楽器の笛の細かい分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 14:00 UTC 版)
笛子(てきし:DIZI) - 現代の中国の笛。ディーズともいう。笛子にはC管D管などの曲笛やF管G管などのホウ笛(梆笛)がある。唄口と指孔の間にある響穴に笛膜と呼ばれる竹紙を貼ることにより独特の響きをもたせている。清笛や明笛はこの先祖にあたる。 テグム - 韓国の横笛。 リンベ - モンゴルの横笛。 ケーナ - 南米の縦笛。尺八と同じ発音原理。 フラウタ - 南米の横笛。 バーンスリー - インドの竹製横笛。 スリン - インドネシアやフィリピンで使用される竹製の縦笛。 ナーイ(ネイ)・カバル - アラブやトルコで使用される縦笛で、笛を斜めに構え、フチの部分に息を当てて音を鳴らす。 オークラウロ(オークラロ)- 昭和初期に大倉喜七郎が考案した、モダン・フルートの管体に尺八の吹口をつけた金属製の縦笛。 リコーダー、フルート、クラリネット、オーボエなどの西洋の木管楽器 琉球笛(りゅうきゅうぶえ)- 琉球古典音楽の伴奏楽器として用いられる横笛。八重山古典民謡、琉球舞踊、組踊の演奏にも用いる。琉笛(りゅうてき)あるいはファンソウとも呼ばれる。 日本の笛の細かい分類 ジャンルによっては「笛」だけで特定の楽器を指すことがある。例えば能楽でいう笛は能管、民謡や多くの祭礼でいう笛は篠笛を指す。 神楽笛(かぐらぶえ)- 宮廷の御神楽(みかぐら)に用いられる横笛。龍笛よりやや低い。神笛(しんてき)、大和笛(やまとぶえ)、太笛(ふとぶえ)ともいう。 龍笛(竜笛、りゅうてき)- 雅楽で用いられる横笛。催馬楽や大和歌にも用いる。横笛(おうじょう、ようじょう、おうてき)あるいは主笛(おもぶえ)とも呼ばれる。 能管(のうかん)- 能や歌舞伎で用いられる横笛。能笛(のうてき)ともいう。 篠笛(しのぶえ)- お祭り(祭囃子、里神楽、獅子舞など)、民謡、歌舞伎・日本舞踊(邦楽囃子)などの舞台音楽、座敷音楽(端唄、小唄など)で用いられる横笛。篠竹製で、単に竹笛(たけぶえ)ともいう。 真笛(まこぶえ)- 真竹製で、篠笛と同様の調律がなされた横笛。真竹は節間隔が短いため、中間部分が節を抜いた構造となる。 高麗笛(こまぶえ)- 狛笛とも表記される。雅楽で使われる竹製の横笛。高麗楽や東遊びにもちいる。細笛(ほそぶえ)ともいう。 歌笛(うたぶえ)- 古く東遊び(あずまあそび)に用いた横笛。高麗笛に似た形状でやや大形。のちに高麗笛で代用することが一般化し用いられなくなった。中管(ちゅうかん)ともいう。 唐笛(とうてき)- 雅楽の唐楽にもちいる場合、龍笛の異称。または朝鮮の李王朝の雅楽に用いた横笛で、長さ45cm、指孔は6個(古くは8個)。 明笛(みんてき)- 明楽に用いる竹製の横笛。明楽は1629年に日本に入った明朝の音楽で一時京都の上流社会で大流行した。吹き口から先の頭部が細く、指孔は6個で吹き口と指孔の間に竹紙(竹の内側の皮)を張るための響孔があるのが特徴。清楽の流入とともに清笛にとって替わられた。また、清笛を含めて明笛ともいう。日本の祭囃子に用いられる6孔の篠笛の中には、明笛あるいは清笛が簡素化したと思われるものもある。 清笛(しんてき)- 清楽に用いる竹製の横笛。清楽は文化文政の幕末に入った清朝の音楽で世俗に流行し、明清楽とも言われるようになった。形状は明笛とほぼ同じで律は異なる。明笛とあまり区別されない。日清戦争に際して明清楽は制限されたが、明笛(清笛)は長音階になっていることから大正時代まで青少年に愛奏された。 笙 - 雅楽で用いられる。「笙の笛」ともいう。子守唄の歌詞に「でんでん太鼓に笙の笛」というものがあるが笙は市井の楽器ではないためこれは別のものを指すと考えられる。 竽(う)- 奈良時代に中国から伝わった竹製の楽器。大型の笙で、笙より1オクターブ低く雅楽に用いられたが、平安中期に廃れた。竽の笛ともいう。 簫(しょう)- 中国の竹製縦笛。竹管一本で指孔のあるものを洞簫(どうしょう)、指孔なしで長短数本を一組にしたパンパイプ型のものを排簫(はいしょう)と呼ぶ。 尺八 - 真竹で作られた、長さ約54.5cm(一尺八寸)の縦笛。用途によって、より長いものや短いものも使用される。雅楽の尺八に由来するとされるが、詳細は明らかでない。江戸時代に虚無僧によって全国に広まり、明治維新で虚無僧が廃止されると民間へも普及した。古典本曲(独奏・重奏曲)、三曲合奏、民謡の伴奏などに用いられている。現在は、真竹の根元を用い、管内に漆などの「地」(じ)を塗り重ねる内径調整によって調律されたものが一般的であるが、内径加工を行わない「地無し管」も愛好されている。 一節切(ひとよぎり)- 長さ約34cmで管の中央に節が一つある真竹製の縦笛。「一節切尺八」とも呼ばれ、尺八と相互に影響があったと思われる。 天吹(てんぷく)- 薩摩地方に伝わる一節切に似た布袋竹製の縦笛。 日本の笛の音色による、細かな細かな分類 芝居(歌舞伎の下座音楽など)の効果音として使うもの、狩で獲物を誘い出すために使うものが多く、玩具としても使われる。総称して「擬音笛」という(擬音楽器を参照)。 赤子笛 - 赤ん坊の泣き声を出す竹製の笛。ダブルリードをもつ。芝居で使われる。 鶯笛 - 鶯(うぐいす)の鳴き声を出す竹製ないし陶製の笛。中に水を入れて使うものもある。初音の笛ともいう。春の季語。 牛 - 牛の鳴き声を出す竹製の笛。芝居で使われたが、現在はほとんど使用されない。 馬 - 馬の鳴き声を出す竹製の笛。芝居で使われたが、演奏法が難しいため現在は実際の馬の鳴き声を録音したものが使われることが多い。 鶉笛 - 鶉(うずら)の鳴き声に似た音を出す笛。鶉狩りで鶉を誘い寄せるために使う。また、雅楽で横笛を短い拍子で吹くこと。 烏笛 - 烏(からす)の鳴き声を出す竹製の笛。ダブルリードをもつ。芝居で使われる。 雉笛 - 雉(きじ)の鳴き声に似た音を出す笛。猟師が雉を誘い出すために使う。春の季語 水鶏笛(くいなぶえ)- 水鶏の鳴き声に似た音を出す笛。クイナを誘い出すために使う。夏の季語。 駒笛、駒鳥笛(こまぶえ)- 駒鳥の鳴き声に似た音を出す笛。猟に使う。 鹿笛(しかぶえ、ししぶえ)- 鹿の鳴く声に似た音を出す笛。この笛で雌鹿の鳴き声を出し、寄ってきた牡鹿を猟師が討つために使う。アイヌが用いていたものはイテレップという。 蝉笛 - 蝉の鳴き声を出す竹製の笛。特に日暮やミンミン蝉の鳴き声のものがある。蝉の模造を飾りとして付けたものが多い。 千鳥 - 千鳥の鳴き声に似た音を出す笛。芝居で使われる。 トヒヨ - とんびの鳴き声に似た音を出す笛。芝居で使われる。 鳥笛 - 鳥の鳴き声に似た音を出す笛。または鳥の形をした笛。 鶏 - 鶏の鳴き声に似た音を出す笛。芝居で使われる。 鳩笛 - 鳩の鳴き声を出す笛。狩りで鳥を呼ぶのに使う。または鳩の形をした素焼きなどの玩具の笛。オカリナを指すこともある。 雲雀笛(ひばりぶえ)- 雲雀の鳴き声を出す竹製の笛。春の季語。 梟笛(ふくろうぶえ)- 梟の鳴き声を出す笛。芝居で使われる。 虫笛 - 虫の鳴き声を出す竹製の笛。芝居で使われる。
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