2014年〜 メルセデスとの提携
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「ウィリアムズF1」の記事における「2014年〜 メルセデスとの提携」の解説
2014年からF1のエンジンレギュレーションが大きく変更されることから、2013年5月にウィリアムズは、2014年より新たにメルセデスからエンジン供給を受けることを発表した。メルセデスはウィリアムズにエンジン及びエネルギー回生システム(ERS)を含むパワーユニット(PU)を供給するが、トランスミッションはウィリアムズが独自開発する。ドライバーは残留したボッタスとフェラーリからフェリペ・マッサが移籍。テスト段階では従来の紺ベースだったが、マルティーニ・エ・ロッシとの大型スポンサー契約がまとまり、チーム名や塗装にマルティーニの意向が反映され、白地に赤青ストライプが車体に描かれた。2008年を最後に離れていたペトロブラスがブラジル人のマッサ加入に伴いスポンサーに復帰。マルドナドが離脱したもののPDVSAは契約期間が残っていた為に残り期間のスポンサー料が違約金として支払われ、BMWエンジンを失って以後、最も潤沢な資金を得てシーズンに臨む事となった。それでもフェラーリの半分の年間予算である。開幕戦オーストラリアGPではボッタスが前年を上回る5位入賞を果たし、開幕戦の段階で前年の成績を上回った。続く第2戦マレーシアGP、第3戦バーレーンGPでもマッサ7位、ボッタス8位の2戦連続のダブル入賞が続く。第8戦オーストリアGPの予選ではマッサがポールポジション(PP)、ボッタスが2番手とフロントローを独占した。ウィリアムズのPPは2012年第5戦以来となるが、フロントローを2台独占したのは2003年フランスGP以来の11年ぶりの出来事であった。なお、マッサ自身にとっても2008年ブラジルGP以来6年ぶりのPP獲得であった。決勝は序盤トップと2位を先行したが、ピット作戦でメルセデス勢に逆転を許しマッサ4位、ボッタス3位初表彰台という結果となった。次戦イギリスGPではボッタスが14番手スタートながらも決勝で2位表彰台を獲得。また、最終戦のアブダビGPではダブルポイントの効果もあり、2台で66ポイントを獲得。これにより、1レースで獲得したポイントが最も多いチームとしての記録を残した。この年はフェラーリとロータスの不振もあったが、未勝利ながらも年間ランキング3位と2003年以来の好成績をあげトップチーム返り咲きを果たしたと思われた。 2015年もボッタス、マッサのコンビで参戦。第7戦カナダGPでボッタスが、続く第8戦オーストリアGPでマッサが表彰台を獲得する。第9戦イギリスGPではマッサ、ボッタス共に2列目につけ、ロケットスタートでメルセデスを抜き去り1-2体制でレースを進めていた。しかしピット作戦でメルセデス2台に逆転されると、終盤に雨が降り出した際にウェットタイヤへ交換するタイミングを誤り、フェラーリのセバスチャン・ベッテルにも逆転されマッサ4位、ボッタス5位に終わった。シーズンを通してメルセデス、フェラーリの後塵を拝するレースが多かったものの、レッドブルの不振もあり、コンストラクターズは前年と変わらず3位、個人ランキングではボッタス5位、マッサ6位となり、結果だけ見れば、前年に近い成績でシーズンを終えた。だが、総獲得ポイントは減少し、前年がチームとして全戦入賞を果たしたのに対し、今季は入賞を逃したGPいくつかあり、さらに表彰台も両ドライバーとも3位表彰台2回ずつに留まるなど(前年は2位表彰台も記録していた)、少なからず成績が下がった。この時期最強とされていたメルセデスPUを搭載していたため、下位チームに対しては優勢を保っていたものの、この年優勝したチームには後れを取っており、それが反映したような成績となってしまった。そして、この年以降、チームの位置付けは、相対的に下がってゆくこととなる。 2016年もドライバーは変わらず。第5戦までは2015年と同じような成績であったが、4月の段階で前年型よりマシンの戦闘力が後退しているコメントが発せられ、シーズンが進むにつれてポイントを獲得するのが精一杯という状況になっていき、メルセデス、レッドブル、フェラーリから大きく差をつけられた。表彰台もカナダGPでのボッタスの3位のみとなり、同じメルセデス製PUを使用するフォース・インディアが3位を2度獲得したこともあり、コンストラクターズ5位に後退した。イタリアGPでマッサがこの年で限りで引退することを発表した。また、テクニカルディレクターのパット・シモンズがこの年をもってチームを離脱。 2017年は「ウィリアムズ・グランプリ・エンジニアリング」としてのF1参戦40周年を迎えることから、順番通りのFW39ではなくシャシー名称を「FW40」とした。ドライバーは当初、マッサの引退を受け、ボッタスの残留と前年ウィリアムズのリザーブドライバーを務めていたランス・ストロールの昇格を発表していた。ところが、前年度王者のニコ・ロズベルグの電撃的引退に伴いボッタスがメルセデスに移籍したため、その影響でマッサは引退を撤回して引き続きウィリアムズで走ることとなった。ストロールには父親であるローレンス・ストロールによる資金提供が強く関わっているとの声が強く、ウィリアムズの資金難を示唆していた。なお、ウィリアムズで10代のドライバーが走るのは史上初のことである。メルセデスを離脱したパディ・ロウがチーフテクニカルオフィサー(CTO)に、前年末にフェラーリを離脱したディルク・デ・ビアが空力責任者にそれぞれ就任し技術陣の強化を行った。 ストロールは開幕3戦はリタイアとなるが、初の母国レースとなる第7戦カナダGPで9位入賞を果たすと、次のアゼルバイジャンGPでは3位に入り、初の表彰台に立った。オーストリアGPでは予選ではマッサ17位、ストロール18位と低迷するも決勝ではマッサ9位、ストロール10位にまで追い上げ今シーズン初のダブル入賞を果たした。ハンガリーGPはマッサが体調不良を訴え欠場したため、リザーブドライバーのポール・ディ・レスタが代走を務めた。チームとしては第2戦と第5戦以外で入賞し、時のトップ3チーム(メルセデス、フェラーリ、レッドブル)以外のドライバーとしてストロールが1回だけだが表彰台に上がったものの、ダブル入賞の回数が大幅に減り(前年10回、今季3回)、ランキングこそ昨年の5位と変わりはなかったが4位のフォース・インディアにはダブルスコアを付けられる結果となった。また、マッサはシーズン後半に改めて引退を表明した。 2018年1月16日、ストロールの残留とセルゲイ・シロトキンの起用、そしてロバート・クビサのリザーブ兼開発ドライバー就任が発表された。開幕を前に、2014年からタイトルスポンサーとなっていたマルティーニが2018年をもって契約終了となることが発表された。マルティーニは25歳以上のドライバーを起用することを要望していた(マッサが2017年に引退を撤回した要因の一つでもあった)が、ストロールは19歳、シロトキンは22歳と条件を満たしておらず、今回のドライバー選択が契約終了の一因ではないかとの見方をされていたが、クレア・ウィリアムズはこれを否定している。パディ・ロウの手による新車FW41に期待が高まったものの空力に問題を抱え、5月にはチーフデザイナーのエド・ウッドと空力責任者のディルク・デ・ビアが相次いで離脱し、パフォーマンスエンジニアリング責任者のロブ・スメドレーもシーズン終了をもって離脱する事態に陥った。そのため、戦闘力強化の一環で自社開発を続けて来たトランスミッションもメルセデスからの供給に切り替える報道が出るほどであり、入賞したのはストロールが第4戦アゼルバイジャンGPで挙げた8位とダブル入賞を果たした第14戦イタリアGPの2戦(イタリアGPのダブル入賞のうち、シロトキンの入賞は上位のドライバーが失格になったこともあってのものであった)のみで、コンストラクターズランキング最下位へと転落した。そんななか、ストロール家率いるコンソーシアムが破産宣告を受けたフォース・インディアを買収し、ランス・ストロールも同チームから名称を変更したレーシング・ポイントへ移籍。シロトキンも持参金が用意できなかったことや資金難の影響で交代させられる形となり、わずか1年でF1から去ることとなった。 2019年、前年の予告通りマルティーニとの契約が終了したため、今期は携帯電話会社の「ROKiT(ロキット)」と新たなタイトルスポンサー契約を結び、『ロキット・ウィリアムズ・レーシング』の名でエントリー。リザーブドライバーのクビサが正ドライバーに昇格して9年ぶりにF1復帰、メルセデスのリザーブドライバーを務めた新人ジョージ・ラッセルとのコンビとなる。新車FW42は合同実走テストに2日半参加できず大幅なハンデとなり、開幕1週間前にCTOのパディ・ロウが事実上更迭された。開幕戦オーストラリアではクビサ、ラッセル共々予選・決勝共に最下位に甘んじ、その後のレースでも下位に低迷。チームは人員の再編を行い、パトリック・ヘッドがコンサルタントとして8年ぶりにF1へ復帰、アダム・カーターがデザイン責任者の役割を引き継いだ。第11戦ドイツGPでクビサが10位となりノーポイントは免れたが、上位のドライバーのペナルティによる繰り上がりでの入賞であった。結局、ドイツGPの入賞で獲得した1ポイントがシーズン唯一のポイントとなり自力入賞は一度もないままシーズンを終えた。7月にROKiTと2023年まで、9月にメルセデスPUと2025年までの長期契約をまとめた。シンガポールGP記者会見でクビサがチーム離脱を発表した。また、今シーズンの成績によってチームのマシン開発の迷走が指摘されるようになる。 2020年、ドライバーはラッセルが残留し、リザーブドライバーを務めていたニコラス・ラティフィが昇格。技術部門も刷新され、レッドブルからデイビッド・ワーナー、ルノーからジョナサン・カーターが移籍してチーフデザイナー、副チーフデザイナー兼デザイン部門責任者にそれぞれ就任し、デザイン部門のアダム・カーターがチーフエンジニアに就任。マクラーレンからサイモン・ロバーツをマネージングディレクターに迎えた。今季はクラッシュテストの素早い合格やマシンの戦闘力の改善の成功の兆しなど、明るいニュースもあった。ところが、世界的な問題による開幕延期に伴い、チームの資金難に拍車がかかることとなった。プレシーズンテストの頃でさえ、深刻な資金難に陥っており、関連会社のウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングの株式を前年末に過半数売却し参戦用の資金を確保。ラティフィの起用は金銭面が理由ではないとしながらも、彼が関連するスポンサーが多数参加しており、それを否定することもできなかった。そのうえ、シーズンが凍結されていることにより、レースで得られる収入が一時的に消滅してしまったため、施設や歴代マシンなどを担保に運営資金の緊急調達に迫られる事態となった。それに追い打ちをかけるかのように、チームからタイトルスポンサーのROKiTが5月29日付で契約が即時終了されたことが発表され、その分の収入も喪失。そのため、チーム株式の過半数あるいはチーム自体の売却を検討し始める事態となった。
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