第一審・横浜地裁小田原支部とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 第一審・横浜地裁小田原支部の意味・解説 

第一審・横浜地裁小田原支部

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 02:31 UTC 版)

ピアノ騒音殺人事件」の記事における「第一審・横浜地裁小田原支部」の解説

刑事裁判第一審公判被告人Oは「死刑なりたかったから被害者3人を殺害した」と発言するなど異常な性格認められたが、同公判行われた精神鑑定では「被告人Oは精神病質者だが、犯行時に心神耗弱状態だった点は認められない」とする鑑定結果示された。1974年10月28日横浜地方裁判所小田原支部海老原震一裁判長)で第一審初公判開かれ被告人Oは罪状認否で「被害者3人を刺すことしか考えておらず殺すつもりはなかった」と述べて殺意否認した1974年11月25日第2回公判証拠調べが行われ、同年12月16日第3回公判では海老原裁判長が「小田原医院院長八幡衡平対し弁護人申請していた被告人Oの精神鑑定依頼した八幡被告人Oと2回面接し田中ビネー知能検査問診行った上で事件記録参照して鑑定書作成し1975年2月11日付で地裁支部提出した1975年昭和50年2月24日開かれた第4回公判では被告人Oの部屋騒音計測した平塚市職員公害主事)が証人として出廷し、「平塚署からの依頼9月2日6日の2回にわたり現場まで階下ピアノの音がどの程度響くかを測定した」という証言をした。その結果は「1回目14時測定では周囲暗騒音中央値44ホンで、階下で弾くピアノの音は周囲喧騒音(戸外の子供たちの遊ぶ声など)にかき消され測定できなかった。2回目1930分から測定したが、窓を開けた状態でも上限値44ホンであった」というものだった。しかし測定時にピアノ弾いた時間は約15分で、ピアノ平塚署の署員もしくは警察関係者弾いていたため、上前(1982)は「この測定は不正とまでは言えないが、不公平と言われてもやむを得ない公平な第三者によりあらゆる弾き方で強弱全ての音を記録すべきだった」「人々睡眠時間帯は一律ではないのだから、昼間でも階下ピアノの音に不快感を抱く人がいても不思議ではない」「ホン数で示される音の高さ・鳴る時間の長さ問題ではなく、“『静寂望みながら暮らしている時に時を選ばず降り注ぐ音』という性質人間内臓神経どのような影響を及ぼすか”が問題だったはずだ。その点への考察怠った裁判には致命的な欠陥がある」と指摘している。 1975年3月17日開かれた第5回公判では被告人Oの精神鑑定依頼されていた医師八幡衡平証人として出廷し証人尋問で「被告人Oは騒音公害によって道徳感情が鈍麻した異常人格(精神病質)に該当するが、狭義精神病症状心神喪失心神耗弱該当する状態)ではなく知能も普通である」と述べたその後検察官からの「『医学的に見れば精神病と正常の中間該当するが、心神喪失心神耗弱には該当せず、責任能力認められるということか?」という趣旨質問をされると「責任能力はある」と回答した一方弁護人の「是非善悪弁別自己の行動制御する能力欠けた状態であるため、O個人の罪は軽減されるべきだ」という点を強調した質問に対して肯定的な答え返した1975年4月14日開かれた第6回公判では被害者遺族ある男性Aとその義兄女性Bの兄)が検察証人として出廷しそれぞれ死刑求めたその後同年5月12日開かれた第7回公判では「騒音被害者の会」代表・佐芳子弁護人証人として出廷し、「被害者には大変気の毒な事件だが、会合では被告人Oに同情する意見多くその旨嘆願書も計100近く書かれている」と証言したほか、被告人Oの元妻事件後に離婚)も出廷して「Oは音に対し異常に神経質だったが、ピアノの音は自分にも度が過ぎて聞こえていた。しかし『団地はうるさいところ』と思っていたから被害者対し苦情言いに行くことはなかった」と証言した1975年6月2日開かれた第8回公判では被告人Oへの被告人質問が行われたが、被告人Oは捜査段階一転して死刑なりたかったからやった。被害者対する『申し訳ない』という言葉本心ではなく事件起こしたことへの後悔反省はしていない」と証言したその後第9回公判1975年8圧11日)でも論告求刑前に改め被告人質問が行われたが、Oは第8回公判同様に死刑なりたかった。被害者申し訳ないとは思わない」と供述した1975年8月11日10時から横浜地裁小田原支部海老原震一裁判長)で論告求刑公判開かれ検察官樋田誠は被告人Oに死刑求刑した検察官論告被告人Oの責任能力について「被告人Oは病質者だが刑法上の心身喪失心神耗弱ではなく、罰を償うだけの能力持っている」と指摘した上で、「犯行計画的執拗残虐な殺害方法により罪のない子供2人殺している。ピアノ日曜大工の音は近隣者に不快を与えるほどのものではなかった。被告人Oの行為反社会的自己中心的死刑が相当だ」と主張した1975年10月20日13時から判決公判開かれ横浜地裁小田原支部海老原震一裁判長)は横浜地検求刑通り被告人Oに死刑判決言い渡した判決理由要旨以下の通り。 (責任能力に関して) - 弁護人は「日曜大工ピアノの音から被害者一家対し極度憎しみ持ち始めた矢先に『Bの夫Aに刃物刺される』と恐怖抱いたことで『いっそ先に被害者らを殺害しよう』と思い立って犯行至った。これは正常の心理からすれば理解不能な以上の精神状態の下での犯罪というほかなく、被告人精神病質者であったため『事理弁識能力著しく減弱した心神耗弱状態』とみなして量刑減軽すべきだ」と主張するが、被告人確かに精神病質者でかつ音に対す過敏症であった点は認められるものの、周到な準備の上被害者Bの夫Aが出勤後留になったところを確認した上で犯行及んだ上、娘2人C・D)を殺害した直後自己の犯罪正当化するため鉛筆メッセージ書き残すなど、犯行冷徹遂行していることが認められるため、弁護人主張採用できない。 (量刑理由犯行被害者方から発されピアノ日曜大工ベランダサッシ戸の音などに端を発したものだが、そのピアノの音は平塚市公害課による音響測定によれば被告人Oの部屋406号室)で聞いた場合40 - 45ホン程度」で、神奈川県公害対策事務局が行指導上の目安として音の人体対す影響実験などでまとめた基準によれば睡眠妨げられ病気の人は寝ていられない」という程度の音だった。また被害者方の真下206号室の住人反応も「不快感与えるほどの音とは感じられなかった」というもので、しかも早朝深夜(特に通常人の睡眠時間帯)には発されていない。むしろその影響は音を感受する被告人Oが「音に対し極度神経過敏であった上に情意欠け異常性格であったこと」と、他人に対しては特に人づきあい良く社交家肌の被害者Bが被告人Oの日常行動見て変人だ」と思ったためか、被告人Oに対してはほとんど近所付き合いをしなかったという「意思疎通欠けた点」があったことに由来し被害者方・被告人Oとの間に意思疎通があれば十分阻止し得たといえる。 しかし被害者は「被告人Oは音に極度神経過敏症で異常性格者だ」ということを知る由はなく、意思疎通不足の点をもって被害者のみを責めることはできないし、被告人Oは「ピアノを弾く時間一定していないので家にもいられない状態だった」と述べているが、被害者方に被告人O側からピアノを弾く時間制限してくれ」と申し入れられたにも拘らずそれを拒否した思われるような事情認められない被告人Oが被害者方に直接苦情申し入れたのはわずか1回で、騒音問題について被害者側と対話するよう努力した痕跡は全く認められず、被害者責め限り同じく被告人Oの態度責められなければならない。 その一方で被告人Oは自己の被害者対す態度一顧だにせず、被害者Bの自己対す態度のみを自己流責め果てはその報復として犯行用意周到に計画した上で実行し一片憐憫の情もなく罪のない幼女2人までも一気殺害した犯行態様は「冷静に致命傷与え部位狙い鋭利な刃物突き被害者3人中1人次女D)に対しては『手ごたえが不十分』としてさらしで首を絞める」など残虐極まりないもので、被告人Oは法廷でも全く自己の犯した罪に対し悔悟の情を示していない。 第一審判決後、被告人Oは死刑望んで東京高等裁判所控訴しようとしなかったため、1975年11月1日付で弁護人控訴した

※この「第一審・横浜地裁小田原支部」の解説は、「ピアノ騒音殺人事件」の解説の一部です。
「第一審・横浜地裁小田原支部」を含む「ピアノ騒音殺人事件」の記事については、「ピアノ騒音殺人事件」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「第一審・横浜地裁小田原支部」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「第一審・横浜地裁小田原支部」の関連用語

第一審・横浜地裁小田原支部のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



第一審・横浜地裁小田原支部のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのピアノ騒音殺人事件 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS