せいさんかんりとは? わかりやすく解説

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せいさん‐かんり〔‐クワンリ〕【生産管理】

読み方:せいさんかんり

企業において、生産効率高めるために行われる生産に関する予測計画統制などの管理活動

争議行為の一。労働者使用者管理権および指揮・命令権一時的に排除し、自ら企業経営を行うこと。業務管理


生産管理

読み方:せいさんかんり
【英】:production management

概要

生産システム目的は, 品質(quality)の良い製品を, 納期(delivery)に間に合うように, コスト(cost)を安く生産することであり, QDCと呼ばれている. このQDCを達成するように生産システム管理するのが生産管理方式であり, その対象とする製品需要形態とそれら製品生産する生産方式対応した種々の方式創案導入されてきた. 代表的なものとしては, 製番管理, MRP, MRP II, JIT, TOC, ERP, SCM, 生産座席, PERTCPMがある.

詳説

生産システムは, その対象とする製品需要形態により, 個別注文受けて生産を行う「個別受注生産」と継続的な注文により生産を行う「継続受注生産」及び需要予測等の見込み基づいて生産する見込み生産」の3種大別される. さらに, これら製品生産する生産方式により, 「個別生産方式」, 「在庫補充生産方式」, 「ライン生産方式」等に類別される. ここで, 「個別生産方式」とは, 高度な生産技術を持つ作業者がフレキシブルな設備用いて, 個別受注生産のような個々異な製品生産する方式である. 「在庫補充生産方式」とは, 継続的な注文あるいは見込みによる納期要求対応し, 生産リードタイム短縮するために部品中間品の在庫持ち, その在庫をもとに顧客仕様あわせた製品生産し, 使用され部品中間品の在庫補充する生産方式である. 「ライン生産方式」とは, 類似仕様製品製品寿命長く, 生産量が多いときに, 専用ライン設置してそれら製品群切り替えあるいは混流して生産する方式である [1].

 生産システム目的は, 品質(quality)の良い製品を, コスト(cost)を安く, 顧客納期(delivery)に間に合うように生産することであり, QCD呼ばれている. このQCD達成するように生産システム管理するのが生産管理方式であり, 上述様々な需要形態, 生産方式対応した種々の生産管理方式創案導入されてきた. 以下にその代表的なもの説明する.

1) 製番管理方式

 わが国製造業における伝統的生産管理方式であり, 主として個別生産方式使われる製品中心管理方式である. 仕様の同じ製品を1ロットとして製造番号(製番呼ばれる)をつけ, 必要な資材の手配, 工程計画, 進度管理, 納期管理, 原価管理等の一貫した管理をこの製番により行う方式である. 異な製番を持つ製品間に共通部品があっても別部品として管理するため, 品切れ, 過剰在庫起こりやすく, 督促作業のための間接人員必要になる. さらに, 標準化困難なため改善進みにくい欠点を持つが, その簡便さのために依然として使われている.

2) MRP

 MRP(material requirements planning:資材所要量計画)は, 1960年代から米国開発されてきた生産管理方式であり, 対象となる品目独立需要品目(最終製品補修部品等, その需要が他の品目とは独立に,販売業務計画などに基づいて決められる品目)と従属需要品目(原材料,購入部品,内製品等, その需要独立需要品目対す需要から計算できる品目)に区分する. そして, 生産活動全てタイムバケット(time bucket)と呼ばれる, 1週間あるいは1日といった連続した時間区間に対して計画し, そのタイムバケット内に行われるように管理する. したがって, MRPではまず, 独立需要品目対する各タイムバケット生産べき数量を与え基準生産計画(master productionschedule)を作成する. また,独立需要品目を1単位生産するのに必要となる部品構成品を示す部品表(bill of material, BOM, B/M)を準備する. 部品表には, 各部品の必要数だけを示すサマリー表と各部品の構成関係をも示すストラクチャー表があり, 各部品の生産納入要するリードタイムやロットサイズも示されている. MRPでは, 基準生産計画部品表基づいて, 各タイムバケットで必要となる部品量を計算し, 各品目使用可能在庫量からその発注生産指示決定する. しかしMRPは, 各工程が無限の生産供給能力を持つと仮定しており,その実可能性保証するために, 生産諸資源長期的な観点から計画する資源所要量計画(resourcerequirements planning)と, 短期的な観点から生産能力計画手配する能力所要量計画機能がつけ加えられ, 総合的な生産管理システム(closed-loopMRP)に発展した. さらに会計, 財務機能追加され, 生産・販売管理統合化されたMRPは, MRP II(manufacturing resourceplanning製造資源計画)と呼ばれている. MRP理論的側面が [2] に紹介されている.

3) JIT

 JIT(just-in-time)は, 必要な物を, 必要な時に, 必要なだけ生産する理念であり, この理念実現すべく創案された生産方式トヨタ生産方式である. 1973年オイルショック時に脚光を浴びて登場して以来, 現在ではJIT生産方式, かんばん方式, Pull方式として全世界広く知られている. その特徴は, 1)多種少量生産システム適合した後工程引き取り, 後補充生産方式;2)自律分散型生産システム;3)改善による「徹底的なムダ排除」の「仕組み」と改善提案活動;4)多能工化;の4点であるが, 詳細JIT生産システム参照されたい.

4) TOC

 TOC(theory of constraints制約条件の理論)は, 1970年代後半から開発されてきた生産スケジューリングソフトOPT (optimized production technology)を経て, イスラエル物理学者Goldratt博士によって育て上げられ手法である. OPTは, 固有の評価指標であるスループット(=売上げ資材費)の向上とリードタイム短縮, 最適在庫水準維持等の目標達成するための最善策を, ボトルネック工程着目して計画するソフトである. OPTでは具体的な最適化手法公表されていなかったが, TOC明らかにされたボトルネック工程最大限活用するスケジューリング手法が, DBR(drum, buffer, rope)である. ここで, ドラムボトルネック工程生産に全工程同期すること,バッファボトルネック工程仕掛品不足で止まらないように在庫を持つこと,ロープ先頭工程進みすぎないようにボトルネック工程生産同期し原材料投入することを意味している.TOCはOPT考え方発展させた, システム目的達成阻害する制約条件(ボトルネック工程等)を発見し, システム改善する手法である[3]. TOC改善手法により生産能力余裕生まれ, 市場制約条件になった時, 市場拡大するための改善手法として思考プロセス(thinking process)が開発されている. OPTTOCの関係は [4] に述べられている.

5) ERPSCM

 ERP(enterprise resource planning)は, 企業全体経営資源計画的に活用し, 最大のパーフォマンスを達成することを目指し全社統合業務システムであり, 1992年におけるSAP社のR/3発表に始まる. ERPは, 生産・販売管理, 会計, 人事管理含めた基幹業務包括的にカバーした大福帳データベースを介して, 企業内の部門をまたがる基幹業務データ処理し, 財務諸表反映させる実行系のシステムである. R/3以外にはOracle社のOCA, SSA社のBPCS等が代表的なものである. 一方SCM(supply chain management)は, 全体最適目指すTOC流れを受け, 部品供給, 製造, 配送, 販売関連企業が一体となって, 顧客中心とした部品調達生産配送計画作成する計画系のシステムである. i2 Technologies社のRHYTHM, Manugistics社のManugistics5等が代表的なものである. 当初ERPSCM関連計画機能に欠けていたため, SCMソフトが急激に売上伸ばしたが, 近年ERPベンダー自社開発あるいはSCMベンダーとの共同開発により急速にSCM機能充実させている. SCM紹介が [5] に, 最近の研究が [6, 7] にまとめられている.

 上記以外にも, 納期回答迫られる在庫補充生産方式に対しては, 顧客との対応で生産スケジュール予約する生産座席システム [8] が有力であり, 「個別生産方式に対しては, プロジェクト管理におけるPERTCPM手法が適切である. さらに近年, 家電業界を中心に, 製品寿命短命化と多品種少量生産化に対応し, 生産ラインコンベア撤去して多能工製品手渡して生産するセル生産方式普及している. 詳細JIT生産システム参照されたい.



参考文献

[1] 村松林太郎, 『新版 生産管理の基礎』, 国元書房, 1979.

[2] K. R. Baker, "Requirements Planning," in Logistics of Production and Inventory, S. C. Graves, A. H. G. Rinnoy Kan and P. H. Zipkin, eds. North-Holland, 571-627, 1993.

[3] 稲垣公夫, 『TOC革命』, 日本能率協会マネジメントセンター, 1997.

[4] M. S. Spencer and J. F. Cox, "Optimum Production Technology (OPT) and the Theory of Constraints (TOC): Analysis and Genealogy," International Journal of Production Research, 33 (1995), 1495-1504.

[5] 土谷雄編, 「特集 サプライチェーンマネジメント」, 『オペレーションズ・リサーチ』, 44 (1999), 280-303.

[6] S. Tayur, R. Ganeshan and M. Magazine ed., Quantitative Model for Supply Chain Management, Kluwer Academic Publishers, 1999.

[7] A.G. de Kok and S.C. Graves ed., Supply Chain Management : Design, Coordination and Operation, Elsevier, 2003.

[8] T. Tamura, S. Fujita and K. Kuga, "The Concept and Practice of the Production Seat System," Managerial and Decision Economics, 18 (1997), 101-112.




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