が0になる。一般的なC3植物のCO2補償濃度は50–100 ppmである。また、CO2補償濃度以外のRubisCOの能力を示す値として、任意のCO2/O2濃度におけるカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ活性比である「τ値」が挙げられる。一般的に、陸上植物型のRubisCO (Form I) は嫌気性光合成細菌のRubisCO (Form II) に比べて、高酸素分圧条件に適応した痕跡が見られ、CO2補償濃度およびτ値において優れた値を示す。Form I、IIについては後述する。
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