トポロジー的安定性とエネルギー的安定性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 14:39 UTC 版)
「磁気スキルミオン」の記事における「トポロジー的安定性とエネルギー的安定性」の解説
非自明なトポロジーはそれ自体がエネルギー的安定性を含意するわけではない。実際、トポロジーとエネルギー的安定性との間に必要条件は存在しない。したがって、数学的な概念である「トポロジー的安定性」[要出典]と、実際の物理系のエネルギー的安定性とを混同しないように注意が必要である。トポロジー的安定性とは、連続場により記述される系が一つのトポロジー的状態から別の状態へと転移するためには、連続場が断裂し、不連続が生じる必要があるという考えを指す。例えば、柔軟なドーナツ状(トーラス)風船を普通の球状の風船に変形させたい場合、ドーナツ状風船の表面のどこかを裂く必要がある。このようなとき、数学的にはドーナツ状風船は「トポロジー的に安定」であるという。しかし、物理学上は、ある「トポロジー的な」状態から別の状態への転移を可能とする断裂を生じさせるのに必要な自由エネルギーは常に有限である。例えば、ゴム風船を平らな断片にしたければ針でつつけばよい(後は勝手に破裂してくれる)。したがって、トポロジーという数学的な概念だけで近似的に物理系を記述できるとしても、エネルギー的安定性などの性質はトポロジーではなく物理的なパラメータ(上の例ではゴムの強度)によって決まる。系のトポロジー的安定性とエネルギー的安定性の間で意味のある対比を行うためには、場の断裂に必要な有限なエネルギーを表すため、非零の現象論的な「場の剛性」のようなアナロジーを用いる必要がある。場の剛性をモデル化し、積分することは場の破壊エネルギー密度の計算になぞらえることができる。このような考察から、しばしば「トポロジカル保護」または「トポロジカル障壁」と呼ばれるものは、より厳密にはやや煩雑ながら「トポロジー関連のエネルギー障壁」と呼ばれるべきことが示唆される。
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