ひとよ‐ぎり【一▽節切】
一節切
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/21 16:38 UTC 版)

一節切(ひとよぎり)は、日本の伝統楽器。尺八の前身ともいわれる真竹製の縦笛で、節が一つだけあるのがその名前の由来である。
概要

尺八が竹の根本部分を用いるのに対し、一節切は幹の中間部を用いるため、尺八に比べて細径・薄肉である。全長は一尺一寸一分(約34cm)で、尺八と同じように、前面に四孔、裏側に一孔の計五つの手孔がある。音域は尺八よりも狭く、約1オクターヴ半ほどである。
前野良沢や一休宗純、雪舟[1]、北条幻庵なども一節切の奏者として知られている。織田信長に仕えた大森宗勲も名手である[2][3][4]。しかし、もともと武家や上流階級の風雅な嗜みとしての趣向が強く、一般市民には普及していなかったことや、より音域が広く音量の大きい普化尺八が普及したこともあって、江戸時代の始まりより徐々に廃れていった。現在、残された楽譜は存在するが、音価(音の長さ)の指定がなくどのような演奏だったのかを再現するのは難しく、専ら好事家の研究対象となっている。
その他
最も有名な一節切としては、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑に受け継がれた『乃可勢(のかぜ)』という名笛がある。
薩摩には、『天吹(てんぷく)』と呼ばれる一節切に似た小型の縦笛が伝わっている。
2012年5月15日、テレビ東京の『開運!なんでも鑑定団』に安土桃山時代の一節切が登場し、150万円の鑑定額がついた[5]。
脚注
関連項目
一節切
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 20:44 UTC 版)
歴史上の空白期間ののち、室町時代になると一節切(ひとよぎり)と呼ばれる縦笛があらわれた。真竹の中間部の一節を用いていることが語源である。この一節切は武士の嗜みの一つとして大いに武家社会で流行し、北条幻庵などもその名手の一人として知られ、所蔵の一節切が残っている。田楽法師などの遊芸人の中にこれを吹いて物乞いをする集団が現れた。薦僧と呼ばれる集団がそれで、後に普化宗と結びつき虚無僧となっていく。 一説によると、一節切は室町時代に中国から日本に渡った禅僧・蘆安がもたらしたもので、名手といわれた大森宗勲(1570年 - 1625年)が出たのち、急速に広まった。一節切は17世紀後半に全盛を迎えたが、新しい普化尺八の隆盛と共にその後急速に衰退し、19世紀にはほぼ絶えた。 平均の長さは33.6cm、外径は3cm、前4、後1の5つの指穴がある。
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