トポロジー的な基礎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/16 15:36 UTC 版)
三次元以上の空間では、スピン統計定理によると、あらゆる多粒子状態はボース・アインシュタイン統計もしくはフェルミ・ディラック統計のどちらかに従わなくてはならない。d>2ならば、群SO(d,1)(ローレンツ群を一般化する)およびPoincaré(d,1)は、それらの第一ホモトピー群として Z 2 {\displaystyle \mathrm {Z} _{2}} を持つ。 Z 2 {\displaystyle \mathrm {Z} _{2}} は、二つの要素からなる巡回群であり、それゆえ、二つの状態のみが可能である。(詳しくは、それより多くの要素を含むが、ここでは二つという点が重要である。) 二次元空間では、状況は変わる。ここで、SO(2,1)およびPoincaré(2,1)の第一ホモトピー群は、Z(無限巡回)である。これはSpin(2,1) は普遍被覆ではないことを意味する。つまり、それは単連結ではない。詳細には、SO(2,1)または二重被覆であるスピン群Spin(2,1)の線形表現から生じる特殊直交群SO(2,1)の射影表現が存在する。これらの表現は、エニオンと呼ばれる。 この概念は非相対論的な系に対しても適用できる。空間回転群は無限第一ホモトピー群を持つSO(2)であるということが、ここは関連している。 この事実は、結び目理論においてよく知られる組み紐群にも関係している。二次元では二粒子の置換群はもはや対称群 S 2 {\displaystyle S_{2}} (二つの要素数を持つ)ではなく、組み紐群 B 2 {\displaystyle B_{2}} (無限の要素数を持つ)であるという事実を考えると、その関係を理解することができる。重要な点は、一つの組み紐はもう一つの組み紐に巻きつくことができ、時計回りでも反時計回りでも、無限回巻きつくことができることである。 量子コンピュータにおける安定-デコヒーレンス問題への新しいアプローチとして、エニオンによるトポロジカル量子コンピュータがある。ここでは、安定な論理ゲートを形成するために組み紐理論に基づき、準粒子はより糸として使われる。
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