【ZSU-57-2】(ぜっとえすゆーごじゅうななのに)
ソビエト連邦が開発した自走式AAA。
ZSUとはZenitnaya Samokhodnaya Ustanovkaの略であり『自走高射装置』を意味する。
ソ連最初の自走式高射機関砲として1951年に開発された。
T-54のコンポーネントを多数流用し、オープントップの全周旋回式砲塔にS-63 57mm高射機関砲を2連装で搭載する。
なお、車体の装甲厚は減らされて15mmになり、車体長も転輪を一組減らして短縮・軽量化されている。
本車が搭載するS-63 57mm機関砲は、高射機関砲としては最大級の破壊力と射程を誇るもので、1門あたり70発/分の発射速度を誇り、使用する曳光徹甲弾は初速1,000m/sで発射され、射程1,000mにおいて96mmの装甲貫徹力があり、対戦車戦闘にも有効であった。
1955年より旧ソ連陸軍への配備が始まったが、射撃速度が遅くレーダーを搭載していないため通常の目視照準システムでは高速化する戦闘機に対抗できない上、オープントップであるため放射能やBC兵器を防ぐことができず、1960年代中盤より後継のZSU-23-4と交代・退役していった。
主な戦歴としては、ベトナム戦争や第三次中東戦争、イラン・イラク戦争で使用されたが、前述の問題から、敵航空機に対して芳しい戦果は挙げられなかった。
しかし、アフガニスタンやユーゴスラヴィアの内戦では地上目標に対して大きな戦果を挙げ、アフガンではソ連軍撤退後も一部のゲリラ組織によって継続使用されていた。
現在ではロシア軍から全車が退役しているものの、北朝鮮陸軍などでは現役で使用されている。
スペックデータ
乗員 | 6名 |
全長 | 6.22m/8.46m(砲身含む) |
全高 | 2.71m |
全幅 | 3.27m |
戦闘重量 | 28.1t |
エンジン | V-54 4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル(出力520hp) |
懸架・駆動方式 | トーションバー方式 |
登坂力 | 60% |
超堤高 | 0.8m |
超壕幅 | 2.7m |
最大速度 | 50km/h(路上) |
航続距離 | 420km |
装甲 | 15mm(車体前面) |
兵装 | S-63 73口径57mm機関砲×2門(300発) |
派生型
ZSU-57-2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/23 04:51 UTC 版)
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基礎データ | |
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全長 | 8.46m(砲身含む) 6.22m(車体のみ) |
全幅 | 3.27m |
全高 | 2.71m |
重量 | 28.1t |
乗員数 | 6名 |
装甲・武装 | |
装甲 | 最大15mm |
主武装 | S-68 57mm機関砲×2 |
機動力 | |
速度 | 65km/h(整地) |
整地速度 | 50km/h |
エンジン | V-54 12気筒液冷ディーゼル 520馬力 |
懸架・駆動 | トーションバー方式 |
行動距離 | 420-600km |
ZSU-57-2(ロシア語: ЗСУ-57-2 (Зенитная самоходная установка — 57 миллиметров — 2 орудия、対空自走砲架57mm2門)、あるいはオブイェクト 500(Объект 500)は、1955年-1960年にかけて生産されたソビエト連邦の対空戦車である。
概要

第二次世界大戦中のドイツで試作されていた5.5cm Gerät58から発展した高射機関砲S-60 57mm対空機関砲の車載用改造型であるS-68機関砲を、車体に比べて大型の上部開放型全周旋回砲塔に搭載している。S-68の実用発射速度は、2門合わせて140発/分(理論上は210-240発/分)で、仰俯角は-5~+85度、20度/秒で俯仰、30度/秒で旋回する。この砲は対空用砲弾だけでなく、1,000m先の96-106mm厚の装甲を撃ち抜く徹甲弾も使用できる。
車体は、T-54をベースに装甲を15mmと薄くして、転輪を1組減らして短縮・軽量化した独自のものを使用している。
57mmというのは、実用化されている機関砲としては現在に至るまで最大口径であり、それに見合った最大級の破壊力と射程を誇るものであったが、発射速度が低く、砲塔旋回用の動力(油圧)はあるがそれでも旋回速度が遅く、レーダーを持たず、また、砲塔上面が開放式なのでNBC防護能力を持たせるのは不可能であるなどの欠点があり、生産は打ち切られた。
装甲防御力は低く、せいぜい7.62mm弾を防ぐ程度の能力しかなく、12.7mmなどの大口径機銃弾で攻撃されるともう防ぐことはできなかった。対空車両が重装甲であることは珍しく本車両特有の欠点というわけではないのだが、地上目標への攻撃にも頻繁に用いられたため、その際は車体を掩蔽するなど充分な備えが必要であった。
このZSU-57-2の後継としては、より効果的なZSU-23-4が挙げられる。
ソビエトらしく跨乗歩兵を乗せることもあったのだが、上面が開放式のために乗せやすかったのか、主に砲塔内に乗せていた(戦車などの場合は車外に跨乗するしかなかった)。最大何人乗せたかは定かではないが、砲塔内に7人乗っている写真が存在する。
実戦
ベトナム戦争や第三次中東戦争・イラン・イラク戦争で使用されたが、光学照準のみの射撃管制、砲塔の旋回が遅かったことなどから、敵航空機に対して芳しい戦果は挙げられなかった。しかし、アフガニスタン紛争やユーゴスラビア内戦では地上目標に対して大きな戦果を挙げ、アフガニスタンではソ連軍撤退後も一部のゲリラ組織によって継続使用されていた。
使用国
登場作品
ゲーム
- 『Wargame Red Dragon』
- 国家人民軍の車両として「Fla SFL 57-2」の名称で登場する。
- 『War Thunder』
- ランク5のソ連 イスラエル スウェーデン 中国 イタリアツリーにて開発可能。
- 『バトルフィールド ベトナム』
- 北ベトナム軍の対空車両として登場する。
- 『Project Reality(BF2)』
- 北ベトナム軍の対空車両として登場する。
- 『マーセナリーズ』
- 北朝鮮反乱軍の自走式対空砲として「ZSU-57」の名称で登場する。
脚注
出典
参考文献
- The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7
関連項目
- 対空戦車
- S-60 57mm対空機関砲
- M53/59プラガ - チェコの対空自走砲。同等品とされたため、チェコはZSU-57-2を輸入しなかった。
ZSU-57-2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/07 05:11 UTC 版)
「S-60 57mm対空機関砲」の記事における「ZSU-57-2」の解説
S-60を連装化し、T-54の車体を短縮軽量化したものに搭載した自走高射機関砲型である。レーダー未装備のため、対空射撃能力は低下した。
※この「ZSU-57-2」の解説は、「S-60 57mm対空機関砲」の解説の一部です。
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