天然ガス自動車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/22 10:41 UTC 版)
車両の構造
天然ガス自動車の構造は燃料供給系以外はガソリンを燃料とする自動車とほぼ同じである[1]。
天然ガス自動車は、一般的には天然ガスを往復式内燃機関で燃焼することにより走行するが、1970年に1014.513 km/hの速度記録を樹立したブルー・フレームは、液化天然ガスを燃料とするロケットエンジンで推進していた。
天然ガス自動車化改造
既存の自動車を改造(レトロフィット)によって天然ガス自動車に転換することもできる。ガソリン車の場合はガソリンエンジンが構造上ほぼ同じである火花点火内燃機関であるため、タンクの増設もしくは交換、燃料供給装置の変更、点火時期の調整程度で改造可能である。
ディーゼル自動車は、ディーゼルエンジンが構造上異なる圧縮着火内燃機関であるため、着火機構の変更(圧縮着火→火花点火)、圧縮比の変更、点火プラグ新設、燃焼室形状の変更が必要となる。それによりシリンダーヘッド、ピストン、コンロッドなどを新たに設計し直し、事実上シリンダーブロックのみを利用するような形態となる。
ディーゼル車の天然ガス自動車への改造など、低公害車への改造を専門に手掛ける企業もあり、株式会社フラットフィールド(神奈川県厚木市)、協同バスの関連会社である株式会社協同(埼玉県行田市)がある[14]。
ガス燃料は石油系燃料に比べ炭素含有量が少ないため、ガソリン・ディーゼルどちらのエンジンからLPGおよび天然ガスいずれへの改造でも、バルブ周りの材質を変更して耐摩耗性を確保する必要がある[15][注 2]。
同じガス燃料を用いることから、メーカーによっては新造するLPG自動車とコンポーネントを共有している車種もある。燃料に関する特性に合わせ調整を行いタンクを換装もしくは流用すれば、LPG自動車とは相互に転換することが理論上可能である。改造による変化などについては、ガソリン車改造LPG車及びディーゼル車改造LPG車も参考にされたい。
天然ガス仕様が設定されていた車種
- カローラバン - 廃止。
- プロボックスバン
- サクシードバン - 廃止。
- カムリ - 6代目VX20系を北米向けに生産、廃止。
- コンフォート
- クラウンコンフォート
- クラウンセダン
- センチュリー - 2005年(平成17年)1月廃止。
- ダイナ - 廃止。
- トヨエース - 廃止。
- ハイエースバン - バイフューエル。田中モータースによる改造。
- ADバン - 2008年12月廃止。
- アトラス(2ton) - いすゞ・エルフのOEM
- アトラス塵芥車(2ton) - いすゞ・エルフのOEM
- キャラバン - 廃止。
- クルー - 販売終了。
- セドリックセダン - 販売終了。
- シビリアン - 廃止。
- UDトラックス(旧 日産ディーゼル)
- コンドル(2,3,3.5,4,5,7ton)
- コンドル冷凍車(4,5,7ton)
- コンドル塵芥車(4,5ton)
- ビッグサム - 生産終了により、現在はフラットフィールドによる改造のみ。
- スペースランナーRM - 廃止。上尾市ぐるっとくんなどで使用。
- UA(ワンステップバス・ノンステップバス)- 廃止。京王バス東・富士急山梨バスなどで使用。
- パジェロ - 廃止。
- ミニカ - 廃止。
- ミニキャブバン・バイフューエル車 - ガソリンとCNGを併用できる。
- ミニキャブバンCNG専用車 - CNG単独。
- SUBARU(旧 富士重工業)
- エルガ(初代)- 生産終了。東京ベイシティ交通などで使用。
- エルガミオ(初代) - 生産終了。山梨交通などで使用。
- キュービック - 都営バスなどで使用。いすゞ・エルガにモデルチェンジ。
- エルフ (2,3,3.5,4ton) - 佐川急便などで使用。
- エルフ塵芥車 (2,3,4ton)
- フォワード (4,7ton)
- フォワード塵芥車 (4,5ton)
- ブルーリボン - 1999年式の都営バス1両のみ。
- ブルーリボンシティ - 廃止。近鉄バス、南海バス、京阪バス、名古屋市営バスで使用。
- レインボーII - 廃止。
- デュトロ - 廃止。
- レンジャー (4ton) - 廃止。
- ワゴンR - 廃止。
- ファミリアバン - 廃止。
- タイタン(2,3ton)(いすゞ・エルフのOEM)
- トヨタフォークリフト
- 三菱エンジンフォークリフト
- TCMフォークリフト
- コマツフォークリフト
- 住友フォークリフト
- 関東機械センター
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h 天然ガス自動車の普及に向けて(第24版、2021年) 一般社団法人日本ガス協会、2021年10月1日閲覧。
- ^ 英: compressed natural gas
- ^ https://www.jstage.jst.go.jp/article/japt1933/31/5/31_5_222/_pdf
- ^ CNG燃料容器(タンク)の構造 本田技研工業
- ^ http://www.gas.or.jp/ngvj/spread/world_spread.html
- ^ [1]
- ^ 中原圭介『シェール革命後の世界勢力図』ダイヤモンド社、2013年、224頁〜
- ^ 『バスラマ・インターナショナル97号』「CNGとディーゼル、どちらがクリーン?」による。
- ^ MAN LION’S CITY 12 GMAN DE
- ^ ニュル24時間でダカールチャンピオン達が競演
- ^ ストールレーシング、CNGのプジョー207S2000をお披露目
- ^ モータースポーツ用 CNG-R コンセプト
- ^ a b c d e f “あるCNGバスの“運命””. ぽると出版編集部ブログ (2019年3月17日). 2020年8月23日閲覧。
- ^ 『バスラマ・インターナショナル No.77』「特集:小型CNGバスの新しい動き」ぽると出版、2003年4月25日、ISBN 4-89980-077-0
- ^ ガス燃料エンジン用バルブシート材の開発 - 本田技研工業 > 論文サイト(更新日不明/2017年4月7日閲覧)
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