被告人質問
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 15:37 UTC 版)
被告人は黙秘権を有するが(刑事訴訟法311条1項)、任意に供述したときは、その供述は、被告人に有利・不利を問わず証拠資料となる。
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被告人質問
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 18:43 UTC 版)
2月9日に開かれた第9回公判では被告人質問が行われた。被告人は、最初の約10分間は弁護人が何を尋ねても言葉を発せず、うつむいていた。その後、弁護人から、「日本で人を殺害したことがあるか」と質問されても、スペイン語で「覚えていません」と、計5回にわたって繰り返した。 その後、検察官から同様の質問をされると、被告人は「人たちを殺した」と述べたあと、「それは私ではない」と話した。検察側は、「被告人は事件前、周囲に『ヤクザに追われている』と話していた」と言及した上で、「あなたが話していた『ヤクザ』とは、どんな特徴や服装の人か」と質問すると、被告人は「私が6人を殺した」と返答した。しかしその後、被害者参加弁護人が「あなたは先ほど『6人殺した』と言ったか」と確認すると、被告人は「私がそんなことを言ったのか」と述べるなど、答えになっていない回答をした。このほか被告人は、「その文化は私にはどうでもいい」、「私は耳が聞こえないし、目はひとつしかない。歯がない」、「人肉を食べさせられた」、「猫が自分に言った」、「天使が落ちてきたから、耳鳴りがした」など、質問とはまったく関係ない、意味不明な発言を繰り返したり、起訴内容についての質問には、沈黙していたりと、会話がかみ合わない場面が見られた。その後、被害者参加制度を利用して出廷した、妻子3人を奪われた第3の事件の遺族男性が被告人に質問した。男性から、「あなたは家族を大事にしていますか」と問われると、被告人は「大事です」と返事したが、「その家族が全員殺されてしまったらどう思うか」という質問に対しては明確に答えないなど、ちぐはぐな言動を繰り返した。 2月13日、第10回公判が開かれ、証人尋問が行われた。同日、弁護側の請求により、起訴後に被告人の精神鑑定を行った精神科医が出廷し、「被告人は事件当時から現在に至るまで統合失調症の状態にある」と証言した。医師は被告人の現在の精神状態について、「自発的な行動や、周囲への反応が少なく、幻聴もある」と指摘した。その上で、事件前の被告人の精神状態に関しては、本人の「追われている」などの証言や、熊谷署に所持品を残して逃走したことなどを挙げ、「切迫した身の危険からの逃避行中に、犯行が行われた。状況を誤って、被害的に確信しており、突発的・衝動的な行動が、事件に影響した可能性がある」という見解を示した。また被告人は、被害者の遺体を遺棄したり、盗んだ携帯電話や車の鍵を隠したりするなどの行動をとっていたが、この点についても、医師は「全体として、精神障害の症状がみられ、誤った思い込みによる行動の中で、犯行が起きている。被告人がどこまで、犯罪としての認識を持っていたかは、慎重に判断しないといけない」と述べた。 2月14日、第11回公判が開かれ、前回公判同様、弁護側の請求で行われた精神鑑定を行った精神科医が証人として出廷した。この公判で実質審理が終了した。 精神科医は、「被告人は、犯行時は統合失調症であっても、一般論として『人を殺害することは悪いことだ』と理解しており、善悪の判断はついていたといえる」と証言した。その一方で、被告人が殺害行為を理解していたかについては「被告人は、『命を奪っている』ということは認識していたと思うが、『なぜ、命を奪っているか』など、詳しい事情を理解していたかは分からない」と証言した。また医師は、被告人が事件前に知人に対して語った、「追われている」「殺される」などの被害妄想・精神的不穏が犯行に影響した可能性を指摘した上で、「妄想や不穏がなければ事件は起きなかったと思う」と証言した。医師はこれに加えて、被告人が事件現場となった複数の住宅で財布を物色したり、遺体を隠したりしたとされる行為についても、「妄想で説明がつくかどうか、何か現実的な理由があるかどうかなどは、本人の口から一切説明が得られないので、判断できない」と語った。そして「公判前の鑑定時も、9日の被告人質問でも、被告人の心の中での事実がどうなっているか意味のある答えは得られなかった」と証言した。
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