修辞技法 擬態法

修辞技法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/21 13:35 UTC 版)

擬態法

擬態法ぎたいほうは、表現する事象について、様子を文字として書き表した擬態語や、擬音語・擬声語を用いた修辞法である。「姉はにこにこと笑っていた」という文での「にこにこ」が擬態語に、「犬がワンワンと鳴く」の「ワンワン」が擬声語にあたる。

擬態語・擬音語・擬声語

擬態語ぎたいごは「様子」、擬音語ぎおんごは「音」、そして、擬声語ぎせいごは「動物の鳴き声」などを言語化したものである。写生語声喩、仏語でオノマトペ (onomatopee)、若しくは英語でオノマトペア (onomatopoeia) ともいう。擬音語(擬声語)を用いることにより、ものごとを生き生きと表現する効果や、また、ものごとに対し読者が親近感を抱く効果など、さまざまな効果が生まれる。扉が風でガタガタと音を立てるといった擬音語、幼児語では、犬の鳴き声の擬声語であるワンワンのように、そのものの発する声を表す擬声語がそのものの名称として用いられる場合もある。擬態語は「動作・様態・感覚・心理・状況」などの様子を文字として表す方法で、傷口がズキズキ痛む、心配でハラハラするなどが例として挙げられる。また、そもそも言語ではないものを言語化しているため、言語によってこれらの語は異なることがある。

尚、日本の国語教育では文法として擬音はカタカナを、擬態は平仮名を使うように教えている[要出典]

擬人法

比喩の中でも特に、人でないものを人格化し、人に例える手法を擬人法(ぎじんほう、活喩)という。その場合、読み手に対し、例えられる「人でないもの」に対する近しさを抱かせる効果が生まれる。擬人化擬人観も参照のこと。

  • 「海に出て木枯帰るところなし」(山口誓子
  • 木はわたしに向かって手を振った。
  • 風が私を優しく撫でた。

擬物表現

擬人法と逆に、人の動作や様子を物質に喩える手法があり、これを「擬物表現」、「結晶法」、「実体化」(原義は Hypostatization《英》)などと訳している。以下は例文である。

  • 黙々と働く彼の姿は、言うなればロボットである。 
  • 彼女の笑顔が、僕にとって元気の薬だ。
  • 彼が持つ強運を、少しは分けて欲しいぐらいだ。

生物形象・無機物形象(擬人表現と擬物表現の逆相関)

擬人法と対照的な概念に動物形象や無機物形象がある。多くの文化圏・言語圏において見られる用法であり、いわゆる擬人化イメージの逆擬物化と解釈することができる。

ある人間以外の生物・無機質の物体・自然現象などが、その特徴や生態などから、ある特定の擬人表現がなされることが広く周知されている場合に、逆に人間像をその生物・物体・自然現象などに例える用法である。

この表現例として、古来各地で「あの人は~のような人だ」の「~」に様々な生物形象・無機物形象が用いられている。

  • アリのような人
    社会性のあるアリ、特に働きアリのイメージに例え、勤勉な人物あるいは黙々と自らの属する組織に尽くす人
  • カメレオンのような人
    自らの外敵からの攻撃をさけるため、周囲の環境によって体色を自在に替えるカメレオンのイメージに例え、自分の周囲の状況を察知して主義・主張や振る舞いをコロコロ替える人、世渡り上手、お調子者
  • 風見鶏のような人
    「カメレオンのような人」と同義
  • ハゲタカのような人
    健康な相手は決して襲わないが、ひとたびその相手が衰えたり死んだりすると、よってたかってその肉をむさぼるイメージにたとえ、人の弱みにつけこんで自分の利益をむさぼる人
  • のような人
    二枚貝が堅く殻を閉じているイメージに例え、無駄な口を開かない人、ないしは身持ちが堅く防御的傾向にある人
  • 太陽のような人
    太陽系を成す恒星に例え、その系統の中心となるような人、あたたかい人

倒置法

文章は通常、主語目的語述語 の順で記述されるが、この順序を倒置(逆転)させ、目的語を強調する手法のこと。

  • 私は宝の在処を突き止めた。(通常)
  • 私は突き止めた、宝の在処を。(倒置法)
  • 突き止めた、宝の在処を、言うまでもなく私が。(主語も倒置した形)

  1. ^ 諷喩 とは - コトバンク”. デジタル大辞泉. 小学館. 2011年4月5日閲覧。
  2. ^ 野内 良三 (2005) 『日本語修辞辞典』 国書刊行会
  3. ^ 佐藤信夫他『レトリック事典』





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