ホモトピー群とは? わかりやすく解説

ホモトピー群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/10 20:04 UTC 版)

ホモトピー群(ホモトピーぐん、homotopy group)は、数学代数トポロジーにおいて位相空間を分類するために使われる。1次の最も簡単なホモトピー群は基本群であり、空間ループについての情報がわかる。直感的には、ホモトピー群は位相空間の基本的な形、、についての情報を持っている。

n 次ホモトピー群を定義するために、(基点付き)n 次元球面から与えられた(基点付き)空間の中への基点を保つ写像はホモトピー類と呼ばれる同値類へと集められる。2つの写像がホモトープ (homotopic) とは、一方から他方へ連続的に変形できることをいう。これらのホモトピー類たちが基点付きの与えられた空間 Xn 次ホモトピー群 (n-th homotopy group) と呼ばれる πn(X) をなす。異なるホモトピー群を持つ位相空間は決して同じ(同相)ではないが、逆は正しくない。

のホモトピーの概念はカミーユ・ジョルダン (Camille Jordan) によって導入された[1]

導入

現代数学においては圏を、その各対象に、問題の対象についての十分な量の情報が残っているより単純な対象を割り当てることによって研究するのが一般的である。ホモトピー群はを位相空間に割り当てるそのような方法である。

トーラス
球面

トポロジーと群の間のつながりによって数学者は群論の見識をトポロジーに適用することができる。例えば、2つの位相的な対象が異なるホモトピー群を持てば、それらは同じ位相的構造を持っていない(このことは位相的な手法のみを用いて証明することは難しいかもしれない)。例えば、トーラス球面とは異なる。トーラスには「穴」があるが球面にはないからである。しかしながら、連続性(トポロジーの基本的な概念)は局所的な構造しか扱わないから、明らかな大域的な差異をフォーマルに定義することは難しくあり得る。しかしながら、ホモトピー群は、大域的な構造についての情報を持っているのである。

例えば、トーラス T の1次ホモトピー群は

π1(T) = Z2

である、なぜならばトーラスの普遍被覆複素平面 C で、トーラス TC / Z2 に写るからである。ここで商は群や環の圏ではなく位相空間の圏におけるものである。一方で球面 S2

π1(S2) = 0

を満たす、なぜならばすべてのループは定値写像に収縮できるからである(このことおよびより複雑なホモトピー群の例は球面のホモトピー群英語版を参照)。

したがってトーラスは球面と同相ではない。

定義

n 次元球面 Sn において、基点 a を選ぶ。基点 b を持つ空間 X に対し、πn(X) を、基点 a を基点 b に写す写像

f : SnX

のホモトピー類全体の集合と定義する。とくに、同値類は球面の基点上定数なホモトピーによって与えられる。同値なことだが、πn(X) を n 次元立方体から X への、n 次元立方体の境界を b へ写す写像 g: [0,1]nX のホモトピー類の群として定義できる。

基本群での合成

n ≥ 1 に対して、ホモトピー類全体はをなす。群演算を定義するために、次のことを思い出そう:基本群において、2つのループ fg の積 fg は次のように定義される:

主要概念

ホモトピー群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/25 05:25 UTC 版)

ホモトピー」の記事における「ホモトピー群」の解説

詳細は「ホモトピー群」を参照 位相空間における閉道とは基点を持つ 1 次元球面 S1 からの連続像であるということができる。これは以下のように高次元拡張される。位相空間 X とその 1 点 p を固定し、p を基点とする n 次元球面 Sn(の X への連続像)の全体 Ωn(X, p) を考え、これをホモトピー型が同じという関係で割って得られる商集合 πn(X, p) は群を成す。この πn(X, p) を n 次元ホモトピー群と呼ぶ。基本群場合同様に位相空間の間の連続写像高次ホモトピー群の間にも準同形写像をみちびく。

※この「ホモトピー群」の解説は、「ホモトピー」の解説の一部です。
「ホモトピー群」を含む「ホモトピー」の記事については、「ホモトピー」の概要を参照ください。

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