修辞学についてのクインティリアヌスとは? わかりやすく解説

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修辞学についてのクインティリアヌス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:22 UTC 版)

クインティリアヌス」の記事における「修辞学についてのクインティリアヌス」の解説

クインティリアヌス時代には、修辞学は主に3つの面から成っていた。理論教育実践である。『弁論家教育』は何ら独創性主張するものではない。クインティリアヌスはこの本をまとめるのに、多く文献から引くことにした。折衷主義と言えるかも知れないが、たとえ他に較べてキケロ突出しているにしても、何か特定の学派固執することは避けた。さらに法則短く簡潔なリストにすることも避けた修辞学研究技術切り詰めることが出来ない感じたのだろう。それゆえに『弁論家教育』は12巻という膨大なものになったのに違いないローマ修辞学隆盛は、紀元前1世紀中頃からクインティリアヌス時代までである。しかし、クインティリアヌス時代人気のあった弁論術スタイルは、「白銀期」と呼ばれるもの、つまり、明瞭さ正確さ以上に華美な飾り付けを好むものであった。『弁論家教育』は多くの点でその傾向反するものとして読むことができる。それは、より単純で、より明瞭な言語への回帰推奨していた。「平民の出の男……親しみやすさを持つ地に足のついた現実主義者」だった皇帝ウェスパシアヌス影響もあるのかも知れないウェスパシアヌス過度行き過ぎを嫌い、クインティリアヌスへのパトロネージュにもその言語観影響与えたかも知れないクインティリアヌス理想スタイル主唱者見なしたのはキケロであった前世紀キケロ遙かに簡潔なスタイル一般的だった。このことは自然と技術についての解説述べられている。クインティリアヌス明らかに自然を、それもとりわけ言語において好み同時代人人気のあった極端な飾り付け嫌った。複雑の度を過ぎたスタイル追求する中で、自然な言語と自然な思考道理から逸脱したことは、弁論家にもその聴衆にも混乱生み出していた。「自然を自分指導者としてそれに従い人目を引くスタイル気を遣うことをしなければ、並の弁論家であっても難し問題を扱うことができる」。 『弁論家教育』は実質修辞学技術面包括的教科書である。第2巻11章から第6巻最後にかけて、クインティリアヌスは、自然の道理自然と技術の関係、発案証明感情、そして言葉などの話題をぎっしり詰め込んだ。そこで論じられた中で最も有名なものは、転義法Schemeについてで、第8巻第9巻書かれている。「転義法はある語を別の語に置き換えることを含みScheme言葉指示あるいは意味のどちらか変換する必要が必ずしもない」。 転義法一例メタファーであり、言葉の意味変換である。一方文彩言葉新しい面または大きな感情的価値与え次の2つ分かれる1つ思考文彩で、それは証明をより力強く見せるか、あるいは優雅さ飾り付け足す。もう1つ言葉文彩で、これはより細かく、「その中で言葉性格が形になる文法的なものと、その中で言葉所在主要な要素となる修辞学的なもの」に分かれる。 『弁論家教育』の素晴らし部分は、もちろん、修辞学技術面扱っている部分で、アリストテレスの『弁論術』やキケロの『弁論家について』などと並んで修辞学についての古代世界代表する著作1つである。弁論術要素次の5つ分かれる発想(inventio)、配列(dispositio)、措辞(elocutio)、記憶memoria)、口演(pronuntiatio)である。おのおのの要素とりわけ最初3つのために、クインティリアヌス論点発展表現の中で、習得され考察されなければならない要素すべてを徹底的に解説した。この徹底して実用的な叙述は、弁論家として教師としてクインティリアヌス経験反映され多くの点で、この本は、ギリシアローマ修辞学理論完成見なされるきだろう。 この本でも他の論文でも、クインティリアヌス一貫して理論的なものよりも、むしろ実践的応用できる面にこだわり続けた現代多く理論家違ってクインティリアヌスは「比喩的言語言語学的指示定着対す脅威として見てはいなかった」。言葉指示的な使用は常に第一次の意味持ち比喩的な言語の使用ごく稀に追加されるもので、決し置き換わるものではないというわけである。

※この「修辞学についてのクインティリアヌス」の解説は、「クインティリアヌス」の解説の一部です。
「修辞学についてのクインティリアヌス」を含む「クインティリアヌス」の記事については、「クインティリアヌス」の概要を参照ください。

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