円周率 円周率の概要

円周率

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/12 23:34 UTC 版)

円周率は無理数、つまりその小数展開は循環しない。小数点以下35桁までの値は次の通りである。

π = 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288 …

円周率は、無理数であるのみならず、超越数でもある。

基礎

表記と呼び方

π という文字は、周辺・地域・円周などを意味するギリシア語 περιφέρεια(ペリフェレイア)の頭文字である。ウィリアム・オートレッドアイザック・バローにより円周を表す記号として用いられ、ウィリアム・ジョーンズやレオンハルト・オイラーなどにより円周の直径に対する比率を表す記号として用いられた。日本では「パイ」と発音する。

π は国によっては別名がある。例えばそれを計算した人物の名前を取った、「アルキメデス数」、「ルドルフ数」、日本においては「円周率」がそれに当たる。

なお、「π」の字体は、表示環境によってはキリル文字п に近い π などと表示されることがある。なお、大文字の「パイ」\Pi数列総乗を表す記号である。

定義

幾何学的な定義

直径 1 の円の周長は π

平面幾何学において、円周率 π は、周長の直径に対する比率として定義される。円の周長を C、直径を d とすると、

\pi =\frac{C}{d}

全ての円は互いに相似なので、この比率は円の大きさに依らず一定である。

他の定義

上記の定義は、円の周長を用いているため、曲線の長さを最初に定義していない現代数学の分野では、π が現れる際に問題となることがある。この場合、円の周長に言及せず、解析学などにおける性質の一つを π の定義とすることが多い[1]。この際の π の定義の一般なものとして、三角関数 cos x が 0 を取るような x > 0 の最小値の2倍とするもの、級数による定義、定積分による定義などがある。

歴史

円に内接する正多角形による π の近似
円に内接・外接する正多角形による π の近似。アルキメデスによる計算。

古代

円周の直径に対する比率が円の大きさに依らず一定であり、それが 3 より少し大きい程度だということは古代エジプトバビロニアインドギリシアの幾何学者たちにはすでに知られていた。また、古代インドやギリシアの数学者たちの間では半径 r の円の面積が πr2 であることも知られていた。さらに、アルキメデスは半径 rの体積が 4/3πr3 であることや、この球の表面積が 4πr2(その球の大円の面積の4倍)であることを示した。

2千年紀

14世紀インド数学者天文学者であるサンガマグラマのマーダヴァは次のような π級数表示を見いだしている(ライプニッツの公式):

\frac{\pi}{4} =1-\frac{1}{3} +\frac{1}{5} -\frac{1}{7} +\cdots =\sum_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^n}{2n+1}

これは逆正接関数 Arctan xテイラー展開x = 1 での実現になっている。マーダヴァはまた、

\pi =\sqrt{12} \left( 1-\frac{1}{3\cdot 3} +\frac{1}{5\cdot 3^2} -\frac{1}{7\cdot 3^3} +\cdots \right)

を用いて π の値を小数点以下11桁まで求めている。

18世紀フランスの数学者アブラーム・ド・モアブルは、コインを 2n 回投げたときに表が x 回出る確率は、n が十分大なら、ある定数 C を取ると、

\frac{C}{\sqrt{n}} \exp \left\{ -\frac{(x-n)^2}{n} \right\}

近似できることを、n = 900 における数値計算により見いだした。この正規分布の概念は1738年に出版されたド・モアブルの『巡り合わせの理論』に現れている。ド・モアブルの友人のジェイムズ・スターリングは後に、C=\frac{1}{\sqrt{2\pi}} であることを示した。

1751年ヨハン・ハインリッヒ・ランベルトは、x が 0 でない有理数ならば正接関数 tan x の値は無理数であることを示し、その系として π は無理数であることを導いた。さらに1882年フェルディナント・フォン・リンデマンπ が超越数であることを示し、円積問題(与えられた長さを半径とする円と等積の正方形作図する問題)は解くことができないことを導いた。

コンピュータによる計算の時代

20世紀以降、コンピュータの発達により、計算された円周率の桁数は飛躍的に増大した。1949年に、ジョン・フォン・ノイマンはコンピュータ ENIAC を使い70時間かけて、円周率を2037桁まで計算した[2]。その後の数十年間、さまざまな計算機科学者によって計算は進められ、1973年には100万桁を超えた。この進歩は高速なハードウェアの開発だけによるものではなく、効率のよいアルゴリズムが考案されたためである。そのうちの最も重要な発見の一つとして、1960年代高速フーリエ変換がある。これにより、多倍精度の演算が高速に実行できるようになった。

2013年現在では、円周率は小数点以下12.1桁まで計算されている[3]


  1. ^ Rudin, Walter (1976) [1953]. Principles of Mathematical Analysis (3e ed.). McGraw-Hill. p. 183. ISBN 0-07-054235-X. 
  2. ^ "An {ENIAC} Determination of pi and e to more than 2000 Decimal Places", Mathematical Tables and Other Aids to Computation, 4 (29), pp. 11–15. (January, 1950)
  3. ^ “12.1 Trillion Digits of Pi”. (2013年12月28日). http://www.numberworld.org/misc_runs/pi-12t/ 2014年4月17日閲覧。 
  4. ^ A new formula to compute the n'th binary digit of pi - Fabrice Bellard
  5. ^ 円周率の公式集 暫定版 V er:3.141 - 松元隆二
  6. ^ サイモン・シン著、青木薫訳、『フェルマーの最終定理』、新潮社、2000年、ISBN 4-10-539301-4、42ページ
  7. ^ 陝西省の大学院生、円周率暗唱のギネス新記録樹立
  8. ^ レコードチャイナ:円周率6万桁以上を暗唱、世界記録に輝いた「記憶の達人」-陝西省楊凌市
  9. ^ 安田美沙子3・14結婚は『円周率=永遠』の意味だったスポニチアネックス 2014年3月16日(日)12時17分配信
  10. ^ 米国の人口が円周率と「同じ」に 3億1415万9265人 CNN 2012.08.15 Wed posted at 12:42 JST


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