生理的な違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 05:38 UTC 版)
このC4植物は一般的な植物であるC3植物に比べ、維管束鞘細胞が発達しており、この中にも葉緑体が存在する。そのため、C4植物は、通常は葉肉細胞で行うカルビン・ベンソン回路を維管束鞘細胞で行う。 C3植物はRubisCOを用いてCO2を固定するのに対し、C4植物はPEPCを用いる。このことは光呼吸の面からは有利に働く。通常、C3植物のCO2補償点は40~100 ppmであるが、これは高温になると上昇し、大気中のCO2濃度(350 ppm)に近づく。そのため、成長速度が制限される可能性が高くなる。一方、C4植物ではCO2補償点は2~5 ppmと低い。また、C4植物はC3植物に比べ水分使用率(光合成に利用する水と蒸散で失う水の比)が高い。これは半乾燥状態での生育が可能である事を意味する。さらに、C4植物はC3植物に比べ、窒素利用効率が高い。この要因として、ひとつはC4経路によるCO2濃縮機構により、RubisCOのオキシゲナーゼ反応がほとんど起こらなくなることが挙げられる。この結果、RubisCOの生成量が少なくてすむ。RubisCOは量的に、C3植物では全タンパク質の50%ほどを占めるので、RubisCOの量を節約できるC4植物は窒素利用効率が高くなる。もうひとつの要因としては、光呼吸による窒素の再放出が起こらないことが挙げられる。加えて、C4植物はC3植物に比べ、光利用効率も高い。過剰な光は光化学系IIや光化学系Iの還元力を蓄積させ、活性酸素を発生させるので植物にとって害となるため、光を蛍光や熱として散逸させたり、光呼吸で還元力を消費させたり、集光アンテナの効率を悪くさせたり(キサントフィルサイクル)することにより、強光から自身を防御している。C4植物は、C4経路によって効率よく炭酸固定が進むため、C3植物と比べると光化学系IIや光化学系Iの還元レベルが光合成の律速段階とはなりにくい。このため、C3植物が利用しきれないような量の光も利用できる。これらの理由から、高温、乾燥、強光下、貧窒素土壌ではC4植物はC3植物に比べ有利である。ただし、前述のようにC4経路でATPが2分子余計に必要になるため、光呼吸の影響が少ない地域ではC3植物が有利である。
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生理的な違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 05:39 UTC 版)
C3植物はC4植物と比べ、維管束鞘細胞が発達しておらず、この中に葉緑体が存在しない。そのため、C3植物はカルビン・ベンソン回路を葉肉細胞でのみで行う。 C3植物はRubisCOを用いてCO2を固定する。C3植物のCO2補償点は40~100 ppmであるが、これは高温になると上昇し、大気中のCO2濃度(350 ppm)に近づく。そのため、成長速度が制限される可能性が高くなる。また、C3植物はC4植物に比べ水分使用率(光合成に利用する水と蒸散で失う水の比)が低い。これは半乾燥状態での生育が適さない事を意味する。さらに、C3植物はC4植物に比べ、窒素利用効率が低い。この要因として、ひとつはC3経路によるCO2濃縮機構により、RubisCOのオキシゲナーゼ反応が起きることが挙げられる。この結果、RubisCOの生成量が多い。RubisCOは量的に、C3植物では全タンパク質の50%ほどを占めるので、RubisCOの量を節約できないC3植物は窒素利用効率が低くなる。もうひとつの要因としては、光呼吸による窒素の再放出が起きることが挙げられる。加えて、C3植物はC4植物に比べ、光利用効率が低く、過剰な光は光化学系IIや光化学系Iの還元力を蓄積させ、活性酸素を発生させるので植物にとって害となる。C3植物では光化学系IIや光化学系Iの還元レベルが光合成の律速段階とはなりやすく、このため、C3植物は光を有効に利用しきれない。これらの理由から、高温、乾燥、強光下、貧窒素土壌ではC3植物はC4植物に比べ不利である。ただし、光呼吸の影響が少ない地域では前述のようにC4経路でATPが2分子余計に必要になるため、C3植物が有利である。
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