第一審・広島地裁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 14:33 UTC 版)
「福山市独居老婦人殺害事件」の記事における「第一審・広島地裁」の解説
被告人Nは、第一審の第6回公判にて、母親・姉が自分への思いを語った証人尋問調書を聞いた後、「刑務所の辛さは体の芯まで染み込んでわかっているのに、同じことをした自分の愚かさが情けない。被害者に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。被害者の冥福を朝晩手を合わせて拝んでいる」と述べた。しかしその一方で、義兄に対する恨みや「生きていてやりたい」との心情を述べ、義兄に責任を転嫁するような供述態度も取った。 両被告人の弁護人とも、「被害者Aの死因は窒息死ではない。被告人らにはいずれも強盗殺人未遂罪が成立するに過ぎない」と主張したほか、被告人Nの弁護人は「被告人Nらが被害者Aを殺害してからA宅を物色した行為は強盗殺人には包括されず、別罪の窃盗未遂に留まる」と主張したが、広島地裁 (1994) は「犯行の状況や被告人らの供述などから検討すれば被害者の死因が窒息死であることには合理的な疑いを入れる余地がない」「両被告人とも最初から被害者を殺害してから被害者宅の金品を奪う意思を相通じた上で犯行に及んでおり、殺害行為と物色行為は同一の範囲に基づく一連の行為であるため、1個の強盗殺人罪として包括して評価するのが相当だ」と事実認定した。 1994年(平成6年)6月28日に広島地方裁判所(小西秀宣裁判長)で論告求刑公判が開かれ、検察官は被告人Nに死刑を、被告人Xに無期懲役をそれぞれ求刑した。論告要旨は以下の通り。 「何の罪もない被害者を騙して殺害した犯行は周到に計画された冷酷・残忍なものだ。独居老人が犯罪被害に遭う危険性が増大している中で社会に与えた影響は重大で、厳罰を加える必要がある」 「被告人Nは犯行の主導的な役割を果たしているほか、過去に強盗殺人を犯して無期懲役刑に処されたにも拘らず、仮出獄中に再び強盗殺人を繰り返すなど、更生は不可能だ」 第9回公判における最終意見陳述で、被告人Nは「自分は前回も長い懲役刑を務めたのに再びこのような事件を犯した。死をもって罪を償いたい」と述べ、反省・謝罪の情を表す供述態度を示した。
※この「第一審・広島地裁」の解説は、「福山市独居老婦人殺害事件」の解説の一部です。
「第一審・広島地裁」を含む「福山市独居老婦人殺害事件」の記事については、「福山市独居老婦人殺害事件」の概要を参照ください。
- 第一審・広島地裁のページへのリンク